海に流れる時間と思い出
☆12
・竹崎先生の運転する、
アルファードは砂浜近くの、
広い駐車場に着いた。
自動開閉ドアから四人が出て、
恵三は海の匂いと、
繰り返す潮騒の音を聞いた。
空は明るく青く晴れ、
潮風が緩やかに吹いていた。
「わー、海だぁ☆」
ユミは小さな砂丘の丘を囲む、
アスファルトに足をつき、
静かな波で揺れる青い海を見て、
明るい歓声を上げた。
寝息のように繰り返す潮騒の音、
キラキラと明るく青く輝く穏やかな海──
恵三もユミと同じように、
この夏の晴れた日に、
海が見れたことを素敵に感じた。
竹崎先生は今回、
部員四人をスマホのカメラで、
撮ってくれた。
「皆記念写真撮ろうよ♪」
誠二とさなは少し離れて、
写ったが、恵三とユミの距離は、
けっこう近く、ユミは、
間隔をあけて写ろうとした、
恵三の側に寄り、一言、
「近くにいていい?」
と柔らかく笑いながら言った。
恵三は少し、
恥ずかしくなったが、
(ユミちゃん可愛いな……)、
と思い、内心ドキドキしながら、
「うん」と小さく答えた。
潮風の香る中、
恵三の側にはユミがいた。
(小さくて可愛い子だな……)
恵三は片手でピースサインを作り、
横目で近くにいる、
ユミを意識しながら、
写真に写った。
写真を撮った後、
先生と部員とユミは、
静かに繰り返す波の近くへと、
降りていった。
ユミは、
「海の水も冷たいのかな?」
と言って、
靴と靴下を片手に持ち、
海辺の波の側まで、
歩いていった。
素足で無防備に、
波の近くへ寄るユミを見て、
恵三は、(綺麗だな)、
と思った。
十分くらいだったか、
恵三とユミと部員と先生は、
しばらく静かに揺れる、
青い海を、
見つめていた。
なんだか柔らかく、
時間が流れた。
夏だな、綺麗だな、
と潮騒と共に揺れる、
海を見て、優しい空白の、
時間を楽しんだ。
竹崎先生が、
「せっかくだからどこか寄ろう☆」
と言って寄った、
近くの小さなカフェで、
恵三たち四人は、
先生のおごりで、
ソーダ―フロートを、
御馳走になった。
竹崎先生は一人、
ホットコーヒーを注文して、
一息ついていた。
柔らかく優しい時間が、
流れた。
ユミはニコニコしながら、
スプーンでアイスをすくい、
少しずつ青色の、
ソーダ―をすすった。
ユミは恵三を見て、
「おいしいね♪」と言い、
うんと肯く恵三に、
「素敵な思い出が出来たな☆」
と言って笑った。
心地よく素敵な夏が、
流れていく──
一息ついた四人は、
先生の支払いののち、
店内を出てすぐに、
アルファードに乗り、
学校へと帰っていった。
ユミに、
「綺麗な海だったね♪」
と言うとユミは、
「うん!
素敵な思い出になったね☆」
と言い微笑んだ。
恵三は今日も、
ユミを見て心が優しくなる、
のだった。
(楽しい一日だったな)
帰宅した恵三の心は、
今日会った素敵な、
出来事を思いひなが一日、
幸せだった。
…………『続く』