部活動の休みの日(第二話)
☆2
・夏の時間が流れていく──
次の日は雨が降り練習は取りやめとなった。
恵三は、ぼんやりと夏の日を過ごしていた。
普段見ることのないワイドショーを眺め、
途中で飽きて、二階の自室へ上がり、
買ってきたCDの音楽を聴いた。
家電屋で買った少しごついヘッドホンを耳につけ、
惰性のように音楽に身を任せた。
彼女ユミと言う女の子のことを考えた。
素敵な子だなぁ、と思い、笑顔が可愛いなとか、
今まで何処にいたのだろう、学校に来ていなかったのかな、
などと、分からないことを分からないまま、
ぼんやりと彼女のことを考え、
空白ともいえる時間を音楽と共に過ごした。
恵三はハードロックが好きだった。
激しい音と歌い手の絶叫するフレーズ……、
それは、普段おとなしい彼からすると、
奇抜で常軌を逸したような、
思春期特有の激しい自意識を感じさせる、
ヤバい感じだったが、
実際の恵三は問題行動を起こすような、
少年ではなかった。
昼ごはんが出来るまで、恵三は自室にこもって、
ただただ昨日出会った、ほとんど知らない女の子のことを、
考えて過ごした。
昼が過ぎ夜が来て、恵三はゴールデンの番組を、
一つだけ見て、再び自室に戻り、
最近借りたレンタルビデオを眺め、
一人の時間を楽しんだ。
話題性のある映画を眺め、時間を忘れた。
夏の日の蒸し暑い夜の空気、
何でもない日常に、現れた女の子──
深夜まで起きていた恵三は、
26:00位まで起きて、
微睡むように、常夜灯をつけて布団にもぐった。
何でもない時間に〈小さな恋〉が生まれた。
それは考えてみると、幸せなことだった。
…………『続く』




