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女子とかつての女子たちに

月に還った姫君に

作者: 薄雪草



月に還った姫君は

何を願っていたのでしょう



遠い記憶のなかの

まだ幼い頃……



りんどうの花咲く丘の上で

お喋りしたり

星座を眺めながら

お伽話を聞いたりして


晴れた夜の満月のなかに

月のうさぎを探していたの


さわさわと風に揺れる

すすきを手にしてみたり


飾られた白玉のおだんごを

楽しみにしていたよ…




すっかり長くなった手足に

腰までの髪をなびかせながら

御簾から夜空を見上げて

姫君は何を想っていたのでしょうか



帝の求婚のこと

それともあの

かわいそうな公達たちのことでしょうか



それとも



琴を鳴らしながら

湖に映る月を見ていると


御簾の向こうから

そっと呼びかけていた若君様の

凛としたお姿が思い浮かんできて


本当に大切にしてくださるのなら

その方とお話してみたい

もう一度だけ

お優しいお声を聞きたい

名を呼びかけていただきたいの

と願うようになっていた

あの若君のことでしょうか




月の童子はやってきて

姫君を迎えて去りました


月に還っていった姫君の

心の内は分かりません




ただ、あかるい満月の夜に

優しく輝く月を見ていると


若君は姫君に呼びかけて

そっと部屋を抜け出して


日暮れの静かな竹林を

笹がさらさら鳴るなかを

二人で散歩しながら


ふわふわと幸せな気持ちで

あかるい月をともに見上げて

微笑みあっていたのでしょうと



そんな風にも思われるのでした










皆さまのところではお月見はできましたか?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 素敵な詩ですね(*´ω`*) 月夜に最適な作品ですね~(*´▽`) お月さま~…昨日は綺麗に見えてたのですが、今日は雲が多くて、雲間から時折ちらりちらりと金の輝きが漏れるという感じです…
2021/09/21 21:43 退会済み
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