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異世界の歯医者さん

作者: MOZUKU

どうも異世界の歯医者(35才♂)です。

どうして私が異世界で歯医者をしているのか?と説明すると、ベタに交通事故に巻き込まれて死亡し、そのまま女神に言われるがまま異世界に転生してしまったのです。

初めのうちは慣れない土地での生活に四苦八苦したり、モンスターに襲われたりして大変でしたが、三年程生活して生活に慣れ、お金を貯めて器具を自作し、ようやく歯医者を開業するに至りました。

最初の一年は、スタッフにゴブリンが居たり、魔族が居たりで仕事を教えるのに苦労しましたが、今では治療を任せられる程に成長してくれました。

異世界でも虫歯に成る人は多いらしく、歯医者は一年間予約でいっぱいになるほど人気です。おかげで休み無く働いています♪

そんな折、助手のサキュバスさんが、どうしても虫歯を見て欲しい人が居るというので、特別に優先して見てあげることにしたのですが、その相手というのが・・・。

「どうも魔王です。」

・・・ラスボス来ちゃった。

禍々しいオーラ、頭から生えた赤い角、青白く精悍な顔立ち、黒光りする派手な鎧、まごうこと無き魔王でした。余程痛いのか、赤くなった右の頬っぺたを右手で擦っています。

サキュバスちゃんめ・・・報連相は大事だよ。

「この台の上に寝れば良いですか?」

「あっ、そうなんですが、鎧は脱いで貰いますか?台が壊れちゃうんで。」

「えっ、でもこれ脱ぐと防御力が下がっちゃうんですけど。」

「そしたら尚更脱いでください。下げないと治療出来ませんから。」

鎧を脱いだ魔王さんを台の上に寝かせ、私は治療を開始することにしました。

「痛かったら手を上げてくださいね。」

「はいっ!!」

「はい、まだ何もしてませんよ。手を下げてください。」

口を開けて目をつむり、エプロンを付けて、怖くてぶるぶると震える魔王さん。その様子は四歳児の子供に酷似していますね。

というか今なら隙だらけなので、魔王討伐出来そうな気がします。そういえば女神から魔王を倒すように言われてたんでした。でも私は今はただの歯医者、歯は抜いても、剣を抜くわけにはいきません。

レベルが高いモンスターに麻酔は効かないので、ここは聖なるラジオペンチで抜いてしまいましょう。荒々しいですがこれも仕方なしです。

えーっと、虫歯は・・・。

「うわっ!!!!」

「どうしました!!」

「い、いえ・・・何でもありません。魔王さんは口を開けてじっとしてて下さい。」

「わ、分かりました。」

あー驚いた。虫歯に目が付いてるとかホラーですね。もう虫歯というより一体のモンスターと言った方が良いかもです。こうなると私も命懸けで歯を抜かなくてはなりますまい。

まずは虫歯に防御を下げるデバフを掛けて、私自身に攻撃力アップのバフを掛けて準備完了。参ります!!

「おうりゃああああ!!」

~二時間後~

「はぁ、はぁ・・・処置終わりました。」

「ありがとう♪全然痛くなかったです♪やったー♪」

もう両手の握力が無くなってしまいました。虫歯は封印の瓶の中に入れたので、あとでギルドに高値で買い取って貰いましょう。

「歯医者さん、お代は世界の半分で良いかな。」

「そ、そういうのいいんで、200ゴールドだけ置いて今日は帰ってください。一週間後に経過を見るので、必ず来られてくださいね。」

「はーい♪」

め、めちゃくちゃ疲れたけど、次の診察の人が待ってますね。まぁ、その人は経過を見るだけだから、すぐに終わりますが。

「すいませーん、まだですか?」

噂をすれば次の人が待ちきれずに処置室に入って来てしまいましたね。

と、ここで私はあることに気が付きました。不味い不味い不味い、次の人と魔王様が会うと割りと不味い。

しかし、気付くのが少し遅く、魔王と次の人が出会ってしまいました。

「き、貴様は魔王!!」

「ゆ、勇者!!おのれ!!消し炭にしてくれる!!」

「何を!!負けるか!!」

互いに戦おうとする二人に向かって、私は微笑みながらこう言いました。

「余所でやってください。」




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