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世界がオレを嫌いすぎている  作者: 世界
第一章 絶望の果てに
1/3

プロローグ



 (ここは......?)



 目を覚ますと、そこは見たことのない部屋、嗅いだことのない匂い、机の上には、これまた見たことのない花が花瓶に生けてあった。窓から差込む光がどうしようもなく懐かしい。

 

 (なんだろう、なにも思い出せない...)


 自分がなぜここにいるのか、昨日は何をしていたのか。とてつもなく長い悪夢を見ていたような気がする。だが、フカフカのベッドと相まってか、不思議と悪い気持ちではない。


 そんな事を考えていると、部屋の外から慌ただしい足音が聞こえ、勢いよく扉が開いた。


 歳は十代半ばくらいだろうか。見開かれた紺碧の瞳に明るい茶髪、白い肌に薄紅色の唇。まるで、ただ一人世界から祝福を受けているかのように美しい少女がそこに立っていた。


「あ、あの...!気が付いたんですね!」


 落ち着きのある心地よい声色が慌てていた。

いや、そんなことより事情は掴めないが返事をせねば...。


「......ぁ...あぁ......っ、?」


 声が出ない?なんで?


 「無理なさらないでください!きっとまだ疲れているんだと思います...。あの、覚えていますか?」


 心配そうな顔を向けられている。オレは首を横に振った。


 恐らくだが、この人は自分を助けてくれたのだと思う。しかし、なぜだ。思い出せない。


 「やっぱり。昨日、村の外れで倒れているのを見つけて、父に手伝ってもらい運んできたんです。」


 彼女は微笑みながらそう言った。


「ぁ..........ぁり...が.......」


 くそぅ、感謝の言葉すらまともに返せないなんて...

これは断じておれのコミュニケーション能力が欠乏しているからではない。


「しばらく横になっていてください。もう少ししたらご飯を持ってきますねっ」


 そう言い残し、彼女は部屋を出て行ってしまった。


 一体どうなっているのだ。彼女はおれが倒れていたと言っていた。しかし、おれには倒れる前の記憶が存在しない。というか、ここはどこだ?


 そこまで考え、更におれはとんでもない疑問を抱いてしまった。




 (おれって...誰だ?)



 これが俗に言う記憶喪失、か。やばいだろ。どうやって生きていくんだ、おれ。

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