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日記  作者: 初期装備
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日記(主に酔っている時)

物事には始まりがあり、終わりがある。

もしも終わりがないものがあるとすれば、それは伝統芸能のような、継承されていくようなもののみだろう。


対して、一人の才能によったものは、いつか消えてしまう。



あるブログがあった。


今から振り返るとテキストサイト全盛期という時代の一角を担っていたブログだったらしい。


僕は中学生ぐらいでそのブログに出会った。


その不謹慎な世界観と流麗な言葉遣い、そしてほのかに香る文学性。

明らかにマイナス方面に花開いた大輪の花のようなブログに僕は釘付けだった。


凄い好きだったんだ。


何度も読み返した。その人の開くオフ会とか、mixiとかは見ていなかったけれど、そのブログの中にあるコンテンツは全部読んだと思う。




文中の切なさが好きだった。


どうもそもそもは下ネタ万歳不謹慎万歳な面白文章を書いていたようなんだけれど、時々切なさの顔を出す文章があったんだ。

ブログの更新頻度は落ちていって、15年頃に最後のエントリを迎えるんだけれど、後半になるに連れて切ないような文章が増えていった。


「今まさに滅びゆく中、ただ茫然と眺めている」みたいな雰囲気というか。


うまく言えないし正直しっかりとは覚えていないけれど、胸に針を刺されるような文章が増えていった。


そんな文章が大好きだった。



憧れていたんだと思う。


酒に溺れて女にだらしなくて気が狂っていて頭が冴えていて。

ともかく世界全てに壊れて欲しかった僕には、世界全てに唾を吐いて我が物顔で死ににいってる姿はあんまりにもカッコ良すぎた。



でも、その人のブログは一旦終わってしまった。冒頭に言った通り一人の才能によったものは永劫続く事はないのだから当然だ。

とは言え終わった日は大分昔なので、今更どうのこうのは思わないのだけれど。



もちろん、自分の人生があって人の人生がある。

ブログ主の人も自分の人生があるのだ。


自分の人生と向き合った時に人は往々にして大切にしていた何かを捨てる決断に迫られると思う。

多分終わる事は必然だったし、むしろ最後まで見れた事を喜びに思うぐらいで良いのかもしれない。



僕は僕で、四六時中世界よ壊れてしまえと思うことも無くなった。

件のブログも時々思い出して見にいって、まだログが残っている事に安心して何記事か読んで帰るぐらいの付き合いになっている。


いつかまた、1記事でも良いので更新されたら嬉しいなと思ってはいるけれど。



話が分からなくなったけれど、時間は経っているから変化するのは仕方ないんだ。それはもう本当に仕方がない。




なんでこんな文章書いてたかって言うとな、今日はそのブログの人の過去の生放送のログが残ってないか見にいったんだよ。

酒飲んで煙草吸って、やけに簡素で、確か壁に自転車がかけてある部屋でリスナーにガチ切れするような放送とかしていたと思うんだけれど。


結論、残ってなくてな。料理動画が数本あるばかりなんだ。


それは全然良いんだ、懐かしい。苦しいぐらいの懐かしさだね。


ただよ、ブログ名で検索かけたりして、全然違うもんが出てくるのよ。


いやわかる。SEO的にも納得するしそもそもログが残ってないのも仕方ない。

全部わかる事象のみで構成されてるよ。


たださ、名前で調べた時にいないっていうのは世界から消えてしまったみたいな寂しさがあるんだよ。



結局全てのものは無くなってしまうし、全てのものを石碑に残すこともできない。

だから自分の出会ったものの存在っていうのは、自分が覚えていることでしか大事にできないのかもしれない。


だけど俺は寂しいよ。仕方ないし寂しがってる場合でもないんだけれど。


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