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次の日のフェリシアの目覚めは最悪だった――――。


「フェリシア様?起床していらっしゃいましたら御用があるのですが……」


コンコンと扉を叩く音と扉越しの女性であろう控えめな呼びかけで、フェリシアは強制的に意識を浮上させられた。そんなに大きい音ではないのに、部屋が静寂に包まれているせいで嫌に音が目立つ。


(朝から何……?)


寝ぼけ目を擦りながら思考を働かせる。正確にはもう既に朝という時間ではなく、どちらかというと正午に近い時間なのだが、前日夜中まで思案に耽っていたフェリシアはそんなことにはまだ気づかない。軽く洋服と髪の毛を数秒で整えて、扉を開けた。


「はい、今、開けます」

「……目を醒ましてしまったようで申し訳ございません。急ぎ、ユリウス第二王子殿下から御用があるとのことで、”王宮庭園にて待っている”とのことで、フェリシア様に召集が掛かっております」


昨日フェリシアを探していたのは知っていたが、まさか呼び出される程とは……。王宮庭園でイリスと一緒に結婚発表なんてされたら、きっと立ち直れないだろう。それに今まで呼び出された事などなかったことから、ユリウスの結婚への身の入り具合が伺われる。


「……ごめんなさい。今日は、体調が悪くて」

「そう、ですか」

「ユリウ……殿下にも、行けなくて申し訳ございませんと伝えておいてもらえますか?」

「はい。お大事になさってください」

「ありがとう」


フェリシア自身もズルいとは思ったが、仮病を使わせてもらう。もう聞かされる内容も殆ど分かっているのもあって、行きたくなかった。


これ以上王都のこの場所……王宮にいてもきっと、このようなことが続くだけだ。昨日思った事……逃げ出すことを決行したほうが良いのかもしれない。

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