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ティータイムその1


たかひろくんはお盆に紅茶とお菓子をのせて部屋に戻ってきた。


今は10月の上旬。

寒かったり暑かったり気温が不安定だ。

でも、先月に比べたら暑くはない。


私が普段から紅茶をよく飲んでることを彼は数日間の生活で観察していたのだろう。

夏はアイスティーを飲むこともあるけど基本的には熱い紅茶を飲む。


私からは何も言わなくても熱い紅茶を彼は持ってきてくれた。


「お姉ちゃん紅茶好きだったよね。」


今朝までの彼はぎこちないところもあった。

でも、その前の数日間で私を理解しようとして、よく私のことを見ていたのかもしれない。


うちは昔からお菓子が沢山ある。

お父さんも私もお菓子が好きなので大量に買い置きしている。


甘いものからスナック菓子までいろいろあるのだが私はスナック菓子を好んで食べている。

どうやらそれも把握済みらしい。

お盆にはスナック菓子がのっていた。


細やかな気配りの出来る中学生男子。

自慢の弟と言っていい。


私のことを理解しようと努力し続けてくれたことは嬉しい。

だけど、私はたかひろくんを理解しようと努力しただろうか。

ふとそんなことも思ってしまう。


私は率直に「ありがとう」と言って紅茶を飲んだ。

今は何も考えたくない気分だったのかもしれない。

私は無心で紅茶を飲むことで悩みや迷いさえ飲み込もうとしていた。


たかひろくんの部屋に入ってからの私は緊張していて落ち着きがなかったと思う。

だから、ようやくティータイムの時間がきて私は安堵した。

紅茶を飲んで落ち着いたせいなのか、私は今までなかなか聞けなかったことを聞いてみた。

いや、いつかは聞くことなのだろうし、聞けるタイミングを待っていたのだ。

きっと、それが今だと私は思った。

私は遠慮がちに漠然とした感じで聞いてみた。


「うちに来てから楽しい?」


その質問が本当のたかひろくんを知るきっかけになるとは、その時の私は予想していなかった。






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