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あらやだ! コレあれやろアレ! なんやったっけ? そうや転生やろ! ~大阪のおばちゃん、平和な世の中目指して飴ちゃん無双やで!~  作者: 橋本洋一
第十二章 放浪編

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あらやだ! 頭目になるわ!

「山賊の頭目にはならんわ。当たり前やけどな」

「そこをなんとかしてくれませんか? 姐御」

「姐御ちゅうのもやめや。あんた急にキャラ変わり過ぎやろ」


 いきなり頭目を譲られたあたしはとりあえず話し合いの場を設けることにした。

 参加者はあたし、ジン、セシール、ワール。

 それに加えて商人代表のエドガーに村人代表のフローラの六人や。

 本来なら村長さんが参加するもんやけど、あんな騒ぎになってもうて面目潰してしもうたからなあ。

 その代理でフローラが参加したんや。

 場所はセシールが養生しとる空き家やった。


「ちゅうか、あんたはええんか? こんな小娘が頭目になって」


 ワールに水を向けると「俺はジンの兄貴についていくだけです」と男らしいことを言いよった。


「ジンの兄貴が決めたことにとやかく言うつもりはないです。姐御」

「あんたも姐御言うんかい……セシールはどうやねん」

「あたいは反対しないよ。強い奴が頭目やったほうがいいしね」


 こちらも何とも男前な言い方やな。


「そりゃあカタギの姐御がいきなり頭目になるのは、覚悟が要ることだと思うが」


 ジンはそう前置きしてから、逃げられへんようなことを言う。


「姐御なら俺たちの面倒を看てくれると思うんだ。違うか?」

「……あたしはお人よしちゃうで」


 そう言うても説得力がないなあ。

 困ったあたしはエドガーをちらりと見た。


「なあエドガー……」

「ユーリになら通行料を払ってもいい。君なら山賊たちを抑えられるだろう」


 信頼が斜め上にいってもうてる……


「あのな、エドガー。あたしは頭目に――」

「いや、なってもらわないとこっちが困る。やっと安心して商売ができるんだ」


 エドガーは羊皮紙を取り出した。そしてインクで何やら書き始める。


「この村の販路を維持するために、頭目である君と山賊さんたちにはこれだけ払おう。代わりに街までの護衛と簒奪の禁止を明言してもらいたい」

「強かやな。この場でそれを確約させようとしとるんか」

「もちろん。利がなければ動かないよ」


 しかし提示された金額は少しばかり多い気がする。甘いところもあるんやな。

 この場に居るほとんどがあたしが山賊の頭目になるのを望んどった。

 せやけど――


「どうしてユーリさんは山賊さんの頭目になるのが嫌なんですか?」


 フローラの何気ない言葉が、展開を変えてくれたんや。


「決まっとるやろ。山賊になったら人を襲わなあかんしな」

「護衛料で賄いませんか?」

「三百人も居るのに、それだけじゃ足りひんわ。いや値上げするつもりはないで?」


 フローラはしばらく考えてから「なら奪う仕事をせずに、ユーリさんが納得するやり方を考えましょう」と明るく言うた。


「奪う仕事をしない、か。それができたらうちの連中はどれだけ喜ぶか」


 ワールがしみじみと言うた。


「俺たちは捨て子や戦争孤児の集まりだ。奪ったり盗んだりすることしか生きる術はなかった」

「そうやったんか? なら――」

「真っ当に生きられたらいいさ。そうだろう? ジンの兄貴」


 ワールの言葉にジンは「俺は喧嘩ができればいい」とそっぽを向いた。


「でもジンの兄貴はどんな人間でも受け入れてくれたよな」

「うるせえよ。馬鹿」


 あたしは「全員がカタギになるんやったらええで」と言うた。


「みんなが真面目に働けるようになるんやったら、面倒看てもええ」

「でも真面目に働くにしても、受け入れてくれる村の当てはあるのかい?」


 エドガーの言葉にみんなが注目した。


「フクルー村やこの辺の村は山賊たちを恐れている。とても受け入れてくれるとは……」


 そこまで言うたとき、突然フローラが言うた。


「それなら、村を作ってはいかがでしょうか?」


 全員がきょとんとした顔になった。


「あ、あんた。何を言っているんだい?」


 セシールが沈黙を破って発言するとフローラは「三百人も居るなら、村を作れるんじゃないでしょうか?」とにっこり笑った。


「村づくりで一番重要なのは村人です。しかしとっくにそれはクリアしています。なら、村を作る基礎はできています」


 お嬢様らしいのほほんとした意見やった。


「でも土地はどうする? アスト公の許可も必要だ」

「あ、そうですね。うーん……」


 エドガーの言葉にフローラが悩み出す。

 その問題に答えられたのは、あたしやった。


「アスト公ってロゼちゃんのことやろ? なら許可もらえるわ」


 一斉にあたしのほうを見た。驚愕の顔をしとる。


「……なあユーリ。君はアスト公と知り合いなのかい?」


 エドガーの恐る恐る言うた言葉に「まあ、知り合いやな」となんでそないに驚いとるのか分からんまま答えた。


「なんちゅうか、アストを降伏させようとしたときに――」

「ちょっと待て。姐御って、もしかして、平和の聖女、なのか……?」


 うん? ああ、そうか。ジンはアルムと会話しとったときは気絶してたからな。

 そういえばエドガー以外、言うてなかったわ。


「……とんでもない人と喧嘩してたのか、俺は」

「ジンの兄貴、俺も同じ気持ちです……」


 でもなんか村づくりができそうな気がしてきた。


「よし。ならこうしよ。ロゼちゃんに許可もらって、村作って、みんなをカタギにしたろ」

「……軽い感じで言わないでよ」


 セシールのツッコミで話し合いは終わった。

 さっそくあたしは空き家の外で待機しとった三百人の山賊に向かって言うた。


「えー、あたしは頭目になるけど、山賊になる気はない。これからの目標は、村づくりや。みんなでカタギになって、平和に暮らそうや!」


 ぶっちゃけ半信半疑やったけど、ジンの説得もあってなんとか納得してくれた。

 しかし、村づくりか……

 どうなるんやろ? ま、なんとかなるか。


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