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あらやだ! コレあれやろアレ! なんやったっけ? そうや転生やろ! ~大阪のおばちゃん、平和な世の中目指して飴ちゃん無双やで!~  作者: 橋本洋一
第十一章 イデアル内乱編

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あらやだ! 帰国したわ!

 火の月からすっかり土の月に変わってもうた。ノース・コンティネントに戻ると暑さは和らぎ、もうすぐ秋になりそうやった。

 そういえば去年の今頃、あたしは魔法学校に行ったんやな。それがこないにとんでもないことになるとは思わんかった。

 さて。エルフの国、プラントアイランドを出国して、旧アストのソフィー港に帰ってきたあたしたち三人に、ようやく筋肉痛から解放された皇帝がこんなことを言うたんや。


「えー、すみませんがあなたたち三人をプラトのヴォルモーデン家の屋敷へ送らせてもらいます」

「えっ? なんでや? まだ何か指令があるんか?」


 思わず訊きなおすと皇帝は「ツヴァイさんから聞いてないですか?」と馬車を指差して言うた。


「イデアル領での内乱を止める会議が行なわれるんです。是非あなた方ランクSの魔法使いも参加してください。詳しいことはヴォルモーデン卿に任せてますから」


 あたしは納得できひんかったけど、イレーネちゃんとクラウスが頷いてもうたので、仕方なく従うことになったんや。


「内乱ってもう起こっているんか?」

「いえ、まだ勃発していません……」


 馬車の中でクラウスに訊ねると流石に疲れとるようでうとうとしながら答えられた。

 イレーネちゃんもあたしの横でぐっすりと寝とる。


「すまんなクラウス。あたし黙っとるから寝えや」

「こちらこそすみません。旅というより移動だったもので。僕の場合は」


 すやすやと眠り出すクラウスをしばらく見て、それから馬車窓から外を見た。


「なんや知らんけど、一雨来るなあ」


 空模様か。もしくはイデアル領か。はたまた両方か。

 予知できないあたしにはそれしか分からんかった。


 馬車での旅の末、ようやくプラトに着いた。久しぶりの故郷に感無量になりながら、あたしたちはヴォルモーデンの屋敷に向かった。

 屋敷に着くと、執事とメイドがずらりと並んで出迎えてくれた。あたしは会釈をしながら、アンダーの言うてた『フィンガーズ』がこの中に何人居るんやろとぼんやり思うた。


「ご主人様とお客様はこちらにいらっしゃいます」


 執事長に案内されて、屋敷の中で一番広い部屋の前に立つ。ノックして中に入ると、そこには懐かしい顔ぶれがあった。

 上座にイデアル公、そして屋敷の主のゴッドハルト・フォン・ヴォルモーデン。その横に控えているのは孫娘、デリアとその兄レオ。そしてランドルフと意外なゲスト、クリスタちゃん。計六人や。


「なんや。ごっつ面白い面子やな」


 そう言うて、下座に座ろうとすると、デリアが立ち上がり、つかつかと傍に寄って――頬を殴ろうとしてきた。

 せやけど、見え見えの大振りやったから思わず避けてもうた。よろめくデリアを咄嗟に支える。


「大丈夫か? 一人で立てるか?」

「――っ! なんでちょっとかっこいい台詞言うのよ! 私は怒っているんだから!」


 何に対して怒ってるのか分からんかったので、とりあえず原因を並べてみる。


「えっと。エルフの国で好き勝手したことか?」

「……違うわよ」

「イレーネちゃんを危険な目に合わせたことか?」

「……それも違う」

「手紙を書かへんかったことか?」

「違うわよ!」


 デリアはあたしをキッと睨んで喚いた。


「いくら皇帝陛下の命令とはいえ、どうして私を心配させるようなことをするわけ!?」


 デリアは思いの丈を大声で叫んだ。


「龍族の復活? フリュイアイランドの陥落!? そんな恐ろしいことに巻き込まれて、この私が心配しないわけがないでしょう! どうして平然としているのよ! 少しはすまなそうにしなさいよ!」


 滅茶苦茶な言い分やった。貴族らしいワガママや。

 でもそれがデリアなりの優しさやと分かっとったので、あたしはデリアを強く抱きしめた。


「ごめんなデリア。心配かけて」

「はあ!? 急に謝らないでよ!」

「あはは。じゃあどうしたらええの?」


 デリアはあたしを突き飛ばすように離れて「もういいわよ! 何よ、いつも大人なんだから!」と言うて、その場で立ち尽くしてしもうた。

 目には涙が溜まっとる。ああ、泣かんでほしいわ。


「すみません。デリア。私たち、その――」

「イレーネ。あなたにも怒っているんだからね!」


 デリアは怒りながら泣いてしもうた。


「まあいいじゃねえか。こうして無事だったんだからよ」


 見かねたランドルフが立ち上がり、デリアの頭をぽんっと叩いた。

 うん? よう見ると……


「なんやランドルフ。あんた背が伸びたな」

「近所のおばさんかあんたは」


 結構ぎりぎりのツッコミをされてもうた。


「まあ俺には怒る権利はないな。一緒に行けば良かったと後悔しているしな」

「ランドルフ。別に後悔せんでもあたしら生きとるからな」 


 この様子を見ていたイデアル公が面白そうにこう言うた。


「これが青春というものかな? 爺よ」

「それにしては青臭いですがな」


 まあ大人からしてみればそんなもんやろうな。


 この後、なんとかデリアを宥めて、ようやく話し合いに入ることになった。


「さて。この場に居るものに告げる。内乱を事前に阻止するためにランクSの魔法使いと特級クラスの騎士に集まってもらった。まずは感謝しよう」


 イデアル公の言葉にあたしは「ちょっと待ってえや」と手を挙げた。


「エーミールはどうしたんや? まだ実家のごたつきが治まってないんか?」


 あたしのこの言葉に皆は沈黙した。なんでや?


「そうか。君は知らないんだな。ユーリ」


 ゴットハルトさんがこの場を代表して言うた。


「そのエーミールくんの実家が問題なのだ」

「はあ? どういうこっちゃ?」


 答えたのはイデアル公だった。


「彼の生家、キーデルレン家は前元帥、バンガドロフの実家である。最後までソクラへの降伏を拒んでいた老人のな」


 そういえば、そないなことがあった気が――


「かの一族はソクラに反乱をしようと企てている。だから――」


 イデアル公は無慈悲に言うた。


「一族郎党を捕らえるか殺すかしなければならない」


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