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あらやだ! コレあれやろアレ! なんやったっけ? そうや転生やろ! ~大阪のおばちゃん、平和な世の中目指して飴ちゃん無双やで!~  作者: 橋本洋一
第十章 エルフの国編

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あらやだ! 皇帝の技だわ!

 あたしの知る皇帝はノース・コンティネントで随一の頭脳の持ち主な変人や。しかし戦闘においてめっちゃ強いとは聞かされとらんかった。何気ない会話でも皇帝は自分の腕自慢を語っておらんかった。

 唯一、皇帝が自分の強さを示したのはランドルフとの会話やった。


『この場にいる全員が相手でも、消し炭が残らないぐらいに燃やし尽くせますし、床を汚すことなく息を止めることもできます。それが『皇帝』の名を継ぐ者の力です』


 そんときは息が止まりそうなくらい殺気を感じたんや。それは地位による威厳とかではなく、純粋に強者の威圧と言うべき、殺気やった。

 その皇帝が本気の戦いをする。想像もつかへんかった。


「行きますよ――まずはこれはどうでしょうか?」


 皇帝が右腕をぶるんと回すと、腕全体が真っ赤に光った――いや、燃えとる!

 それもただ燃えとるだけやない。炎属性の魔法なんかよりも高温やと分かる。こないに離れとるあたしでも熱を感じられるほど、熱い!


「ほう。なかなか面白い技を使うな」


 ケイオスが興味深そうに笑っとる。皇帝はそれに対して冷静に返す。


「ええ。面白い技です。なにせ龍族を滅ぼせるほどの技ですから」


 そう言うて、皇帝はケイオスに向かって突撃した。


「ふん。馬鹿め。ストームブローの餌食だ!」


 ストームブロー? それが空気圧の攻撃の名称か?

 ケイオスは迫り来る皇帝に向かって正拳突きをする――しかし皇帝が右腕を突き出すだけで、何故か空気圧を無効化してしまったらしく、そのまま皇帝はケイオスに向かって右腕を振り下ろした。


「なんだと!? くそ!」


 ケイオスは後ろに下がりつつ、自分の翼で上空に上がり、皇帝の攻撃を回避しよった。


「……油断を誘ったつもりなんですけどね」


 皇帝は右腕を燃やしながら、残念そうに呟いた。


「何故、ストームブローが無効化されたのだ!」

「名前の割りにとても繊細な技ですね。おそらく空気の状態によって突き方も変わるのでしょう。しかし高温によって空気の流れを変えるだけで、いともたやすく無効化できます」


 そして皇帝は次なる技を繰り出した。


「そんなに空高く舞い上がってしまわれたら困りますね。仕方ない。翼のない私は歩くことしかできません」


 そう言うて、皇帝は一歩ずつ階段を昇るように、上空に居るケイオスに向かって歩き出した。


「ど、どないなっとんねん……」


 思わず口から零れた驚きの声。

 しかしよく見ると皇帝はきらりと光る足場か何かを踏み台にして昇っとった。

 それは――ガラスのようにきらきら光る、氷やった。


「空気を凍らせて、階段のように上がっているのか! なんてでたらめな人間なのだ、貴様は!」

「うふふ。焦りましたね」


 ケイオスの近くまで来た皇帝は燃え盛る右腕を振り上げて、一気に迫っていく!

 思わず目を閉じてしもうたけど、肉が斬れる音と焼かれる音が同時に王座の間に響く。


「ぐ、がああああ!」

「おっと。頭部を狙ったのに、腕を犠牲にして逃れるとは」


 恐る恐る目を開けると、左腕を無くしたケイオスが地面に倒れとる。皇帝は余裕をもって、地面に着地した。


「久方ぶりだぞ。腕をもっていかれたのは!」

「久方ぶり? もしかして再生とかできるんですか?」


 ケイオスは立ち上がると「ふん!」と気合を入れる。すると徐々に左腕がにょきにょきと生えてきよった! まるでトカゲの尻尾のようやった。


「もう容赦はしない! これでも食らうがいい!」


 ケイオスは両手を突き出し、先ほどの黒い魔法球を皇帝に向かって放った。今度の魔法球は一部屋ほどの大きな球やった。


「貴様が避けたら、そこにいるイレーネとエルフの王子が死ぬぞ!」


 そうや。対直線上にイレーネちゃんとカサブランカ王子が居った。イレーネちゃんはともかく、王子は動ける状態やない!


「ふうん。それなら無くしてしまえばいい話です」


 皇帝は右腕を普段の燃えてない状態に戻し、両手を前に突き出して、巨大な魔法球に触った――

 すると何の音も立たずに魔法球は消えてしまった。


「――貴様、本当に人間なのか?」


 ケイオスは怒りよりも呆れのほうが強いらしく、そんな問いを発した。

 すると皇帝は「よくぞ訊いてくれました」とにっこりと笑った。


「私、ノース・コンティネントで一番偉い人間なんです」

「……答えになってないが」


 ケイオスは呆れるばかりやった。あたしも「何言うてんねん皇帝」と内心思うた。


「さてと。龍族は六英雄ではないと太刀打ちできないという伝承は本当のようですね。私以外ならとっくに死んでたでしょう」


 皇帝は一歩ずつケイオスに近づいた。


「これで詰みです。悪いですが、帝国のため、死んで――」


 そのときやった。ケイオスの懐から声がしたんや。


『何しているんですか? ケイオスさん』

「……ハブルか。今殺されそうなところだ」


 まるで当然のように言うケイオス。懐の声は『はあ? 何言っているんですか?』と小馬鹿にした反応をする。


『それよりなんであなたはエルフの国にいないんですか?』

「それこそはあ? だな。ちゃんとエルフの国にいる。王城に攻め込んでいる最中だ」

『ううん? あれ、もしかしてケイオスさん、間違えてません?』


 声の主はあっさりととんでもないことを言うた。


『私が言ったのはフリュイアイランドですよ。プラントアイランドではありません。さっさとこっちに来てください。とっくにエルフ共を滅ぼしましたから』


 エルフを滅ぼした? 何を言うて――

 そういえば、エルフの国は二つあって……もしかして、片方の国を滅ぼしたちゅうんか!


「そうか。なら今からそっちに行く」

『まったく。あなたらしい勘違いですね。それじゃあ待ってますので』


 懐の声がしなくなるとケイオスは立ち上がって言うた。


「すまない。どうやら勘違いだったようだ」

「はいそうですかと行かせると思いますか?」


 皇帝の容赦ない声にケイオスは「貴様とはまた後で決着をつけることになるな」と言うた。


「ユーリ。お前への恩は忘れないが、今度会ったときは敵同士だな」

「ケイオス、あんたは何を――」


 ケイオスは答えずに、空高く飛んで、自分の身体を抱きしめるように小さくなり、そして――発光した。

 思わず目を閉じてもうて、再び目を開けると――

 そこには一頭の大きな龍が居った。

 西洋のドラゴン。全体的に黒いけど、背筋はケイオスの髪の色と同じく青かった。

 金色の目でこちらを睨んどる。


「さようならだ。ユーリ。そして皇帝。我輩にはやるべきことがある」


 意味深なことを言うて、ケイオスは王城の壁をぶち壊して、そのままどこかへ去っていった。


「逃がしてしまいましたか……仕方ありませんね」


 皇帝はふうっと溜息を吐いて――そのまま前のめりに倒れた。


「ちょっと皇帝!? 大丈夫か!?」

「ああ、筋肉痛というか反動で動けないだけです。だからあの技を使いたくないんですよ」


 皇帝を抱きかかえて、あたしは「痛いところあったら和らげるで?」と言うた。


「ありがたいですが、他のエルフさんたちの治療をお願いします。私よりも重傷です」

「あ、そうやな。分かった」


 この後、エルフの王子や重臣たちの治療でてんやわんやになってもうた。

 せやから、皇帝がどうして一人で戦ったのか。皇帝の使った技はなんなのか。そして絶滅したはずの龍族が生き残っていたのか。知ることができたのは皇帝と共にエルフの国に戻ったクラウスの説明からやった。


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