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あらやだ! コレあれやろアレ! なんやったっけ? そうや転生やろ! ~大阪のおばちゃん、平和な世の中目指して飴ちゃん無双やで!~  作者: 橋本洋一
第十章 エルフの国編

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あらやだ! ケイオスの正体だわ!

「悪いなユーリ。恩を返すと言いながら仇で返すことになるとは。まあこれも仕方のないことだ」


 ケイオスはカサブランカ王子の首元を締め上げながら、まるで空模様でも語るように、なんでもないように言うた。


「お前が人間で我輩が人間の敵である以上、こうなることは分かっていた。しかしできることなら貴様とは綺麗に別れたかった。それほど、恩が深かったことになるな」

「ケイオス……人間の敵ってどういうことやねん!」

「……それにしてもエルフとは脆い生き物だな」


 あたしの問いに答えずに淡々と王子を見とるケイオス。


「革命軍も脆かったが、国軍も脆かった。なんだあのリアトリスとか言うエルフは。紙のように破くのが容易かったぞ」

「あんた、革命軍まで……!」

「この国に来て分かった。エルフは脆い。身体的な話ではない。同族を差別し、争い合い、奪い合い、憎しみ合う。ふん。確かにハブルの言ってたとおりだな。人間よりもエルフのほうが簒奪しやすいと」

「……ケイオス、その手を放せや」


 あたしは怒りと悲しみがごちゃ混ぜになった、不可解な感情に支配されとった。


「あたしの友人やったら、王子を――」

「ふむ。まあいいだろう。こんな小者、殺しても仕方ないしな」


 そう言うとケイオスは乱雑に王子をあたしたちに向けて放り投げた。イレーネちゃんが駆け寄って「大丈夫ですか!? カサブランカ王子!」と声をかけた。


「しっかり気を持ってください! 死んではいけません!」

「……僕は、ただ、守りたかった、だけだ。この国を……」


 うわごとのように呟く王子を侮蔑した顔で見るケイオス。


「力のない理想家とは見苦しいものだな。さてと。ユーリ、貴様は人やエルフが死ぬのは嫌だと思うか?」

「当たり前やろ!」

「ならば殺さない。そこに居る女王もな」


 気がつかんかったがボタン女王は王座に座ったまま気絶しとった。


「代わりに支配してやろう。我輩が治める、我輩が統べる、素晴らしき国にしてやろう」

「あんた正気か? 誰もついて来んわ! そないな国!」

「何故だ? くだらん身分制度を廃して、素晴らしき政治をしてやるのに」


 ケイオスはにやりと笑うた。


「ま、この我輩が頂点であることには変わりないがな」

「ケイオス……! あんたは何が目的なんや!」

「先ほども言ったが、我輩はこの国が欲しい。ま、ハブルの奴に言われただけだが。あいつが何を考えているのかは分からんがな」


 分からん。ケイオスが何者なのかが分からん。

 この強大な力と禍々しい魔力。人間ではないことは確かや。

 まさか――


「ケイオス、あんたは魔族なんか?」


 信じたくない。友人が魔族なんて。

 でも最初に会ったときを思い出す。


『……お腹が、空いた。食わせてくれ……』


 そう言うてあたしに向かって大きく口を開いた。

 もしかして、あたしに何か食べ物を要求してたんやなくて。

 あたしを食べ物として見てたのやろうか――


「魔族? いやいや、我輩は魔族ではないぞ?」


 手を振って違うことを示すケイオス。

 じゃあ、ケイオスの正体って――


「我輩は――」

「まさか、まだ居たんですね」


 ケイオスが答える前に王座の間に入ってきた人間が居った。


「私のご先祖様が滅ぼしたと思ったのに。生き残りが居るとはね」


 そいつは赤いローブではなく赤い鎧を身に纏っとる。理性的な顔。多分北の大陸で一番賢い人間。


「なんで、あんたがここに居るんや……?」

「それは彼がここに居るとクラウスさんに聞いたからですよ。しかし本当にまさか……」


 赤い鎧の青年――ケーニッヒ・カイザー・ソクラは困惑した表情を見せた。


「まさか龍族の生き残りが居るなんてね」


 龍族! 人間が滅ぼした種族!

 それがケイオスやと言うんか!?


「貴様、確か皇帝だな。どうしてここに――ああ、我輩が居るからだとさっき言ってたな」

「そうです。えっと初めましてと言うべきですかね? それとも――」


 皇帝は剣を構えて言うた。


「さようならと言うべきですかね? あなたはここで死んでもらうんですから」

「はっ! 威勢の良い人間だ!」


 ケイオスは――手のひらを皇帝に向けて、そこから魔法を放った。見たこともない黒い魔法やった。

 皇帝はその魔法を剣で受けた。そして天井に跳ね返す。


「ほう。その剣、素晴らしいな。普通なら砕け散るはずだが」

「皇帝の持つ剣ですよ? それくらい防げて当然です」


 皇帝はあたしに向かって言うた。


「ユーリさん。ケイオスはここで殺しますが、いいですね」

「あ、あんた。龍族と一人で戦うんか!?」


 皇帝は「ええまあ。そういうことになりますね」と軽い感じで答えた。


「ここで殺す? 不可能なことを言うな。人間と龍族の力の差を教えてやろう!」


 ケイオスから発せられる魔力が高まっていく。しかし皇帝は静かに応じた。


「こちらこそ教育してあげますよ。初代の皇帝がいかにして龍族を滅ぼしたのか……六英雄の子孫、舐めないでくださいね」


 ケイオスと皇帝。

 二人の戦いの火蓋が切って落とされた。


 まず動いたのは皇帝やった。素早い動きでケイオスに斬りかかる。


「ふん。貴様は馬鹿か? そんな棒切れで我輩を斬れると思っているのか?」


 ケイオスの言うとおりやった。防御もせず、ただ立っとるだけのケイオスに降りかかった剣は当たっただけで斬ることが適わんかった。


「……最高級の剣、なんですけどね」

「それがどうした? 今度はこっちから行くぞ!」


 ケイオスの攻撃は単純そのものやった。腕を引いて、拳を突き出す。いわゆる正拳突きやった。皇帝は剣を手放して大きく後ろに下がった。

 せやけど――


「うぐっ!」


 何故か当たってへん攻撃が皇帝の腹にダメージを与えたみたいやった。

 皇帝は呆然としとったけど、答えが見つかったらしく、冷静に呟いた。


「なるほど。空気圧ですか」

「よく分かったな。しかし分かったところで防げんよ」


 空気圧? つまり空気を拳で圧しだして攻撃したっちゅうことか!?

 化け物やな……


「これが龍族の力だ。どうだ?」


 勝ち誇るケイオスに対して皇帝はふうっと溜息を吐いた。


「仕方ありませんね。本気出すと筋肉痛で動けなくなりますが」


 皇帝は右腕を前に出して、見得を切る。


「皇帝の力を見せてあげましょう。さあ行きますよ!」


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