ランクAの洞窟と陸竜気
第3の洞窟に足を踏み入れた。瘴気が濃密で息苦しくなる。
いた!体長1m程の蜥蜴型の魔法生物だ。思ったより小さい。体の厚みは最大で20㎝程度だ。
影蜥蜴と命名しておこう。
うおっ!動きが早い。跳躍力もあり、直径3m程の洞窟の床から天井まで跳ねて天井に張り付いたりもする。天井や壁の上を走るし、見かけによらず立体軌道タイプだな。
口を開けて何かを出すぞ。ブレス?いや風槍だった。なかなかの威力だし、これが至近距離から来ると回避できない。口を開けたらその段階で即離脱する必要がある。
影蜥蜴はなかなかの難敵だ。
グンニグルの衝撃突きなら一撃で倒せるが、的が小さいので急所を確実に攻撃するのが難しい。
その他の攻撃だと、魔法でも物理でも2~3発クリーンヒットさせなければ倒れない。
そしてやっかいなことに、結界や魔法盾を消滅させる補助魔法を使う。妙な姿勢で頭を持ち上げへこへこしたと思ったら結界面に小さなつむじ風が起き、一拍後に結界が消えてしまう。
これで聖結界内に留まって安全に攻撃するという必勝パターンを封じられてしまった。
「結界を消す魔法なんてあるのかよ」
聖{蜥蜴型の魔物が使うのは驚きですが、魔族等知能高い系はその系統の魔法はそう珍しくはないです}
地{何事にもこれで絶対というのは無く、なにがしかの対策技があるものだ}
火{力技だけじゃなくて、色々経験積まなきゃだよ}
水{状態異常}
風{そッスね。親分は状態異常耐性をもっと付けた方がいいッスよ}
「そうだよなぁ。って呑気なこと言ってないで、まずは影蜥蜴だよ」
武器をミスリルソードと吸魔剣の双剣スタイルに変える。取り回しと手数優先だ。
とにかく動き回りながら影蜥蜴に斬撃か光矢、あるいは石弾、風刃、落滴で一撃入れて、虚をついて爆で仕留める。影蜥蜴が万全の状態の時は爆は抑え込まれて不発になるがダメージを与えたり心の隙を作ると爆が有効になる。
徐々に調子が上がって来た。3匹までならまずまず安定して倒せるようになったので更に奥へ進む。
少し広い場所に出た。10m四方程度の小部屋だ。ときどきこうした広間的な空間がある。
ん、人がいる?いや、人型の影蜥蜴、影蜥蜴人だ。
剣と槍と斧の3体。影蜥蜴も3匹いるぞ、いきなり敵戦力が跳ね上がった。
これ、対応できるのか?
リザードマン達は移動も身のこなしも素早い!あっと言う間に囲まれた。蜥蜴からは風槍が飛来する。
聖結界を展開。うん、ナイスフォローだ。これで数撃を凌ぎ、散結界風が来るまでの数瞬を稼げる。
風槍を飛ばそうとして蜥蜴の開けた口の中に向けて光矢、そして爆。よし一匹仕留めた。
聖結界が消滅する一瞬前に、突風で上空に飛び、天井を蹴ってリザードマンの背後に降り、光矢と石弾を浴びせつつ、グンニグルの衝撃突きを突き入れる。
受けようとした斧を弾き飛ばしたが、突きの軌道が逸れて、奴の腕を一本粉砕したに留まった。
風槍が飛来したので飛び退って躱す。追いすがる剣と槍をかいくぐって、再び聖結界を展開。
このパターンを繰り返せば、徐々に形勢を有利に持って行けるはずだ。
…と思いきや、瘴気が渦巻いてそこに追加の影蜥蜴が顕現した。
そして、斧持ちのリザードマンの腕の切断面が盛り上がって、再生しつつあるのが見えた。
衝撃の光景に動揺して、消滅する聖結界からの脱出がワンテンポ遅れてしまった。
脱出時にリザードマンの槍の一撃を左腕前腕に受けてしまう。
骨が折れた感触があった。じーんと痺れている。
天井を蹴り、更に空中で突風で軌道を変えながら、蜥蜴2匹の口内に光矢を叩き込み、連続爆で2匹仕留める。聖結界を張り、頭を持ち上げようとする蜥蜴をグンニグルから飛ばした衝撃で吹き飛ばし、空中をねじれながら飛んでいく蜥蜴に石弾で負い撃ち。
蜥蜴がいなくなったこの好機を逃さず、聖結界の耐えられる限度に火力を抑えて油霧と爆で広域爆発。
ドドーン!
聖結界はギリギリ耐えた。洞窟の崩落も辛くも回避できた。
リザードマンは?地面に伏せて頭部を腕でカバーしている。
う、立ち上がった。負傷した部分が再生を開始している。
3か所に瘴気渦ができ、新たな蜥蜴が誕生しようとしている。
まずいな。キリが無い。
「将斗様、撤退をお勧めします!」
「ああ、俺もそう思っていたところだ」
突風プラス暴風で広間の出口へ最大速度で飛び、嵐刃を放つとともに聖結界で壁を作り、しばらく飛び続ける。
洞窟通路の壁や天井に数回体をぶつけて傷だらけになったが、だいぶ距離を稼げた。
広間からは追って来てない。脱出に成功したようだ。
おっと、この場にいた影蜥蜴から風槍の攻撃。回避、光矢、爆のコンボで仕留める。
左腕の骨折はどうなった?
なんと聖竜の『祝福』の治癒作用で、いつの間にか完全に元通りになっている。ありがたや。
「ふー、この洞窟のこれ以上の攻略はまだ早いな。取り敢えずはあの広間の手前までとしておこう」
入手した影蜥蜴の魔石は風属性のランクAだった。結構沢山確保できた。
影蜥蜴人は、おそらく無属性のランクAだろうと思う。
いきなり複数じゃなくて、まず1体で出現して欲しかったぜ、影蜥蜴人。
*****
洞窟を出て一息ついた。ん?この胸騒ぎは…。
確認すると『陸竜気』(*注 陸は六を表します)
来た。そろそろだと思ってた。今度はやっぱりアレだろうか?さっそく顕現させてみる。
どろどろどろん。
なんだかおどろおどろしい感じだぞ?
{おーほっほっほっほ。久々じゃ。久々の娑婆じゃ!小童、褒めてしんぜようぞ}
黒い奴が現れた。女性らしい。なんだか偉そうにしている。
地火風水の4属性竜は平伏状態。
{妾は闇の女王、闇竜じゃ。おお、下僕どもが雁首そろえておるのかや}
聖{偉ぶっちゃだめですよ、闇竜。みなさんお仲間なんだから}
闇{ぴどょっ}なんか変な音?がした。
闇{せ、聖竜!!}あー、天敵だもんなぁ。
新たな竜が顕現した時の竜達のお約束の反応は、反射行動のようなものらしい。
でも俺にとっては、各属性の優劣関係を知るいい機会だ。
基本4属性は、地>水 水>火 火>風 風>地 で対比2倍の効果。
地=火 水=風 ここはフラットだ。
そして基本4属性<聖=光 同様に4属性<闇=氷 ここは1.5倍の効果。
聖>>>>>闇 天敵関係で10倍の効果。
ちなみに光>闇は2倍効果。光=氷 光と氷はフラットだ。
火竜がこっそり(震えながら)教えてくれたところでは、闇竜の生前種である黒竜は希少種として数百年前まで現存しており、全ての現代竜を凌駕する攻撃力を持つ現存古代種として崇められ、かつその残虐な性格と変態的な嗜好により、大いに恐れられていたとのこと。
聖{でも精霊になった闇竜は、悪い子じゃないのよ}
はい、聖竜さんのフォロー入りました。さすが良心の鏡。
聖{主を小童呼ばわりするはもってのほかですけどね}
闇{そ、そうじゃな。では若輩殿とでも呼ばせてもらおうか}
それ蔑称じゃないのかよ。
まあ実際、俺が生きて来た時間は、竜達とは比べるべくもなく短いんだからいいけどさ。
「それで闇竜、今の状態で何が出来る?」
闇{ふん、聞いて驚け。おろ?な、なんじゃ、こわっ…いや若輩殿が未熟ゆえ制限がきついのじゃ。今のところ妾に出来るのはこれだけじゃの}
自己確認の表示画面に現れたのは、闇魔法として『闇手、闇針、闇糸、傀儡』、更に氷魔法として『氷焉、氷砕』の計6つ。
俺の魔法としては攻撃の氷魔法として氷縛と氷杭、技能魔法として付呪の3つ。
名称は押しなべて気持ち悪いけど、この9つの魔法、その効果は実に素晴らしいものだった!
*****
クリュウ・マスタ 自由人
素養
言語対応
東方共通言語/古代神聖言語
鑑定
自己鑑定
魔術
練魔素
生活魔法
飲料水/パン/浄化/着火
土魔法B
石礫B/土槍B/石盾
火魔法B
火球B/炎盾
水魔法B
水流刃B/水盾
風魔法A
風爪B/突風A/風盾/空調
植物利用
成長促進/植物素材
聖魔法
聖治癒
光魔法
光矢B
氷魔法←NEW!
氷縛/氷杭←NEW!
金属加工
変形/修復
製薬
付呪←NEW!
精霊術
練霊素/精霊の声/陸竜気←NEW!
超取得/超成長/超回復/知覚同調/竜知覚(抑)
スペック
FL58-1144B(256,085)←UP!
フィジカルレベル59←UP!
戦闘力1144←UP!
ランクB
次のレベルまであと経験値256,085
ML59-1258/1258B(381,302)←UP!
マジカルレベル59←UP!
魔力量1258←UP!
ランクB
次のレベルまであと魔術経験値381,302
SL60-1661/1384(+277)B(439,563)←UP!
スピリチュアルレベル60←UP!
霊力量1384←UP!
ランクB
次のレベルまであと精霊術経験値439,563
スキル
剣術A/槍術A←UP!/投石術B/格闘術A/盾術B/弓術B
装備
神槍グンニグル1500
ミスリルソード150/ミスリルスーツ180/ミスリルフード100/
ミスリル手袋50/ ミスリルブーツ50/ミスリルリング(+20%)
吸魔の剣50
主なアイテム
魔兎執事マット/珊瑚の指輪/封印玉/霊力の指輪
魔収納/ミスリルナイフ/テント/
寝袋/調理セット
魔石 火A12B11、闇A・B4、水A・B10、地B10、風A25
回復薬上・極10/傷薬下・極10/毒消し下・極10/防眠薬下/
万能薬下/エリクサー極
魔力充填薬極10/魔力回復促進薬極10/霊力充填薬極10/
霊力回復促進薬極10/
所持金 201,427G
(注)ランクG=初心者 F=劣る E=普通 D=良い C=優秀
B=傑出 A=達人級