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ゴロツキと山賊湖賊

冒険者ギルド創設から2か月め、季節は夏である。ケフの夏はそこそこ暑い。

コンクリートジャングルの東京程ではないが、故郷の北国よりは確実に蒸し暑い。

まあ俺は『空調』があるから平気だが、世間一般では暑くてだれてイライラして、ストレスマックスだ。

温度調節や氷系のスキル持ち旧貴族は、能力を発揮して荒稼ぎしている。

ちなみに俺の『飲料水』も冷たくて美味しいと好評だが、これは無料で知り合い限定で提供している。


さて今は相談室で、ユリア達改革派メンバーと定期会合をしている最中だ。

氷系スキルを贅沢に使用した氷菓、まあかき氷みたいな奴だね、を食しながら報告を聞く。

宰相「冒険者ギルドの活動は極めて順調です。現状の全ての好循環の源泉と言えましょう。ただ…」

俺「ただ、どしたの?」

宰相「ゴロツキとでもいうべき質の悪い傭兵くずれが急増して治安を乱しています」

暑くて気が短くなっているのかな?


ララ「うん。最近苦情がとても多いよ」

ユリア「傭兵に品位を求めてもしょうがないから大目に見てたけど、最近のは特別な悪意を感じるよ。わざと冒険者の評判を落とそうと意図してる感じ。私が立ち会った時は登録を不許可にしてるんだけど、それでも冒険者のふりをして悪さをしてる」

俺「それはなんか変だな。捨て置けない」

キース「とっ捕まえて吐かせるか」

*****


ということで囮捜査として、俺はユリアとララを連れて街中をぶらぶら歩いている。

ユリアとララは街娘の扮装で、俺はぼろっちい革鎧の軽装。

ルーキー冒険者の生意気な若造が可愛い娘を2人連れて得意げに歩いている雰囲気が醸し出されている。

まあ、ある意味そのとおりではあるんだけどな(笑)。この世界に来てからまだ3~4か月だし。


ユ「たまにはこうして屋台で買い食いもいいもんだな」

ラ「えへへ、役得役得。あ、あの指輪カワイイ!」

俺「どれにするか1分以内に決めてくれたら買ってあげるよ」

「「えー!!」」

ちなみにキース率いる近衛兵が2人ずつ4組、四方に潜んで警戒している。


「おいおい、お楽しみじゃねえか。俺様も混ぜてくれよ」

「おでは、このちっこい娘に決めだ。1分以内だから譲るだ」

「おらっちはこっちの細い娘がいいずら」

「おいこら、お前らは俺様の後だからな」

ゴロツキ3人が絡んで来た。大柄で不潔な外見、近寄ると酷く臭い。


ユリアの顔を覗くと、コクっとわずかに頷く。こいつらでいいみたいだ。

「何勝手なこと言ってるんですか?大切な仲間ですから譲れるわけありませんよ」

「「キャーッ」」俺の後ろにかわい子ぶって隠れるユリアとララ。

そのわざとらしさに笑いをこらえるのが苦しくて、プルプル震えてしまう。


そんな俺達の様子を見て気を良くしたゴロツキどもは、ニタニタ笑いながら不用意に歩み寄って来る。

『おで』が踏み出した足を降ろそうとする瞬間に後方に蹴り込むと、バランスを崩して前のめりになる。

その後ろ頸に軽く手刀を合わせて勢いをつけると、『おで』は倒れて顔面を地面に強打する。

次にと言ってもほぼ同時に、『おらっち』も同様にして俯せに倒す。

ララが水球をふたつ浮かべていた。後は任せた。


リーダー?の『俺様』は、左手で腰の剣の鞘を掴み、右手で抜剣しようとしていた。

突風を使い、瞬時に奴の背後に回り込む。

「うおっ!?消えやがった」

俺様は目の前の敵を見失ってうろたえている。

背後から鞘を持つ手と剣を持つ手の手首をつかみ、背中に捻じり上げて関節を極め、更に下方に誘導して跪かせて動きを制する。


膝で背中を圧して顔を地面に押し付け、捻じり上げた手首の先の剣を首の後ろに当てて、

「動けば斬る」と脅す。

「ひぃぃー。動きません。動きませんからー」

ちらっと顔を上げて確認すると、『おで』と『おらっち』は、意識を失いぴくぴく痙攣していた。

後頭部に水球の直撃を受けたと見える。乙女の怒りだな。

すぐにキース達が、駆け寄って来る。


「近衛兵です。こいつらの身柄は預かります」

「お願いします」

パチパチパチ。はぁぁー。まばらな拍手とほっとしたような吐息。

見守っていた街の人々も、迷惑を振りまいていたゴロツキが捕まって留飲を下げたようだ。


近衛隊が多少手荒な尋問技能と真偽官を交えて聴取した結果、ゴロツキどもは謎の男らに1日金貨1枚の日当で、ケフの街中で傍若無人に振舞うよう仕向けられていたことが判明した。

謎の男らは、ガタイが良く背筋がピシッと伸び、統率の取れた一団で、まるでどこぞの兵のようだったとのこと。


キース「ケフの復興を妨害したい者が背後にいる。どうも国規模の勢力のようだな」

宰相「治安維持のために近衛兵と魔法衛士の一定数を割くことにしましょう」

ユリア「冒険者に街中巡回の依頼を出すのもいいかも知れないわね」

俺「この際、登録冒険者の行動ルールとペナルティを整備したいね」

ララ「一般人や下級冒険者に因縁をつけたら厳罰にしようよ」

雨降って地固まる。こうして治安維持のための体制も徐々に整備されて行くのであった。

*****


同じ頃、山賊被害も増えていた。

「C級冒険者パーティの護衛もろとも全滅です。荷物と馬は奪われ、馬車は壊されました」

被害現場を発見した巡回冒険者パーティーのリーダーがそう報告した。

宰相「またか。今度も食料を搬入するはずだった商隊だ。そろそろ食糧庫の備蓄が危ない」

ジャレス「護衛を増やしましょう。B級パーティー、あるいはC級なら2パーティー」

宰相「止むを得ん、増加費用は国庫負担だ。とにかく食料確保が急務だ」


数日前こんなやり取りがあった。

なので俺は、街道上空をパトロール飛行している。今日食料搬入の商隊が通過するからだ。

む?案の定、街道で戦闘が発生している。

商隊を襲っているのは…、なんと数十人の組織的な賊。まるで軍隊のような、というか軍隊そのもの?


上空から攻撃を開始する。

敵軍の背後に炎で火壁を展開して退路を断つ。

その上で、石弾、風刃、落滴を、適宜敵兵に叩き込む。

味方の負傷者に対しては、重症な者から順に聖竜が治癒して行く。

一瞬で形成が逆転し、程なく賊の制圧が完了した。


襲撃を受けていた馬車の前に降り立つ。

「マサト殿!助かったぜ」

B級パーティー鋼の烈刃リーダーのアントンだ。七星結界内で数回戦っている顔なじみだ。

「やあアントン、ご苦労様。それであいつらは何者?」

「あの装備からするとオーツ軍だと思うんだが。おーい、まだ息のある奴をひとりふたり確保しろ」


黒幕はオーツか!?計画的にケフへの食糧搬入を狙い撃ちしているのはほぼ確定だな。

だとすると、他街道も危険だ。こうしちゃおれん。

この場はアントンに任せて、離陸する。

やっぱり!他の街道でも食料搬入隊が襲撃されていた。

空からの攻撃は完全に想定外なようで、制圧は容易かった。

街道上空を時速100キロでパトロール飛行し、なんとこの日だけで5か所、賊軍合計400名を打ち取った。

*****


宰相「敵がオーツだとすると湖上輸送も危険ですな」

ヒルマン「近衛兵と魔法衛士を各船に10人ずつ護衛として乗せましょう」

俺「ケフの船は運航してるんだ」

ユリア「生贄を投げ込めば水神を制御出来ることがわかったから復活してるのよ」

宰相「水神で運航不能になった際に、他国は船をオーツに捨て値で売却しましたが、ケフは王様の先見の明で逆に数隻購入していたんですよ」


というやりとりもあったので、湖上もパトロール飛行している。

「うん?ケフの船に異常接近してくる船があるな。ありゃ湖賊船かな」

風{湖賊船が航行できる段階でオーツ船だってばればれッスね}

「それでも図々しくすっトボケるんだろうけどさ」


湖賊船は投石機を積んでおり、石砲弾が飛んでいる。

精度は低く、なかなか当たりそうにない。しかし、当たるとただでは済まないぞ。

双方から火矢が飛んでいるが、弓兵の数でも湖賊船の方が優勢か。

ケフは兵が10人だけど、湖賊船にはそれ以上乗っているようだ。

おっ!双方から魔法攻撃が飛ぶ。これはケフが優勢だ。

ケフは魔法使いが10人、湖賊船は2~3人程度かな。


湖賊船の魔法は全て途中で撃ち落されたが、ケフの魔法は湖賊船に命中している。

魔法の命中率は高い。意識でのコントロールだから適船が見えていれば的は大きいし、当たるよなー。

おっとー、湖賊船が逃げ始めたぞ。ケフ船、強し。

ケフ商船上では、勝利の歓声が上がっている。

両船の距離が開いていく。

ケフの船は、湖賊船は追跡せずに、食料搬入任務を優先させるようだ。


さてと、それじゃあ俺が空から追跡しようか。

俺の姿に気付いて、投石機と弓で上空を攻撃してきやがったぞ。

「水竜、殺さない程度でアレを頼む」

水{(コクン)フフフ}阿吽の呼吸は心地良いのー。

毒霧で船を丸ごと覆う。弓の勢いが廃れ、やがて沈黙する。

制圧完了。空軍が圧倒的に有利だな。



「風竜、沈まない程度で暴風を頼む。サモンの港まで」

風{お安い御用ッス}

暴風を優しく当てて、港まで湖賊船を曳航する。

これで証拠は確保できたぞ。

ケフ軍にじっくりと検証してもらおう。

*****

ギルド創設2か月目 夏


クリュウ・マスタ 自由人

素養

 言語対応

   東方共通言語/古代神聖文字

 鑑定

   自己鑑定

 魔術

   練魔素

   生活魔法

     飲料水/パン/浄化/着火

土魔法B

     石礫B/土槍B/石盾

   火魔法B

     火球B/炎盾

   水魔法B

     水流刃B/水盾

風魔法A

     風爪B/突風A/風盾/空調

  植物利用

     成長促進/植物素材

   聖魔法

     聖治癒

   光魔法

     光矢B

   金属加工

     変形/修復

製薬

 精霊術

   練霊素/精霊の声/伍竜気

     

 超取得/超成長/超回復/知覚同調/竜知覚(抑)


スペック

 FL56-945B(146,448)←UP!

 フィジカルレベル56←UP!

 戦闘力945←UP!

 ランクB

 次のレベルまであと経験値146,448

 

 ML56-945/945B(102,396)←UP!

 マジカルレベル56←UP!

 魔力量945←UP!

 ランクB

 次のレベルまであと魔術経験値102,396


 SL56-1323/945(+189)B(77,084)←UP!

 スピリチュアルレベル56←UP!

 霊力量945←UP!

 ランクB

 次のレベルまであと精霊術経験値77,084

スキル

 剣術A/槍術B/投石術B/格闘術A/盾術B/弓術B



装備

 ミスリルソード150/ミスリルスーツ180/ミスリルフード100/

 ミスリル手袋50/ ミスリルブーツ50/ミスリルリング(+20%)

吸魔の剣50


主なアイテム

 魔収納/ミスリルナイフ/テント/寝袋/調理セット

 魔石 火A、闇A・B4、水A・B10、地B10、風A

 回復薬上・極10/傷薬下・極10/毒消し下・極10/防眠薬下/万能薬下/

 魔力充填薬極10/魔力回復促進薬極10/霊力充填薬極10/

 霊力回復促進薬極10/エリクサー極


所持金 121,883G


(注)ランクG=初心者 F=劣る E=普通 D=良い C=優秀

      B=傑出 A=達人級






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