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強者6人衆

戦士2人が突進してくる。

残りの戦士1名は魔法使いの傍にとどまり、魔法使い達は詠唱に入っている。

「よし、ひとまず敵の攻撃を見させてもらおうか」

慢心だった。絶好の攻撃チャンスをみすみす見逃してしまった。


迫りくる戦士は1人が長大な槍、もう一人は大剣だ。

2人が間合いに入る直前に、体に幾重にも魔力の障壁を纏ったのが気配で分かった。

そして2人とも身体強化で速度が倍速に近くなっている。

数合打ち合って嫌というほどに分ったが、技量も凄い。


速度、力、技、そして瞬時に弱点を突いて来る練度。

こいつらふたりとも凄い戦士だ。

突風を加味した足捌き体捌きでも躱し切れない。

幾度も致命的な突きや斬撃を入れられそうになる。

伍竜が盾を展開して捌いてくれなければ、もう何回も死んでいただろう。


このままだとじりじりと魔力霊力を削られて、いずれはやられる。

聖{聖光領域展開するわよ}

その瞬間、攻防が逆転した。

敵の動きは鈍くなり俺は鋭くなった。敵の攻撃の威力は下がり、俺の攻撃威力が上がる。

敵は全能力にマイナス10%補正、こちらは全能力にプラス10%補正がかかったのだ。

ほぼ拮抗している状況下でのこの補正の意味合いは大きい。

今度は俺が二人を押し始めた。


しかし両戦士は魔法使いの援護の魔力障壁で守られていて、こちらの攻撃は当たっても通らない。

ミスリルソードで障壁の1枚か2枚を切り裂き、吸魔の剣で触れた1枚を完全消滅させられるが、直後に張り直される。両名には連撃を入れられるだけの隙は無い。

障壁はどうやら一人当たり4枚はありそうだ。

そうこうするうちに、敵魔法使いからの遠隔攻撃が始まった。

火、土、風三属性の、球、矢、槍が飛んでくる。

流石に完全には躱しきれず、全身傷だらけになってしまう。


聖{聖結界を張るからしばらくじっとしていてね}

聖竜が強力な結界を張ってくれた。

聖結界は固定タイプなので、この場に留まっていなければならないのが難点だが、一息付けた。

その間に聖治癒で傷を治す。これで体は完全体に戻ったぞ。

聖結界は、中から外を攻撃できる。

風爪で射程を伸ばした双剣で敵2戦士を牽制しつつ、遠くの4人に光矢を放ってみたが、光矢は見えない壁に阻まれた。


聖{敵も聖結界を張ってるわね}

地{火、土、風の障壁も展開されてるぞ}

風{あ、魔法攻撃が来るっス}

火、土、風の、球、矢、槍がこちらの結界を攻撃し、色鮮やかな弾幕を作る。

結界が揺れている。


聖{これくらいなら平気よ。破られる前に余裕で張り直せるから}

{聖結界を破るにはどうすればいいんだ?}

聖{物量ね。4属性魔法でもいいけど、効果的なのは物理、光、聖属性の攻撃かしら}

{よし、水竜の油霧と火竜の爆で敵結界を全体攻撃してくれ。俺は光矢を連続照射するから地竜と風竜は同じ個所にピンポイント攻撃を重ねること。敵結界に穴が開いたら、油爆を内部で発生させる。聖竜はこちらの聖結界を全力で維持だ}

火{やっぱり攻撃しなきゃだよねっ!}水{(コクコク)}地{おう}風{やるっス}聖{任せて}


ドムッ、くぐもった音がした。油爆が炸裂し、敵結界ごと膨れ上がる火球に包まれている。

俺は光矢を正面の一点に連続で放つ。石弾と風刃の連射が重なる。

油爆は数度炸裂しているが距離が近く音が大き過ぎたためか、耳がバカになり世界は無音だ。

集中攻撃点から敵結界が破れた!

すかさず破れ目から侵入した油爆が内部で炸裂し、敵4人が宙を舞う。

俺は結界を飛び出し、突風を使って宙を飛んで、不規則に回転するローブ姿の2人を斬った。

やった。2名の生命反応が消失。

そのまま死体を七星結界外に蹴り出す。目の端に無事再生した魔法使い2人の姿を捉えた。

よし、これで残り4人だ!


油爆の洗礼を浴びた残り2名は、早々と制御を取り戻し空中姿勢をただして、ふわりと着地する。

そして今度は戦士3人が俺を取り囲む。新たに加わったのは、両手剣使い。なんとこいつが一番強い。

最後の魔法使いは新たに自分用の聖結界を張り、結界内部から敵全員を治癒した。

敵戦士3名は、みな状況判断に優れており、互いに邪魔することなく効率的に俺を攻める。

敵の攻撃圧力が強まった。特に両手剣の連撃が早くて何度も浅く斬られてしまう。

そちらの注意を傾けすぎると、長槍と大剣の致命的な攻撃を喰らいそうになる。


竜知覚(抑)で状況を掴み、合気で培った読みを活かし、突風で瞬間的に速度を増したり変則的な動きを可能にする。そして風爪で射程を伸ばしたりあり得ないところに刃を作って攻撃防御する。

これらを駆使しても、致命傷を喰らわないことが精一杯で、敵にダメージを与えるどころではない。

3対1では敵わない。なので、竜の援護を頼んだ。


地火風水竜が背後や上空あるいは足下から魔法攻撃を加えてもらった。

そうすると流石に、形勢は劇的に有利になる。

槍と大剣は魔法防御障壁が2枚、両手剣は1枚であることが判る。さっきより薄くなっているぞ。

念話で密に連絡の取れる俺達の連携は完璧だ。徐々に敵にダメージが蓄積する。

敵聖魔法の治癒は追い付かない。


火{爆で槍持ちを攻めるよ}水{上から落滴}

地{土槍で奴の足を縫いとめる}

風{上体に後ろから暴風を当てるっス}

これらが同時に実行されたため、槍持ちは2枚の障壁を失い、バランスを崩して前につんのめるので、俺は素早く上からミスリルソードを振り下ろしてその首を落とす。

よし、あと3人。


同じことを大剣持ちにかますと、つんのめりながらも顔を上げ、大剣で後頭部をカバーしつつ反撃の機会を探っている。なかなかやるな。

俺は動きが止まったそいつの目を覗き込み、そして光矢を発する。

奴の目から頭蓋の内部まで細く光が通り、生命反応消失。

あと2人。


少し余裕が生まれたので、最強剣士である両手剣持ちとタイマン勝負をして見よう。

少々打ち合ってみると驚いたことに、聖光領域内であるにも関わらず、相手の技量は俺を凌駕している。

普通に打ち合うと徐々に押し込まれ、竜の盾でなんとか窮地を脱すること数度。

それでも鍔迫り合いとなった際に、肘や膝から出した風爪で敵に傷を負わせダメージを積み重ねる。

奴にはもはや魔法障壁は無く、治癒も行われていない。

地{敵の聖魔法使いは魔力枯渇のようだ。膝を付いて喘いでいる}


よし、ここで決める!

数合打ち合って、間合いを詰め、鍔迫り合いとなったところで、剣を手放し、敵の両手首をつかむ。

瞬時に手首と肘の関節を極め、足を飛ばし、全身の力を総動員させて、奴をぐりんと縦に回転させた。

敵は一瞬残像で円盤を形成した後、地に打ち据えられた。裏合気の投げは敵を逃がさない!

相手の体の下には、俺の足先から伸ばした風爪と、地面から生やした土槍。

風爪が首に食い込み、土槍が肩と心臓と下腹部を貫く。

やった、奴の生命反応が消失した。地力で俺に勝る敵を倒したぞ!

未知の技である合気は初見の相手には特に効く。


最後に残った聖魔法使いの方を見ると、やつは、参ったとばかりに手を上げて、よろよろと立ち上がって自ら七星結界外に出た。

「勝者マサト殿!」判定の声が掛かる。

一瞬の間を置いたのち、歓声が上がり拍手が沸き起こった。

「「おおぉぉーー!」」「凄い!」「見事だ」「次元が違う」「えっえっ?」「何がどうなった?」

若干、理解していない人もいるようだが、俺は押し寄せた讃えてくれる人達に包み込まれてしまった。


騒ぎが収まった時には、あの6人の姿は既に無かった。

「皆さん消耗が激しいようで、直ぐにお帰りになりました」

「どこのどなたかは分かりませんでしたなぁ」

検分役のルモンドさんとジャレスさんがそう言うが、顔に冷や汗をかいており、なんだか怪しい…。


とにかく、この戦闘で俺が得た経験値はなんと8万越え。

確かに、滅茶苦茶強い人達だった。

シガキを襲った数千の魔物軍団が烏合の衆だということが良く分かった。

聖魔法使いと両手剣持ちの戦士は抜きんでて強かったし、他の4名も手練れだった。

知性的に連携して互いの力を活かした攻防をする戦力がこんなにも恐ろしいとは。

これを思い知ったのは大きな収穫だ。


傍目には1体6に見えるだろうけど、実際には伍竜を入れると6対6。

最初から戦士3名の全力で来られたら危うかったと思う。

このレベルの敵人数がもっと多かったら完全に詰んでいた。

ケフ1国だけでもこんなにも強い兵がいるということを肝に銘じないと、到底長生きなどできない。

慢心してはいけないし、常に研鑽を忘れないようにしようと決意を新たにする俺であった。


七星結界の維持時間は1時間だが、朝昼晩と顔を出して、1日3時間は使えるようにした。

結界設置者特典として、俺は優先的に毎日数戦は七星結界模擬戦を行ったが、謎の6人衆程の強敵は現れず、訓練の場においては経験値が1戦で2万を超えることは稀であった。

それでも俺と戦いたがる人は引きも切らなかったので、最低でも同時に6人、大抵は3パーティ―18人を同時に相手にして戦い、日々相当の経験値を獲得することができた。


なお、たとえ負けても、降参ではなく死んでいれば一定の経験値を獲得することが出来ること、そして自分を殺した相手が強いほど獲得経験値が多いことが分かった。

実戦では死んだら終わりだが、再生できる七星結果特有の経験値獲得手段である。

それゆえ皆、強い相手にも積極果敢に挑んだのであり、数多の死をも恐れぬ戦闘狂が生み出されることとなったのであった。


やがて七星結界を囲んですり鉢状の観覧席が設けられ、七星結界模擬戦は冒険者の見る訓練になっただけでなく、市民の重要な娯楽にもなっていった。

古代ローマにおけるコロッセオの剣闘士、あれの簡易版という感じだ。

強い者見たさ、怖いもの見たさに人が集まった。

模擬戦が行われる時間には出店も出現し、他国からの観光客も押し寄せて、外貨獲得手段となり、ケフの財政立て直しにも貢献することとなったのである。


もちろん七星結界の本来の効能として、実戦感覚を磨き、経験値を獲得してレベルアップすることによって、冒険者やケフ兵士を精強なものに鍛え上げて行ったことは言うまでもない。

ちなみに、ケフ軍の特徴は魔法使いの数が多いことである。

小都市国家連合最強の魔法軍であることは万人の認めるところであり、大陸中でも屈指の強さであったが、実戦訓練の困難な魔法使い達が、七星結界のお陰で更にぐんぐんとその強さを伸ばしていったのである。

*****

冒険者ギルド試行開始から3週後


クリュウ・マスタ 自由人

素養

 言語対応

   東方共通言語/古代神聖文字

 鑑定

   自己鑑定

 魔術

   練魔素

   生活魔法

     飲料水/パン/浄化/着火

土魔法B

     石礫B/土槍D/石盾

   火魔法B

     火球B/炎盾

   水魔法C

     水流刃C/水盾

風魔法B

     風爪C/突風B/風盾/空調

   聖魔法

     聖治癒

   光魔法

     光矢C←UP!


  植物利用

     成長促進/植物素材

    金属加工

     変形/修復

  製薬

 精霊術

   練霊素/精霊の声/伍竜気

     

 超取得/超成長/超回復/知覚同調/竜知覚(抑)


スペック

 FL50-534B(74,835)←UP!

 フィジカルレベル50←UP!

 戦闘力534←UP!

 ランクB

 次のレベルまであと経験値74,835

 

 ML50-534/534B(34,726)←UP!

 マジカルレベル50←UP!

 魔力量534←UP!

 ランクB

 次のレベルまであと魔術経験値34,726


 SL51-704/587(+117)B(36,004)←UP!

 スピリチュアルレベル51←UP!

 霊力量587←UP!

 ランクB

 次のレベルまであと精霊術経験値35,228

スキル

 剣術A/槍術C/投石術C←UP!/格闘術A/盾術B/弓術C←UP!


装備

 ミスリルソード150/ミスリルスーツ180/ミスリルフード100/

 ミスリル手袋50/ ミスリルブーツ50/ミスリルリング(+20%)

吸魔の剣50


主なアイテム

 魔収納/ミスリルナイフ/テント/寝袋/

 魔石 火A、闇A・B4、水A・B10、地B10、風A

 回復薬上・極10/傷薬下・極10/毒消し下・極10/防眠薬下/万能薬下/

 魔力充填薬極10/魔力回復促進薬極10/霊力充填薬極10/

 霊力回復促進薬極10/エリクサー極


所持金 1,125G


(注)ランクG=初心者 F=劣る E=普通 D=良い C=優秀

      B=傑出 A=達人級


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