21 夏祭り 当日2
翌日、朝は平太一人であちこちをぶらついて見学し、昼過ぎにパーシェと待ち合わせている神殿前に向かう。
(あんな美人さんとのデート! うおおぉっ緊張してきたーっ)
いまさらながら緊張してきた平太は硬い動きで神殿へと歩く。
おかしな動きになっている平太を周囲の人間は、奇異の視線で見たり、なんとなく緊張している内容を推測し微笑ましそうな視線を向けている。
(服とか気にしなかったけど、正装した方がよかったか? いや変にはりきりすぎると周囲から浮いてパーシェさんを困らせかねない。だから普段着は正解なはず!)
着ているものも普段からミレアがきちんと洗濯し皺ものばしているので、だらしない雰囲気を与えるものではない。
(今から緊張しても疲れるだけだ。落ち着こう。落ち着くには……好きなものを想像するか。好きなもの、それはおっぱい!)
緊張しているせいか、思考がおかしな方向に進む。これまでに見たおっぱいについて考えているうちに神殿前に到着する。
到着しても考えに没頭し歩き続け、街路樹にぶつかって止まる。
「あたたた」
木にでこをぶつけたことで、考えごとが中断された。
(よくよく考えたらデート前におっぱいのこと考えるって、ただの馬鹿か変態だ)
先ほどまでのおかしな思考を思い返し、若干へこみながらパーシェを待つ。
煩悩退散と繰り返していると、日傘を差したパーシェとその護衛が近づいてくるのが見えた。
(あ、二人きりじゃないのか。当然だなぁ。常に誰かに見られているなら、おかしなことできないしある意味安心だ)
パーシェは平太を見つけると、護衛二人に話しかけた。さすがに近い位置での護衛は無粋だと思い、少し離れた位置にいてくれと頼んだのだ。
護衛たちはそれに了承し、その場に留まり、パーシェだけが平太に近づく。
パーシェの服装は薄い空色ノースリーブワンピースに極薄のストール。足下は涼しげな白のサンダルだ。
香水を使っているのか、近づいてきたパーシェからはほのかに甘い匂いが漂ってきた。
「こんにちは、お待たせしてしまいましたか?」
「いえ、そこまで待ってませんよ。今日の服もお似合いですね」
とりあえず思ったことを口に出す。
「ふふ、ありがとうございます。あれこれ悩んだかいがありますわ」
平太がどういった反応を見せるか考えながら選ぶ、その悩む時間が楽しくもあった。
「俺相手にあれこれ悩んだというのはもったいない気がしますが、嬉しくもありますね。俺は普段着る服ですから、ちょっと申し訳ないです」
「今日のおでかけは気取ったものじゃないですし、その服装で十分ですよ」
「そう言ってもらえるとありがたいです。では早速行きましょうか。と言ってもどこに行くか決めてないんですが」
「私もですよ。まずはあちこちを歩いてみましょう」
平太とパーシェは並んで歩き始める。その後ろに護衛がついていく。
「王都でもこの時期に祭りがあるらしいですね」
ゆっくりと歩きながら平太は話題を振る。
「ええ、人が多く集まる場所だけあって、規模も大きなものですよ。でもこちらの熱気もなかなかのものです」
「王都では毎年参加してました? それとも店の手伝いで忙しかったですかね」
「子供の頃は護衛に守られながら参加してましたね。あちこちに興味が向いて、護衛の皆さんは大変な思いをしたと思います」
あっち行ったりこっちに行ったりしていた子供の頃を思い出し、懐かしく笑みがこぼれる。
「十三、四くらいから店の手伝いを始めて遊ぶための参加というのは減っていきました。でもここ数年は妹と一緒に楽しんでいましたよ。やはり姉妹なのでしょうね、妹もあちこちに行きたがってました」
今年は婚約者であるロディスと回るのかしら、と心の中で呟く。
相手が王族なのでおおっぴらに歩き回るのは難しいかもしれないとも考え、シェルリアが祭りを楽しめることを祈る。
(まあ、あれだけ好意を向けているのだから王子も時間の都合をつけるでしょう)
「パーシェさん?」
急に無言になったパーシェに平太が声をかける。
「あ、ごめんなさい。妹は今年誰と祭りを回るのか考えていました」
「家族じゃないんですか?」
「ロディス様がいますから、今年はあの方と回るのかなと」
「ああ、あれだけラブラブなら一緒に祭りを楽しむかもしれませんね」
日本だと二十過ぎの男が十三才の少女と、明らかに恋人オーラを出して一緒に出歩いていたら警察に声をかけられそうだった。
「ロディス様のご都合がつけばいいのですけど。無理にでも時間を空ける可能性もありますが」
「もしかしたらラッドが仕事の一部を受け持つかも? 完全に想像で言ってますが」
「受け持てるものなのでしょうか? 王都のことをいつまでも心配しても仕方ありませんね。こちらはこちらで楽しみましょう。あちらで芸をやっています、見てみませんか」
パーシェが指さした方向には金属の筒を使った、ローラーバランスを行っている者たちがいる。
「バランスとりながら、皿回しまで! すごいですね!」
感心した視線を向けるパーシェ。それに平太も同意する。成長して身体能力が上がったとはいえ、あれができるかと問われると首を傾げざるを得ないのだ。
「今度は筒の数を増やすようですね。上手くいくのでしょうか」
ハラハラとした表情でパーシェは芸を見つめている。
三つの筒を使って、ややふらつきながらも転ぶことのないパフォーマーにパーシェと平太は盛大な拍手を送り、硬貨を地面に置かれているざるに投げ入れる。
「すごかったですね!」
「うん。あのバランス感覚は真似できない」
平太は芸だけじゃなく、コロコロと変わるパーシェの表情も楽しむことができた。美人がはしゃぐ姿を間近で見ることができて眼福だった。
「次はなにを見ることができるでしょうか? 楽しみです」
「昨日はジャグリングとかパントマイムとか見ましたね、あれはあれですごい芸でした」
「私も王都で見たことありますよ。小さい頃はパントマイムを見て、本当に見えない壁があるものと思ってました」
パフォーマンスが終わったあとに触りに行って、周囲の大人たちから微笑ましい視線を向けられたことを思い出し、恥ずかしさと懐かしさが思い出される。
次はそれらを見に行こうということになり、ミレアたちと行ったパフォーマーが集まる区域に向かう。
その途中で、昨日も声をかけられた露店にまた声をかけられた。
「お、昨日の兄ちゃんじゃないか。今日はまた別の美人を連れてるのか、羨ましいな」
「今日もまたプレゼント用に買えって言うつもりか?」
そう返すと店主は悩んだ表情を見せる。
「できればそう言いたいが、今日連れてる人にうちの商品あわなそうなんだよな」
いいところの出ということをなんとなく察したのか、売ることに乗り気ではない。
「いいところの人だからなぁ。ここのある商品が一般人向けならその感覚は間違ってないな」
「あら、こういった品も嫌いではありませんよ。拝見してもよろしいかしら」
「どうぞどうぞ」
話に加わってきたパーシェの問いかけに店主は頷く。
「ふむふむ、そう言えば先ほどの会話でプレゼントと言ってましたが」
「ミレアさんとロナに日頃の感謝という形でここのアクセサリーを買ったんだ」
「そうでしたか。私も選んでもらえると嬉しいでのですけど、お代は私は払いますわ」
「ここ買える品なら俺が出しますよ。それより本当にここでいいんですか? もっと高めのところとかじゃなくて?」
店主も同じ気持ちで、パーシェを見る。
「高い物ばかり買ってるわけじゃありませんよ? それにあなたから贈られるのですから、値段については二の次です」
「兄ちゃん好かれてるな? そこまで言われちゃ気合い入れて選ばないといけねえな」
平太は並べられている商品からパーシェに似合いそうなものを選ぶため、真剣な表情で見ていく。
誰かに助言を求めたいと一瞬思ったが、自身で選ぶことが大事とわかっているため一人で考える。
(ミレアさんたち同じネックレス……これはストールに隠れるからダメかな。ブレスレットはなんとなくそれっぽいものがない。残りはブローチ……ワンピースじゃなくてストールにつけるあっさりとした感じのものとかどうかな)
二十個ほど並ぶブローチの中から、蝶の片羽を模した青いブローチを手に取る。七宝焼のように表面に艶がある。
「これくれ」
「あいよ」
お金を払い、パーシェにブローチを渡す。
「ストールにつける飾りとして選んでみました。どうですかね?」
採点を待つ学生のような感覚で、パーシェの返事を待つ。
パーシェは受け取ったブローチをしげしげと眺めて、心臓辺りの位置につける。満足そうにブローチに触れて、平太へ視線を向けた。
「ありがとうございます」
微笑みを浮かべ綺麗なお辞儀をするパーシェに、平太もお辞儀を返す。
その様子から気に入ってもらえたのかなと、平太は胸をなでおろした。
露店から離れて二人はフリーマーケットと見世物を中心に見ていく。
「少し疲れたので、休憩してもよろしいですか?」
人の多さと熱気にやられたか、提案してくるパーシェに平太は頷きベンチを探す。空いているベンチをみつけ、そこにパーシェを座らせる。
「なにか冷たいものでも買ってこようか?」
「いいのですか? 少し休むだけで十分なのですが」
「歩き回って小腹が空いたので、そのついでですよ。飲み物がいいですか? それともアイスとかがいいですか?」
「ではお言葉に甘えて……アイスかなにかお願いできますか」
頷いた平太は近くの屋台からアイスなのを探す。平太が離れている間は、護衛が間近でパーシェについていた。
シャーベットの屋台を見つけ、ブドウとリンゴの二つを注文する。買ってきたそれをパーシェに差し出す。
「ブドウとリンゴのどちらがいいです?」
「ブドウを」
ブドウを渡し、平太はパーシェの隣に座る。
平太はさっそくシャーベットを口に運ぶ。冷たさと甘さが舌を楽しませてくれ、笑みが浮かぶ。パーシェも同じように表情がほころんでいる。
「ああ、美味しいです。暑い日に食べる氷菓子はいいものですね」
「そうですね。寒い日に部屋を暖めて食べるアイスもおつなものだけど、やっぱり夏場に食べることには敵わないなぁ。食べ過ぎには注意ですが」
小さい頃アイスを食べすぎて腹痛に苦しんだと平太が言い、パーシェはクスクスと笑い声を漏らす。
食べ終えて空になった器を屋台に返し、パーシェのもとに戻ると護衛がパーシェに話しかけていた。
「アキヤマ様、そろそろ時間となったようです」
「あっという間でしたね」
「ええ、楽しい時間でした。このような時間を過ごさせていただき、ありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ。美人さんとのデートなんて自慢できますよ」
「お世辞でも嬉しいですわ」
最後に、パーシェは一歩近づき、平太に軽くハグをする。
平太はふわりと香る香水を感じて、次に体温の暖かさを感じる。それらにどぎまぎしている平太に、パーシェは頬を合わせて離れる。
自分でも大胆と思ったのだろうか、パーシェの顔も少し赤らんでいる。
「ではまたお会いしましょう」
固まっている平太に、一礼して護衛を伴いパーシェは去っていく。少し足早なのは照れがあるからだろうか。
パーシェたちの姿が完全に雑踏に消えて、平太は動き出す。
「お、驚いた。嬉しくはあったけど、ああいった挨拶は初めてだからなぁ」
ベンチに座り、さきほどの感触を思い出していると、ふと気づく。
「そういや恋人うんぬんに関して聞き忘れた」
やはり緊張していたのだろう。それとなく聞こうと思っていたことを聞きそびれ、最後のハグでさらにどう思っているのかわからなくなった。
「ああいったのは、欧米とかだと挨拶がわりって聞いたな。こっちだとどうなんだろうか」
帰ってミレアに聞いてみようと思いつつ、ベンチから立つ。
少しぶらついてから、家に帰る。ロナはよろず作業屋の様子を見に行っていて留守だったが、ミレアは家事を行っていた。
そのミレアにハグや頬を合わせることについて聞く。
「軽くハグをする挨拶はありますよ。頻繁に行われるものではありませんが、頬を合わせる方は好意を持っている相手にしかやりませんね。日常的にはやりません」
「だとするとパーシェさんに好意を持たれているのは確実なのかー。恋人になりたいと思われてるんでしょうかね」
「私にはわかりませんが、少なくとも高い好意は持っていると思いますよ。このままいけば恋人にと考えるかもしれません」
最後に推測ですけどね、と付け加えた。
「そっかー。遠くの国から来ていて、一年か二年かしたら帰るって話しておこうかな」
会えなくなるとわかれば、恋人になろうと考えはしないだろう。
そういった考えの発言にミレアは良いとも悪いとも言わず、家事を続ける。
夕方も過ぎて、太陽が地平に沈む。空はじょじょに藍色に染まっていく。
祭りは終わりに近づき、名残惜しむ声があちこちから上がっていた。
平太はもう祭りも終わりかなどと考えながら、準備された夕食を食べる。
夕食を終え、もう一回くらい軽く見て回ろうかと思っていた平太とロナに、ミレアが声をかける。
「でかけましょう」
「最後に祭りを見て回るの? 行こうかなって思ってたからちょうどいいですけど」
「祭りの最後には締めとなるイベントがあるのですよ。それを見に行きましょう」
ミレアの誘いに、ロナはそう言えばそんなものもあったと立ち上がる。幼い頃に見に行ったきりなので忘れていたのだ。
「そんなのがあるんだ。キャンプファイヤーみたいなものかな」
「どのようなものかは見てのお楽しみです」
人差し指を口に当てて秘密だと示す。
ミレアはリビングなどの明かりを消して、家をでる。ほかの家や店でも明かりが消えるか小さくされていて、通りの明かりが主に町を照らしている状態だ。
ほかの町人たちも、平太たちと同じものを見ようとしているのか家から出て歩いている。その流れにそって歩いてると町の出入り口までやってきた。
「見るものってもしかして町の外にあるの?」
「そうですよ」
「ちょっと遠慮したいかなーって」
角族のことを思い出し、平太の腰がひける。その平太の手をミレアとロナが取る。
「大丈夫。私がついてる」
「ロナさんの言うように、今回は一人じゃなくて、多くの人がいます。警備の方もいますよ。なによりエラメーラ様もいますから警戒しすぎることはないと思います」
平太は迷う。行ってみようか行くまいか。
この時期の風物詩を見たいという好奇心はたしかにある。けれど角族に与えられた恐怖もいまだ残っているのだ。
迷う様子の平太にミレアはさらに続ける。
「祭りの準備を手伝ってきて、今日という日を迎えました。その締めくくりとしてちょうどよいと思うのです。綺麗な思い出で祭りを終わらせましょう?」
それはくしくもエラメーラの考えと近いものがあった。
二人はこれ以上なにも言わず、平太の決断を待つ。気配を消しているが、エラメーラもまた近くで見守っていた。
平太の頭の中で行く行かないという考えが乱舞し、考えがまとまらない。いろいろと考えるのが面倒になってきた平太は勢いで動くことにする。
「……ええいっ男は度胸っ。行こうっ」
「ん」「はい」
平太の決断に二人は頷いて、そのまま手を繋いだまま町を出る。畑の間にある道に松明や魔術の明かりがいくつもあり、ここらは町中よりも明るくなっている。
畑を通り過ぎ、草原近くまでくるとぽつぽつと蛍ような明かりが空中を飛んでいるのが見えた。
「イベントってあの光のこと?」
蛍ならば平太も何度か見たことがあり、正直がっかりしたものを感じる。
「いえ、あれもですが、まだ本番ではありませんよ」
もう少し待っていてくださいとミレアに言われ、平太は素直に待つ。
しばらくするとあちこちから銅鑼の音が響きだす。それを合図に明かりが消されていき、ここらも暗くなっていく。
「あ」
暗くなっていくその場所で、平太は変化を見た。
明るいときに浮かんでいたのは、蛍と同じく黄色っぽい明かりだ。だが暗くなるにつれて色の種類が増えていったのだ。
今では暗い草原の中で、黄色は当然として赤や青や緑や紫、中には銀や金といった明かりがあちらこちらに浮かんでいた。
天然のイルミネーションと言ってもいい光景に、初めて見る平太はぽかんと口を開けて見惚れた。
毎年見ている町人たちも感嘆を声を漏らしているし、久々に落ち着いて見ることができたロナも懐かしさと感動を味わっている。
大人はじっとその場で眺め、子供は明かりを手に取ろうと手を伸ばす。
この明かりは蛍と同じく発光する虫だ。名前は黄光虫。
わりとどこにでも生息する虫だが、普通は名前が示すとおり黄色一色の発光なのだ。
では、なぜここまで多彩な色を放っているのかというと、小神の影響を受けたからだ。
年一回小神が与える祝福が、人だけではなくこの虫にも影響を与えて、変化をもたらした。
こういった変化はこの虫だけではなく、植物や動物にも起こり得る。小神がいる町の畑ではたまに周囲とは品質の違う野菜がとれたりするし、能力持ちの獣が現れることもある。
小神は町の住人を対象に力を使っているため、そういった変質は多くはないが、たまに影響を受けるのだ。
黄光虫は、そういった影響に敏感に反応する性質でもあるのか、今平太たちが見ているように毎年多彩な明かりを見せるのだ。
光のショーは三十分続いて、銅鑼が鳴り響き明かりがつけられていく。
見物していた人々は拍手を送り、平太も精一杯の拍手を送る。
「すごいね! 故郷で似たようなものは見たことあるけど、あっちは完全に人力。こっちは人の手が入っていないんだろう? それであれだけの光景が見られるのは本当にすごいとしか言いようがない」
「気に入っていただけたのなら、誘ったかいがあったというものです。私も最初見たときは感動して声もなかったです。以来毎年欠かさずに見るようにしています」
「これなら毎年見たくなって当然だね。来年も見れたら、また一緒に見ようね、二人とも」
「もちろんです」
「うん」
ミレアとロナを誘う平太の心には、角族への恐怖は一時的にだが消えていた。
町の外に出ることへの恐怖もまたなく、この光景を見ることができてよかったという思いでいっぱいだった。
様子を見ていたエラメーラはほっと安堵の息を吐く。外への関心が湧き、町を出るきっかけになってくれたと。
いまだ楽しそうな平太から視線を外してエラメーラは、町周辺に目を向ける。角族の姿はなく、気配もない。よほど上手く隠れているか、既にどこかに去ったか、その判断をするため明日は町外の詳細な調査を行うことに決めた。
翌日、町は祭りの名残を残しつつ撤去作業に追われる。見物に来ていた周辺の村人たちも自分たちの家に帰っていき、町はいつもの風景に戻っていく。
一度王都に帰ったティオルは数日してこちらにやってきて、この光景に混じるのだろう。
募金詐欺から骨董品詐欺に変わった事件を追って兵たちは今日も調査に出歩いている。
ミレアもロナもパーシェも普段どおりの生活に戻る。
そして平太はドレンたちの撤去作業を手伝いながら、明日から狩りに出てみようかと考えていた。
昨晩見たような光景が世界に広がっているなら見てみたいという思いが心の中に生まれた。その興味は町を出ることの恐怖心をやわらげたのだ。
エラメーラの狙い通りになったといえば、若干ひっかかる物言いかもしれないが、平太はまた狩りを行う生活に戻ることになる。