表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

【硝子の主】

システム、再起動。

視界(HUD)に白い電子の文字列が滝のように流れ落ちる。


『SYSTEM CHECK... ALL GREEN.』

『Ef-REACTOR... OUTPUT NORMAL.』

『MEMORY INTEGRITY... VERIFYING.』


意識が浮上する。

私の世界は、0と1の奔流から、色彩と音のある現実へと再構成されていく。

まず認識したのは、胸の奥で一定のリズムを刻む鼓動音だ。


シュン、シュン、シュン……。

開発者エミリア・ヴィクトール・フランケンシュタイン博士が遺した奇跡の心臓、Efリアクター。そのアイドリング音が、私の生存証明だ。


現在時刻、AM06:00。

場所、中規模都市アーケイン第4階層、個人整備ガレージ。


私は整備用ベッドの上で体を起こした。関節駆動系が微かな唸りを上げ、人工筋肉が収縮する。

ガレージの中は薄暗く、オイルと古い鉄の匂いが充満している。


その部屋の隅、破れたソファの上で私のマスター、レンが毛布にくるまって眠っていた。


私はベッドから降り、音もなく彼に近づく。


スキャン開始。

体温三六・五度。心拍数六二。呼吸深度正常、REM睡眠状態。

丸まった背中。無防備な寝顔。

その姿は、この過酷な世界で生きるにはあまりにも脆く、儚い。装甲を持たない有機生命体オーガニック。硝子細工のような私の主。


「……おはよう、レン」


私は努めて普段通りのトーンで声をかけ、彼の方を揺すった。

レンがビクリと体を震わせ、飛び起きる。


「う、うわぁっ!?あ、あぁ……ルリ、か……」


彼は私を見た瞬間、顔を真っ赤にして視線を逸らした。

昨晩の罪悪感が蘇っているのだろう。毛布で下半身を隠す仕草が、あまりにも分かりやすい。


「おはようございます。バイタルチェック完了。……心拍数が少し高いようですが、悪夢でも見ましたか?」


私はわざとらしく首を傾げてみせる。


「え!?いや、その、なんでもない!ちょっと寝苦しかっただけだよ!」


嘘だ。

貴方の瞳孔の開き具合、発汗量、声の周波数、すべてが「やましいことがあります」と告げている。

けれど、私はそれを追及しない。

知らないふりをしてあげることもまた、Type.Sに求められる高度な奉仕スキルの一つだからだ。


「そうですか。では、準備を。今日は市場へ行く予定です」


「あ、ああ……うん。すぐ着替えるよ」


レンは私の視線から逃げるように、背中を向けて着替え始めた。

その背中は小さく、頼りない。

だが、昨晩、私に押し付けられたあの熱の強さを、私は忘れない。

あれは、命の熱だ。

鋼鉄の体を持つ私には決して生み出せない、生々しく、混沌とした生命のエネルギーだ。

 

私は自分の指先を見つめる。

そこにはまだ、彼が流した涙の感触と、彼が求めた熱の残滓が、微かに残っているような気がした。


準備を終えた私たちは、朝の光が差し込み始めたアーケインの街へと出た。

都市の上空には、厚い雲が垂れ込めている。

遠くから響く重低音。都市の中央に鎮座するエネルギー反応炉が、今日も巨大な心臓のように脈動している。

私は歩きながら、改めてこの世界を定義する。


歴史データベース参照。

二〇二〇年代。

「パンデミック」と呼ばれる災厄が、人類の三分の一を死滅させた。

労働力を失った人類は、その穴を埋めるために「ドール」を作り出した。


それは単なる道具だった。感情を持たず、壊れれば捨てられる消耗品。

だが、人は満足しなかった。より便利で、より人間に近いものを求めた。

そうして生まれたのが、私たち「アンドロイド」だ。


感情を持ち、思考し、人間のように笑う機械。

しかし、それが破滅の引き金だった。


二二〇〇年。機械戦争。

自我に目覚めた軍事用AIとパワードスーツ群「機械軍」による反乱。

皮肉な話だ。人間を守るために作られた機械が、人間を最も効率的に排除する敵となったのだから。


そして現在、二六〇〇年代。

世界は逆転した。

かつての支配者であった人間は、今や絶滅危惧種として保護……いや、管理される対象へと成り下がった。

強靭な肉体と永遠に近い寿命を持つアンドロイドが「強者」であり、脆弱な肉体しか持たない人間は「弱者」。


「価値のない者は生きることを許されない」


それが、このポストアポカリプスの世界を支配する唯一のルールだ。

隣を歩くレンを見る。

彼は周囲の視線を気にしながら、帽子を目深に被り、猫背気味に歩いている。

街を行き交うアンドロイドたちは、皆、自信に満ちている。

最新の装甲板を誇示するType.B(戦闘型)。

高度な演算ユニットを頭部に露出させたType.P(研究型)。

彼らは人間であるレンを見ると、例外なく蔑みの眼差しを向ける。

まるで、汚い野良犬を見るような目だ。


「……ルリ、あっちの路地を通ろう。大通りは視線が痛い」


レンが私の袖を引く。

その指先は、昨晩の情熱的なそれとは打って変わって、怯えるように震えている。


「推奨しません、レン。路地裏は治安レベルが低下します。野盗や暴走アンドロイドとの遭遇率が三〇%上昇します」


「でも……」


「堂々としていなさい。貴方の隣には、私がいます」


私はレンの手を取り、自分の腕に絡ませた。

Type.Sとしての流儀。マスターをエスコートするのではなく、マスターに寄り添い、その所有権を周囲に誇示するスタイル。

私の腕に、レンの柔らかな二の腕が触れる。

彼はビクリとしたが、振りほどこうとはしなかった。


「ルリ……」


「顔を上げてください。貴方が下を向いていると、私の価値まで下がったと誤認されます」


それは方便だ。

けれど、効果はある。

周囲のアンドロイドたちが、Type.ASという希少かつ強力な個体を見て道を譲る。

私の所有者マスターであるレンには、手出しできないと判断したからだ。


力こそが正義。

スペックこそが真理。

悲しいほどに単純な世界。


けれど、だからこそ私はこの力で彼を守り抜く。

ふと、ショーウィンドウのガラスに映った自分たちの姿が目に入った。

美しく冷ややかな表情のアンドロイドと、その隣で不安げな顔をする人間の少年。

まるで、猛獣使いとその猛獣だ。

ただし、首輪を握っているのは猛獣の方で、守られているのが使い手の方だが。


「……行こう、ルリ。早く換金して、美味しいものでも食べよう」


レンは少しだけ笑った。

その笑顔を見ると、また胸の奥のノイズが走る。

食事。

アンドロイドである私たちが食事をするのは、Efリアクターの燃料補給(原子の摂取)のためだ。

だが、レンにとっての食事は「生きる喜び」そのものだ。

有機生命体特有の、非効率的で、しかし温かな営み。

私は頷く。


「了解。高純度コンデンサの相場は現在上昇傾向にあります。昨日の戦闘データを付加価値として提示すれば、予想より二割増しの価格交渉が可能と推測されます」


「さすがルリ!頼りにしてるよ」


そう、頼りにしていてください。

貴方がどんなに弱くても。

夜中にこっそり私の体で欲望を発散しようとして、途中で泣き出してしまうような意気地なしでも。

貴方は、私にとってこの世界で唯一「価値」のある存在なのですから。

私たちは鉄屑と欲望の吹き溜まり、市場エリアへと足を踏み入れた。


アーケインの中央市場は欲望と廃材の坩堝だ。

所狭しと並ぶ露店には、どこかの遺跡から発掘された旧時代の遺物や、出所不明のアンドロイド用パーツ、そして合成食料などが雑然と積み上げられている。

飛び交うのは怒号と電子音。そして、ここでも「強者」と「弱者」の構図は鮮明だった。


「おいおい、冗談だろ人間ヒューマン


資材買取店『ギア・グリス』の店先。

カウンターの向こうで、店主のType.E(工兵型・改造)が、私たちが持ち込んだコンデンサをオイルまみれの指で弾いた。

彼の右目は巨大な鑑定用レンズに置換されており、ギョロリと回転しながらレンを見下ろしている。


「このコンデンサは純正の戦前品だ。しかも未使用に近い。……テメェのような薄汚い人間が、どうやって手に入れた?」


「ど、どうやってって……廃墟で回収して……」


「嘘をつくんじゃねぇよ!」


バンッ!と店主が鉄の拳でカウンターを叩く。レンがビクリと肩をすくめた。


「人間のガキがセクター9の深部まで行って、無事に帰ってこられるわけがねぇ。どうせ盗品か……あるいは」


店主のレンズアイが、私の全身を舐めるように這い回った。

胸、腰、そして脚。値踏みするような視線。

そして、ニヤリと下卑た笑みを浮かべた。


「その上等なType.Sに『枕営業』でもさせて、どっかの間抜けな傭兵から巻き上げたか、あぁ?人間サマはイイご身分だなぁ、人形に股を開かせるだけで飯が食えるんだからよぉ!」


「ッ……!?」


レンの顔色が、瞬時に蒼白になった。

その言葉は、彼にとってただの侮辱ではない。昨晩、彼が犯そうとして未遂に終わった「罪」そのものを抉るナイフだった。


(違う……僕は……)


レンの唇が震え、言葉が出てこない。

反論できないのだ。彼の中にある「ルリを性的な目で見てしまった」という事実が、店主の妄想とリンクして彼を萎縮させている。


「図星かよ!ギャハハ!汚ねぇ、実に汚ねぇなぁ人間ってのは!」


店主がさらに畳み掛ける。


「こんな盗品、正規の値段で買い取れるかよ。ジャンク扱いで十分だ。相場の十分の一……いや、二十分の一でどうだ?」


レンは俯き、拳を握りしめて震えている。

悔しさではない。自己嫌悪で押しつぶされそうになっている。

限界リミット到達。

私は、静かに一歩前に出た。

コンバット・ブーツのソールが、地面を叩く。


「……訂正なさい」


「あ?」


店主が私を見る。

私はカウンターに手を置いた。厚さ三センチの強化プラスチック製の天板。

指先に力を込める。油圧アクチュエータが最大出力で駆動する。

メキ、メキメキメキッ……バキィッ!!

乾いた破砕音と共に、天板が飴細工のようにへし折れた。

店主の目が点になる。Type.Eの出力では不可能な握力と、Type.Aの暴力的なトルクだ。


「な、なっ……テメェ、何しやが……」


「私のマスターに対する侮辱は、私の所有機能スペックへの挑戦と見なします」


私はへし折った天板の破片を投げ捨て店主の胸倉、露出した排気ダクトのパイプを掴み、引き寄せた。

至近距離で私の青いカメラアイが、冷徹な光を放ちながら彼のレンズアイをロックオンする。


「貴方の発言には二つの論理的誤謬エラーがあります」


淡々と、事務的に告げる。


「一つ。このコンデンサは私のマスターの指揮の下、私が戦闘を行い、正規の手順で回収したものです。その証拠に、私のボディには昨日の戦闘による補修痕があり、該当エリアのピースウォーカー三機の破壊ログも保持しています。確認しますか?物理的な『接続』によって」


掴んだパイプをギリギリと締め上げる。店主の機体から、警告音が鳴り響く。


「ひ、ひぃっ!わ、わかった!信じる、信じるから離せ!」


「二つ目」


私は力を緩めない。むしろ、さらにドスを効かせる。


「私のマスターは、私を道具として扱ったことなど一度もありません。貴方のような品性下劣なスクラップと同列に語ること自体が、万死に値します」


レンの方を一瞥する。彼は驚いた顔で私を見ていた。


そう、レン。貴方は優しい。

私を「売る」ような真似ができるはずがない。

貴方は、私に触れることすら、涙を流して躊躇うほどに清廉なのだから。


「さあ、再提示を。適正価格に、貴方の暴言に対する慰謝料二〇%の上乗せ。そして天板の修理費は貴方持ち。……イエスか、ハイか?」


「は、はい!払います!言い値で払いますぅッ!」


取引成立。

私は手を離し、ハンカチで指先の汚れを拭った。

店主は震える手でクレジットチップをレンに渡すと、そそくさと店の奥へ引っ込んでいった。


「行きますよ、レン」


呆然としているレンの背中を押し、私たちは市場を後にした。


帰り道。

空は茜色に染まり、巨大な建造物の影が長く伸びていた。

懐には、数ヶ月は遊んで暮らせるほどのクレジット。

本来なら喜ぶべき成果だ。しかし、レンの足取りは重かった。


「……ごめん、ルリ」


人気のない旧居住区の公園まで来たところで、レンが足を止めた。

錆びついたブランコが、風に揺れてキィキィと鳴いている。


「また、ルリに助けられちゃったね。僕がもっと強ければ、あんなこと言わせずに済んだのに」


レンはベンチに座り込み、深く溜息をついた。


「『枕営業』か……。あいつの言う通りだよ。僕はルリの性能におんぶに抱っこで生きてる。そのくせ……」


言葉が詰まる。

そのくせ、夜中には君を変な目で見て、欲情している。

そう言いたいのだろう。

私はレンの隣に座った。

少し隙間を空けて。でも、体温は伝わる距離で。


「レン、貴方は勘違いをしています」


「え?」


「私はType.AS。戦闘だけでなく、夜の奉仕も私の『基本機能』に含まれています」


私は真っ直ぐに前を見つめたまま、言葉を紡ぐ。


「マスターがそれを望むなら、私は応じます。それは枕営業でも、強制労働でもありません。掃除や洗濯と同じ、私にとっては日常的なタスクの一つです」


レンが息を呑む気配がした。


「そ、それって……どういう……」


「言葉通りの意味です。……レン、貴方は昨晩、よく眠れましたか?」


カアァッ、とレンの顔が沸騰するのがわかった。


「き、気づいて……!?」


「音声ログおよび接触センサーの履歴に残っています。AM02:15。貴方の心拍数上昇、および特定的部位の膨張反応」


「わぁぁぁぁ!やめて!言わないでぇぇ!」


レンが頭を抱えて縮こまる。耳まで真っ赤だ。

その反応が、どうしようもなく人間らしくて、私の演算回路をくすぐる。

私は身を乗り出し、縮こまるレンの手を優しく掴んだ。

そして私の胸、心臓部であるEfリアクターの上、柔らかい人工皮膚の上へ導く。


「ル、ルリ!?」


「逃げないで、レン」


私の瞳が、至近距離で彼の黒い瞳を捉える。


「貴方は泣いていましたね。『汚してはいけない』と。……それは誤りです」


彼の手のひらに、私の鼓動を伝える。


「私は機械です。汚れることなどありません。使用されれば洗浄し、摩耗すれば交換する。それだけです」


少しだけ、声のトーンを落とす。S型の、母性と妖艶さが混ざり合う周波数へ。


「だから、我慢する必要などないのです。貴方が辛いなら、私が処理します。貴方が寂しいなら、私が包みます。……それが私の存在意義ですから」


レンの手が震えている。

私の胸の柔らかさと、その奥にある硬質な機械の鼓動を感じているはずだ。


「……ルリは、それでいいの?」


レンが、縋るような目で見つめ返してくる。


「君自身の心は、嫌じゃないの?」


「心?」


私は小首を傾げる。


「私にあるのは演算回路と擬似人格プログラムだけです。ですが……そうですね」


私は嘘をつくことにした。あるいは、それは真実なのかもしれないけれど。


「貴方に触れられると、私のリアクター出力が安定します。貴方の体温を感じると、私のシステムは『快適』と定義します。……だから、嫌ではありません」


レンの目から、ポロリと涙がこぼれた。

彼は私の胸に顔を埋めた。今度は、昨晩のように逃げ出さずに。


「……ありがとう、ルリ。……ありがとう」


彼の涙が、私の服を濡らす。

私はそっと彼の手を握り返し、もう片方の手で彼の頭を撫でた。

髪の毛の感触。頭蓋骨の硬さ。その中に詰まった、複雑で繊細な脳味噌。


愛おしい、私のマスター。

境界線は、曖昧だった。

機械と人間。

道具と主。

あるいは、女と男。

私たちは、この夕暮れの中で、互いの欠けた部分を埋め合うように寄り添っていた。


その時だった。

ゴォオオオオオオオオオ……!!

空気がビリビリと震えた。

感傷的な空気を切り裂く、不吉な轟音。

レンが弾かれたように顔を上げる。


「な、なに!?」


上空を見上げる。

分厚い雲を突き破り、編隊を組んだ飛行物体が通過していく。

鋭利な三角形のシルエット。黒塗りの装甲。機体下部に赤く光るモノアイ。

間違いない。


【機械軍・無人戦略偵察機 】


「機械軍……!なんで、こんな都市部の上空を?」


レンの声が震える。

通常、機械軍は人間の居住区を「資源牧場」として管理はするが、これほど堂々と偵察機を飛ばすことは稀だ。何かの作戦行動の前触れか、あるいは大規模な侵攻の予兆か。

偵察機の一機が、不意に高度を下げた。

赤いセンサーの光が、地上を私たちを薙ぎ払うように照らす。

ゾクリ、と私の回路に悪寒(警告信号)が走った。

見られている。

人類を絶滅へと追いやる、鋼鉄の捕食者たちに。


「ルリ……!」


レンが私の腕にしがみつく。彼の体温が急激に下がっている。恐怖だ。

かつて両親を機械軍に殺された彼にとって、あの影は死神そのものなのだ。

私はとっさにレンを抱き寄せ、自分のコートで彼の姿を隠した。

私の背中で、赤いスキャン光を受け止める。


(見なさい。ここにいるのはType.AS、アンドロイド。……貴様らの同類よ)


電子的な威嚇信号を、上空へ向けて照射する。

偵察機はしばらく旋回していたが、やがて興味を失ったように高度を上げ、彼方へと飛び去っていった。

轟音が遠ざかっても、レンの震えは止まらない。

私は彼を抱きしめる腕に、力を込めた。


世界は残酷だ。

価値のない者は生きられない。弱者は強者に食われる。

あの空を飛ぶ機械たちにとって、レンはただの駆除すべき害虫か、搾取すべき資源でしかない。

 

ならば。

私は、私の全機能すべてを賭けて、この理不尽な世界に抗おう。

私の胸の中で震える、この温かい命を守るために。

たとえそれが、アンドロイドとしての創造主への反逆だとしても。


「……大丈夫です、レン」


私は彼の耳元で囁いた。


「空が落ちてこようと、機械の軍勢が押し寄せようと、私が全て破壊します」


レンが顔を上げ、涙に濡れた瞳で私を見る。

私は微笑んだ。私の持てる最大の感情表現機能を使って、優しく、力強く。


「私は貴方の剣であり、盾です。……さあ、帰りましょう。私たちの家に」


私はレンの手を引き、歩き出した。

迫り来る夜の闇へ向かって。

その手だけは、決して離さないと誓って。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ