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木枯らしの距離

 色とりどりのライトが、ひらひらと舞う雪の花弁に乱反射している。隣で歩く君の吐いた息が白く見える。


「イルミネーションが綺麗だね。冬ってあんまり好きじゃないけど、こんな景色が見れるから悪くないよね」


 そうやって私に穏やかな笑みを見せる。この笑顔は私だけが知っているのだろうか。それとも他の人にもこの笑顔を曝け出しているのだろうか。


「私は冬が好き」


 この先の言葉が出ない。君とこうやって出かけられるからだって言いたい。だけどこれを言ったら、この関係が雪みたいに溶けてしまわないか心配で。イルミネーションをカップルらしき人達が眺めている。周りからしたら私たちもそんな近さで見られているかもしれない。


「来年も来れたらいいね」


 君が呟いた。次はどんな関係でいるだろう。君が手を入れているそのポケットに私の手も入れられるような距離感になれればいいのに。


「来年もきっと来ようよ」


 もっと言いたい言葉があるのに、口から出たのは先延ばしにする言葉。


「約束でもしようか? ほら」


 ポケットから手を抜いて、小指を立てて差し出してくる。いつも少し素っ気ないような感じなのに、たまに心に近づいてくるから余計期待してしまう。私も小指を立てて君の指と繋ぐ。指の温かさにドキドキして、離したくなくて。


「手、温かいね」


 本当はこのまま手を繋いでしまいたい。でも本音をコートの裏に隠してしまおうとする。君は何も言わずに、遠慮がちに全ての指を絡めた。


「手が冷えたらだめでしょ」


 優しさが心に沁みてく。今日、雪が降っていて良かった。君と心が通っていたらいい。今だけは勘違いをさせていて欲しい。雪と木枯らしは木から葉を離すけど、私たちを近づかせてくれた。あと少し、あと一言伝えられたら。それは数分後の私に託すとしよう。今は手のひらの幸せを噛み締めて。

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