表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キーボード戦記  作者: Elnika Flose
序章:タイピング20%ダウンの衝撃

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/8

開封の儀

新しいキーボード。これさえあれば、もっと速く、もっと楽しく書ける。

その期待が胸の中でぽこぽこと膨らんで、まるで遠足前の子どもみたいに、前日はほとんど眠れなかった。


まず言わせてほしい。今回のキーボードがどれほど私を狂わせたか。


 ・指が吸い込まれるような軽い荷重

 ・バターみたいにとろけるキータッチ

 ・高速入力が当たり前になる形状


こんなの……惚れるに決まっている。

テンション高めで語る私に、友人は「ふーん」とだけ返した。さすがに「で?」とは言わなかったあたり、優しさだと思いたい。


配送日当日。アプリには「配送は夕方ごろ」の文字。

徹夜で迎えた朝10時、私はつぶやく。「一度寝よう……。」

コンタクトを外して布団に潜る。そこで寝落ちできればよかったのに、「ピックアップできます。」と無情な通知。あまりのタイミングに「さすがにひどいよ…」と文句を言った瞬間、睡魔が勝った。


17時03分、起床。

シャワーを浴びてコンビニへ向かい、ついでの食事と、念願の“ご神体”を受け取る。

食事を終えるとまた眠気が襲い、私はあっさり二度寝した。


そして翌日0時33分。ついに“開封の儀”。

モニター前の聖域はすでに清掃済み。迎え入れ準備は万端だった。

箱はやたら大きく、ノートPCでも入っていそうなサイズ。重さまで似ている。

だけどその重さは無駄じゃない。手に持つだけで伝わる“安定と質感”。普通のキーボードが急におもちゃみたいに見える。


ふたを開けた瞬間、あの眠れなかった夜が全部報われた気がした。

だが、その幸福は長く続かなかった。


これは、“ご神体”を手にしたにもかかわらず

タイピングスピードがまさかの20%ダウンした筆者が、

過去のベスト記録をもう一度超えるまでの、

静かで熾烈な悪戦苦闘の記録である。

(ご神体での総打鍵数6,951)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ