攻撃せよ
ジョスはただの平凡な若者だった。毎日同じ日常に閉じ込められていた。
しかし、ある超自然的な出来事が彼の世界を揺るがし、彼はすべてを一から始めることを余儀なくされる。
理由も分からず、頼る者もおらず、望んでもいない運命を背負わされた彼は、未知に満ちた新たな現実に立ち向かわなければならない。
選ばれたのか? それとも間違いだったのか? あるいは、ただの終わりの始まりにすぎないのか?
もはや見慣れた世界ではない場所で、ジョスは気づくだろう——すべての再出発が平和をもたらすわけではない。
中には、本当の戦争への序章となるものもあるのだと。
---
第7章:攻撃せよ
出発から3時間後。
「はぁっ…はぁっ…いつ村に着くの?」とマリアが言った。
「出発してから何も食べてないな」とインが付け加えた。
全員が疲れ切った顔で腕をだらりと下げ、強い日差しに照らされていた。
「お前ら人間は本当に持久力がないな」とベルがコメントした。
ジョスはベルを軽蔑の目で見た。
「ははは…手元に自分用の傘を持ってる奴が言うなよ」とジョスが返した。
ベルはジョスを見て笑いながら皆の周りを回った。
「ははははは…お前らが弱すぎるのは俺のせいじゃない」とベルは言った。
「ベル、その傘を捨ててみな。そうすれば私たちの気持ちが分かるわよ」とリクが付け加えた。
ベルはリクに笑みを向け、その瞬間傘を捨て、リクと共に宙に浮いた。
「よし、お前らより優れた存在が何でできているか見せてやろう」とベルは言った。
---
15分後。
ベルを含む全員が、絶え間ない疲労と渇きに襲われながら、何もない場所を歩いていた。
ベルは灼熱の地面を歩きながら苛立った表情をしていた。
(くそっ…なんであの魔女の言うことを聞いて傘を捨てたんだ…)とベルはリクを見ながら考えていた。
「ははは…見ろよ、この優れた存在を!」とジョスが皮肉を言った。
インとマリアは悪魔のような笑みを浮かべてベルを見た。
「へぇ…へぇ…そんなに早く歩くなよ。俺は足が小さいんだぞ」とベルが抗議した。
「お前ら二人、何を見てる?」と警戒するベル。
「うまそうな鶏肉だな…」とインが呟いた。
「この灼熱の太陽で焼こうぜ」とマリアが囁いた。
ベルはそれを聞き、驚きつつも短剣を取り出した。
「近づいてみろよ、犬ども…食い物はお前らだ! はぁっ…はぁっ…」とベルは疲れながら唸った。
その瞬間、インとマリアはベルに飛びかかり、食べようとした。
「はぁっ…ちょっ…何してんだ!」とベルが叫んだ。
「動くな!」とイン。
「ちょっと痛いだけよ」とマリア。
三人の間で取っ組み合いが始まった。マリアとインはベルを食べようとし、ベルはわずかな力で刺そうとする。
「はぁぁっ!! はぁぁっ!!!」
「静かに、何か聞こえる!」とリクが警告した。
全員が動きを止め、耳を澄ませた。
「はぁぁっ!! 助けてぇ!!」遠くからの叫び声。
「あの遺跡だ」とジョスが指を差した。
(遺跡?…蜃気楼かと思った)とマリア。
全員が残り少ない力で走り出した。
---
二人の子供が、大きな斧を持った筋骨隆々のオーガの前で叫んでいた。
ジョス、リク、イン、マリア、ベルは遺跡に到着し、オーガが三人の子供の前に立っているのを見て驚いた。
「あれは何だ…?」とイン。
「な、何あれ…?」とリク。
「おぉ…あれはオーガだ」とマリア。
「オ、オー…オーガ?」とジョスは震えた。
(もう動き出したか、ふふ…)とベル。
オーガは彼らの方に振り向き、子供たちの前に立った。
「おぉ…お前、ここで何してる?」とベルをじっと見るオーガ。
ジョスは震えながら刀を抜き、オーガに向けた。
「攻撃するか?」
「疲れてる…四人で一斉に行こう」とリク。
「武器を持ってるのはお前だけだ、ジョス。お前が前に出ろ」とイン。
「ははは…俺を攻撃するつもりか?」とオーガは嘲った。
「降参すれば何もしない」とマリア。
オーガは微笑みながら静かに彼らを見た。
「ベル、お前もやるか?」とインが聞いた。
インが振り向くと、ベルの姿は消えていた。周囲を見回してもいない。
(はぁっ…臆病者め)とイン。
「行くぞ」とジョスは震えながらも笑った。
オーガは斧で攻撃してきた。
全員がかわす。インは拳を打ち込むが、全く効果がない。
「くすぐったくもないな」とオーガ。
オーガはインを殴り飛ばした。
ジョスは背後から突こうとするが、刀を掴まれた。
マリアとリクは両膝を蹴ってひざまずかせようとするが、効かない。
オーガはリクとマリアを蹴り飛ばし、ジョスには顔面パンチを食らわせた。
「はははは…お前らごときが…」
その言葉は、インの肋骨への一撃で遮られ、オーガの表情が変わった。
「どうした、獣野郎?」とインが唸る。
オーガは殴り返そうとするが、リクが背中に膝蹴りを入れる。
「ぐはっ!」とオーガが叫んだ。
その瞬間、マリアが首に蹴りを入れ、オーガがひざまずく。
しかし怒ったオーガはマリアの脚を掴み、インに向かって投げた。インは避けられない。
斧でリクを斬ろうとするが、リクはかわした。
その時、ジョスが現れ、斧を握る手首を斬り落とした。
「はぁぁっ!!」とオーガ。
全員が走り寄り、マリアとリクが足を、インが横を押さえ、ジョスは背中に飛び乗った。
オーガはもがいた。
「なぜ…こんなことが…」と唸る。
そこに笑顔のベルが現れた。
ジョスは刀を首に突き立て、とどめを刺す。その瞬間、オーガは目を閉じ、ベルを見て呟いた。
(いや…お前は…でき…ない…)
全員が地面に倒れ、疲れ果てた。
「はぁっ…やったな」とジョス。
「成功だ、ふふ」とイン。
マリアとリクは空を見上げ、疲れ切っていた。
「どこに行ってた?」とリクがベルを見る。
「食べ物と飲み物を取りに行ってた」とベル。
「なぜ助けなかった?」とジョス。
「そのオーガと戦って残りの体力を使う気はなかった。機会は有効に使うもんだ」とベル。
「はは…最低だな」とマリア。
「おぉ、子供たちは?」とジョス。
「あの穴に隠れてる。助けようとしたが、俺を見るなり逃げた」とベルが穴を指差した。
インは立ち上がり、穴に向かう。そこには二人の少女と一人の少年が泣いていた。
「やぁ!」とインが挨拶する。
「きゃあぁ!」と子供たちは叫んだ。
「大丈夫、怪物はもう死んだ」とイン。
「さぁ、もう安全だ」と励ます。
子供たちはためらいながらもインに近づき、穴から出た。
オーガの死体を見ると、インにしがみついた。
「もう大丈夫だ…もう死んでる」とイン。
全員が微笑ましく見つめた。
「よし、感傷はここまでだ…飯だ!」とベルが嬉しそうに叫んだ。
数分の休憩の後、全員が、子供たちも含め、ベルが持ってきた食べ物を食べ始めた。
---
ビエイ市
「ここで何があった…?」—兵士。
「状況を報告しろ!」—隊長。
「はい、隊長」—伍長。
報告によると、市の一部が完全に凍結しており、オーガと確認された2体の存在も含まれていた。
---