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共に暮らす


ジョスはただの平凡な若者だった。毎日同じ日常に閉じ込められていた。

しかし、ある超自然的な出来事が彼の世界を揺るがし、彼はすべてを一から始めることを余儀なくされる。

理由も分からず、頼る者もおらず、望んでもいない運命を背負わされた彼は、未知に満ちた新たな現実に立ち向かわなければならない。


選ばれたのか? それとも間違いだったのか? あるいは、ただの終わりの始まりにすぎないのか?


もはや見慣れた世界ではない場所で、ジョスは気づくだろう——すべての再出発が平和をもたらすわけではない。

中には、本当の戦争への序章となるものもあるのだと。



---

第3章:共に暮らす


約30分後、ジョスは喉が渇き、顔には深いしわが刻まれていた。まるで何年も歳を取ったかのようだった。


「あとどれくらいだ……ハァッ、ハァッ……何も見つからない気がする……」


突然、彼の視線は遠くにあるものに集中した。


「……あれは? ……あれは村か?」


「やったあああああ!」


ジョスは興奮して、その村へと一気に駆け出した。


乾いた地面に足音が響く。風が彼の周りに小さな砂埃を巻き起こしたが、彼にとってはどうでもよかった。救いが目前に迫っていたのだから。


「もう……これ以上は耐えられなかった……」


彼は息を切らしながら笑った。


「へへへ……へへへ……」


その頃、村の中心付近では二人の男が話していた。一人は小さなコイン袋を持ち、もう一人は屋台で商品を並べていた。


「水はいくらだ?」と一人が尋ねた。


「一本20シリングだ」と売り手が答えた。


ジョスはちょうどその新鮮な水のボトルを並べている屋台に辿り着いた。


「やっとだ……」


彼はボトルを手に取り、渇いた喉を潤すように必死に飲み始めた。


「おい、金払う前に飲むなよ」と売り手がきつい声で言った。


ジョスは顔を上げ、鋭い目つきで睨みつけ、まるで飢えた獣のように歯を食いしばった。


店主は驚き、少し怖がった。


「うぅおぉぉっ! やっと潤う水だ!」


「へへ……へへへ……」


「おい、ふざけるな。金を払ってもらうぞ」


「もちろん、もちろん、大丈夫ですよ」ジョスは気まずそうに笑った。


ポケットを探ったが、ズボンにもシャツにも何も入っていなかった。


「……うそだろ? 金がない……」


心の中で焦りが募る。


(逃げるしか……? 逃げられるか?)


足を見た。長い道のりを歩いたせいで震えていた。


「どうすれば……」


店主は眉を上げ、じっと彼を見ていた。


(こいつ、金持ってねぇな)


ジョスは汗をかき、恥ずかしそうに口を開いた。


「えーっと……その……」


「いいわよ、ペペ。私が払ってあげる。20シリングでしょ?」と女性の声がした。


「そうだ、20シリングだ」とペペが答えた。


ジョスは振り返り、顔をスカーフで隠した女性が金を払ってくれることに驚いた。


「え? そんなことしなくても……」


彼女はジョスを見て言った。


「じゃあ、あなた払えるの?」


ジョスは心の中で思った。


(……いや、何も持ってない)


「いや……でもそのうち払えるさ」と図々しく笑った。


女性は呆れて目をそらした。


「はい、これでいいでしょ」


ペペは不気味な笑みを浮かべて釣り銭を渡した。


(シニカルなやつだな……)とペペは心の中で毒づいた。


支払いが済むと、女性はジョスの腕を掴み、どこかへと引っ張っていった。


「お、おい、どこに連れていくんだよ?」


「タダで金を渡すなんて、そんな甘くないから」


「何かしらで返してもらうわよ」


ジョスは困惑しながら言った。


「で……でも、名前ぐらい教えてくれよ」


「私はリク。さっさと歩きなさい」


(返すって……まさか……)


◆想像シーン

"ジョスは自分がタバコを吸いながら露出の多い服を着て路上に立っている姿を思い浮かべた。"


ジョスの顔は一瞬で真っ赤になった。


数分後、リクとジョスはレストランに入った。


リクはジョスの腕を離し、彼の赤い顔を見て驚きながら言った。


「何でそんなに赤いの? まさか、腕を掴まれて興奮したの?」


ジョスは慌てて頭を振り、頬を叩いた。


「ごめん、ちょっと妄想してた」


リクは眉をひそめ、不快そうに言った。


「まぁいいわ。あなたには借りがある。それを返してもらう」


「ここで数日間ウェイターとして働いてもらうわ。今、人手が足りないの」


(……なんかこれ、既視感あるな)


「数日間? 借りたのはたった20円だぞ」


リクは真剣な表情で顔のスカーフを外し、彼に指をさした。


「20シリングよ。今の時代、1シリング稼ぐのもどれだけ大変か知ってる?」


ジョスは彼女の目、口、鼻、頬を見つめた。


(……美しいな)


「彼氏いるの?」とつい口にしてしまった。


リクは怒って彼の頭を小突いた。


「何言ってんのよ!」


「いたっ!」


「ウェイターやるか、腕一本で返すか選びなさい!」


「わ、わかったよ。やるよ。……でも1週間だけな?」


「それで十分よ」


「さぁ、ついてきて」


リクは店内の案内をし、他のスタッフを紹介した。


「ソタ・クヤキ、マリア・サカ、イン・セン、来て! 新しい仲間を紹介するわよ」


ソタは料理人、マリアはウェイトレス、インは警備担当だった。


「はじめまして、マリア・サカです」


「よろしく、イン・センだ」


「元気か、ソタ・クヤキだ」


「どうも、ジョスです。よろしくお願いします」


皆が笑顔でジョスを迎えた。


「じゃあ、これで全員ね」(リク)


「私のフルネームはリク・シタ。料理担当の一人よ」


「あなたが来てくれて、ようやく人手が足りたわ」


「明日、レストランを開けるから準備しておいて。経験がなくても、きちんと接客してくれればそれでいいわ」


「はい」(マリア)


「わかったよ」(ソタ)


「でも、あまり命令口調じゃないといいな」(インが冗談っぽく)


その後、皆は帰宅した。インだけが外でタバコを吸っていた。


「インって名前だったよな?」


「おお、ジョスか。もう帰ったと思ってた」


「実は……家がないんだ。今日この村に来たばかりで」


「見た目には、この村はあまり被害を受けてないように見えるけど……」


「いや、あの日以来、世界中があいつらにやられたんだ」(イン)


「ちなみに、お前はあの化け物たちが何か知ってるのか?」


「……多分、悪魔だと思う」


「なんでわかる?」


「実際に目の前で見たからだ」


「よく無事だったな」


「切られる直前に崩落があって、生き埋めになったんだよ」


インは疑わしそうに見つめた。


「イン、頼みがあるんだけど……今夜泊めてもらえないか?」


インは驚いた顔で笑った。


「リクのとこ行けばいいじゃん? 二人でレストラン入ってくの見て、いい感じだったし」


「はぁ? 何言ってんだよ? リクと一緒に?」


ジョスは照れて笑った。


インは真顔で言った。


「ははは、冗談だよ」


「泊まっていいけど、一つ条件がある」


ジョスは警戒しながら尋ねた。


(条件って……この村、みんな報酬を求めてくるな)


「その顔は何だ? 泊まりたくないのか?」


「いや、いや……その条件って?」


「空の裂け目について何か知らないか?」


二人は空の亀裂を見上げた。


「何も……ただ、あれが開いたのは攻撃の二日後だったってだけで」


「そこからいろんな物が降ってきたんだ。剣、指輪、王冠、盾……」


「は? 剣とか指輪が?」


「そう。しかも光りながら落ちてくるんだ。白く輝くものと、黒く怪しく光るものがある」


「それについては、またいつか調べよう」


「今は休もうぜ」


インはジョスをじっと見た。


「なぁ、ジョス。添い寝ってしたことある?」


「……は?」


(ここ、どんな村だよ……)


「ははは、冗談だよ。ただベッド一つしかないから」


「焦ったじゃねぇか!」


「お前は床な」


「え? じゃあジャンケンで決めよう!」


「やだ」


「ケチ!」


夜が更け、ジョスは床で寝ることになった。



---


別の場所——


夜の闇の中、耳のとがった大柄な二十体の存在が、低くうめくように囁いた。


「封印が……破られた……」



---

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