予期せぬ訪問
ジョスはただの平凡な若者だった。毎日同じ日常に閉じ込められていた。
しかし、ある超自然的な出来事が彼の世界を揺るがし、彼はすべてを一から始めることを余儀なくされる。
理由も分からず、頼る者もおらず、望んでもいない運命を背負わされた彼は、未知に満ちた新たな現実に立ち向かわなければならない。
選ばれたのか? それとも間違いだったのか? あるいは、ただの終わりの始まりにすぎないのか?
もはや見慣れた世界ではない場所で、ジョスは気づくだろう——すべての再出発が平和をもたらすわけではない。
中には、本当の戦争への序章となるものもあるのだと。
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第16章: 予期せぬ訪問
世界のどこか
「跳ぶまであと10秒!」
「ハハハ!これは面白くなりそうだ!」
灰色の空を突き抜ける軍用機の機体を、風の轟音が激しく叩きつけていた。機内では十数名の兵士たちがパラシュートを調整し、険しい表情と決意のこもった眼差しを浮かべていた。彼らの瞳には興奮、緊張、そして戦いへの渇望が宿っていた。
一人、また一人と、戦場を覆う濃い煙雲を突き抜けて飛び降りていく。空気は熱く、硫黄と血の匂いが漂っていた。上空からは赤や紫の閃光、爆発、交差する炎、そして地上を進む不気味な影が見えた。
「でかい奴を狙え!小さいのは歩兵に任せろ!」と降下しながら隊長が叫んだ。
地上では凄惨な戦いが繰り広げられていた。黒曜石のような黒い爪を持つ悪魔たちが軍用車両に襲いかかり、その超人的な力で破壊していた。中には黒いエネルギー球を放ち、着弾と同時に爆発させ、クレーターと散乱した死体を残す者もいた。
しかし兵士たちも負けてはいなかった。最新兵器で攻撃をかわし、応戦した。青いエネルギーの槍を持った一人の兵士が、空へ連れ去ろうとした有翼の獣を貫いた。別の兵士たちはチームを組み、互いを援護しながら安全地帯へと後退していた。
「第3ラインの援護が必要だ!包囲されている!」
戦場の中央で爆発が起こり、炎の柱が立ち上がって複数の化け物を吹き飛ばした。ヘリコプターからは迷彩マントを纏った兵士が降下し、一歩ごとに姿が消えていく。地面に着地すると、雷を纏った拳で一撃、3体の悪魔を爆散させた。
戦況は混沌としていた。しかし徐々に軍が主導権を握り始めた。
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安全保障センター
「攻撃の報告をしろ…」と司令室で低い声が響いた。
「閣下、悪魔に占領されていた区域の奪還に成功しました」 と、顔に埃と乾いた血を付けた中尉が報告した。
「ふむ…能力を授ける物体についてはどうだ?」
「それについては…情報が乏しい状況です」 と彼は手元の資料を見ながら慎重に答えた。
「言え。」
「ある人物がその物体を手に入れると、持ち主の体や存在に何らかの変化が起こります。明確な例としては、レイ軍曹です。彼は入手後、視覚を失いました。」
司令官は目を細めた。
「つまり代償は人間性の一部か…」
「そのようです。しかし全員が同じ代償を払うのか、それとも個々に異なるのかはまだ不明です。」
「その物体についてもっと調べろ。さらなる異常が現れる前に結果を出せ。」
「はっ!」
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村
数週間前に死と破壊の舞台となった村に、穏やかな日差しが降り注いでいた。村の6割はすでに再建されており、道沿いには新しい木造の家々が並び、頑丈な屋根が光を反射していた。兵士と村人が肩を並べ、壁を建て、瓦礫を運び、電柱を立て直していた。
子供たちは地面の小石で遊び、親たちが味わった恐怖を完全には理解していなかった。女性たちは即席の焚き火で食事を作り、誰にでも振る舞っていた。疲れ切った兵士たちも、微笑みながらその様子を見守っていた。
ジョスとシロは黙って小道を歩いていた。ブーツが地面の砂埃を巻き上げ、仮設の建物へと向かっていく。そこには捕らえられたグラルがいた。
中に入ると空気が重くなった。グラルは鎖で繋がれ、手枷をされていた。
「お前、グラルって名前か?」とジョスが厳しい声で尋ねた。
「ああ」グラルは迷いなく答えた。
「一つ質問する。できるだけ正直に答えてくれ。」
グラルは挑むような視線を向けたが、口を開かなかった。ただ彼を見つめていた。
「もしお前を解放したら…最初に何をする?」
シロは意味が分からず眉をひそめ、ジョスを横目で見た。
「その質問の意味は?」とグラルは腕を組んだ。
「いいから答えろ」ジョスは視線を逸らさずに迫った。
グラルは数秒間動かず、ジョスを分析するように見つめた。
「ここを去る。危害は加えない。」
「どこへ行く?」とシロが警戒しながら尋ねた。
「お前たちには関係ない。ただ…去って平穏に過ごす。」
沈黙が落ちた。シロは拳を握り、ジョスはわずかに俯いて考え込んだ。
ジョスは決意を持ってグラルに歩み寄り、笑みを浮かべ、振り返らずに部屋を出た。
「解放する。ただし条件付きだ。」と、別室へ向かいながらジョスは言った。
「本当に解放していいのか?」とシロが聞いた。
「ああ。すべての敵が俺たちを滅ぼそうとしているわけじゃない…逃げ場を探しているだけの者もいる。」
シロは黙り込んだ。
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その時、重い足音が響き渡った。
村の静けさが、蹄の音によって破られた。
地平線から、メインストリートを進む影が見えてきた。それは威厳ある姿で、風になびく濃い青のマントを纏っていた。上半身は人間、しかし下半身は逞しい馬の脚を持つ。
ケンタウロスだ。
子供たちは逃げ隠れ、何人かの兵士が銃を構えたが、リクが手を上げた。
「撃つな。」
ケンタウロスは中央広場の前で立ち止まり、深い声で言った。
「話をしに来た。戦いを望んではいない。」
リクとインが前に出た。
「お前は誰だ?」とリクは警戒を解かずに尋ねた。
風が強く吹き、村人たちは窓から様子を見ていた。ケンタウロスは視線を落とし、まだその言葉の重みが理解されていないかのようだった。
「内密に話がしたい。」と付け加えた。
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