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謎の世界

ジョスはただの平凡な若者だった。毎日同じ日常に閉じ込められていた。

しかし、ある超自然的な出来事が彼の世界を揺るがし、彼はすべてを一から始めることを余儀なくされる。

理由も分からず、頼る者もおらず、望んでもいない運命を背負わされた彼は、未知に満ちた新たな現実に立ち向かわなければならない。


選ばれたのか? それとも間違いだったのか? あるいは、ただの終わりの始まりにすぎないのか?


もはや見慣れた世界ではない場所で、ジョスは気づくだろう——すべての再出発が平和をもたらすわけではない。

中には、本当の戦争への序章となるものもあるのだと。



---

第15章:謎の世界


世界のどこか


「殺せ!」

「撃て!」

「撃てぇぇぇ!」 ――複数のオーガたちが叫んだ。


その瞬間、巨大な火球がオーガの集団に直撃し、彼らを空中に吹き飛ばした。炎の中から、一人の少女が現れた。彼女の全身は絶え間ない炎に包まれていた。


「ふふふ…楽しいわね!」 ――狂気じみた笑い声を上げた。


「天体照明(Tentai Shōmei)…」と彼女は呟いた。


すると、彼女を包む炎が異常なまでに増大し、周囲の全てを飲み込んでいった。炎に焼かれるオーガたちの悲鳴が響き渡る。


突如、高所から巨大なハンマーを振りかざしたオーガが飛び降り、彼女へと襲いかかった。


「ん?」 ――少女は落ち着いた笑みを浮かべた。


ハンマーは彼女の体を貫いた…少なくとも、そう見えた。武器は地面を叩きつけ、土煙と石を巻き上げたが、彼女には一切の傷がなかった。オーガは驚愕した。


(…体を炎に変えたのか?) ――オーガは信じられない様子で思った。


彼女は反撃の隙を逃さず、掌に火球を生み出し、一瞬でそのオーガを焼き尽くし、灰に変えた。


十体以上のオーガが同時に彼女へと襲いかかる。


「太陽帝国(Taiyō Teikoku)…」と彼女は低く呟いた。


次の瞬間、彼女は巨大な火球を作り出し、それが轟音と共に爆発した。二十キロ四方を焼き尽くし、後には炭化した大地だけが残った。



---


村の会議室


「十二の王国?」 ――ジョスが尋ねた。


その時、ベルは相変わらずグラルから目を離さずにいた。


「十二の王国は戦争状態だった…だが、“その日”に全てが変わった。」 ――グラルが言った。


「その日って、何の日だ?」 ――リクが問う。


「詳しいことは知らない。全てを知るのは長老だけだ。ただわかっているのは、戦争が最高潮に達し、この世界が限界を迎えた時、計り知れない力を持つ男が現れたということだ。どんな存在も彼を倒すことはできなかったそうだ。」


「それで…そいつは何をした?」 ――マリアが訊いた。


「その男は巨大な爆発を起こし、人間以外の全ての種族をこの世界から追放した。我々は戻ろうとしたが、封印によって阻まれた。」 ――グラルが説明した。


「どこへ飛ばされた?」 ――マリアが尋ねる。


「その後、我々オーガは森の中に現れた。我々だけがその地に住むことになった。」


「なぜ人間だけがこの世界に残った?」 ――インが質問した。


「それは分からない。だが、あの爆発は危険度の高い種族だけを排除したと考えられている。」


ジョスは黙り込み、何かを考えていた。


「聖なる道具について何か知っているか?」 ――インが尋ねた。


その時、シロが真剣な眼差しでグラルを見つめた。


「多くは知らん…」 ――グラルは答えた。

「聖なる道具は人間だけに授けられた。」


「なぜ人間だけに?」 ――シロが問う。


「当時、人間はあまり強くなかったが、その王国は非常に尊敬されていた。彼らには人間だけが扱える非常に強力な技術があった。」


「それは何だ?」 ――シロが続けた。


「気(Chi/Ki)だ。しかし、それを操れる者は多くなかった。だが、習得した者は極めて強くなり、わずか十人で王国全体を守れるほどだった。」


「それで、聖なる道具は?」 ――インが再び問う。


「それは長老に聞け。真実を知るのは彼らだけだ。」


(なぜ莫大な力を与える道具が存在するのか…) ――グラルは心の中で考えた。


皆が彼の言葉を黙って噛みしめた。


「しばらくはここにいてもらう」 ――リクが言った。

「後でまた質問しに来る。」


その後、シロを除いた全員が部屋を出て、村人たちを助け、村の再建作業を始めた。


空は薄い霧に覆われ、焦げた木の匂いがまだ漂っていた。ジョスとリクは倒壊した建物の修復を指揮し、マリアは女性たちと共に負傷者の手当てを行い、傷口を洗い、包帯を巻いていた。


インは若者たちに村の防壁の補強方法を教え、ベルはいつもの余裕ある態度で、魔力を使って資材を動かし、梁や柱を持ち上げた。


子供たちは怯えながらも、水や食料を作業員に運んで手伝った。やがて笑い声と感謝の声が村に戻り、少しずつ希望が蘇っていった。


太陽が沈みかけた頃、最初の家並みが修復され、村は傷を負いながらも再び立ち上がった。



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