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見透かす銅像

作者: 逆福

駅から家に帰る道には一体の銅像がある。170cm程度の大きさの男性の像である。見た目はどこにでもありそうなものだが、無表情な顔についた二つの目は何か自分を見透かしているように感じた。そして何故だか自分がこの像の目の前を通ると不思議な事が起こるのだった。


どんなことが起こるかといえば、自分が何かやらかして忘れている事を像の前を通ると思い出すのである。例えばやらなければいけない宿題を忘れていた時や、提出物を出していなかった時などに像の前を通ると、一瞬体が重くなり息が詰まるような感覚にとらわれ、そしてはっとその事を思い出すのである。


何度か友人にこの像って気味が悪いよねとかなんか変な事起きないと言ってみた事はあったがどうやらこのような経験をしていたのは自分だけのようだった。何度かの不思議な経験ののちに、一体この銅像はなんなのかと調べた事があったが由来については結局よくわからなかった。


不気味な存在ではあったが忘れている事を思い出せる事自体は有用だったのでそこまで気にもしなくなっていった。


ある日の事、一仕事終えて家から駅に向かう。あの像の前を通り過ぎようとした瞬間にふと体が重くなり息苦しさに襲われた。その感覚にそういえばと家での仕事について不備があった思い出した。すぐさま家に帰り確認をしてみるとやはり不備があったのですぐに処理をした。


一安心して再び駅に向かう、像の前を通り過ぎようとした時にふと像に目を向けて気づいた、よくみると今の自分は像と同じ格好をしていると。そして目線を上げ像の顔を見ると、表情がないと思っていた顔はその二つの目で自分を見透かして笑っているように見えた。


テレビに映るニュースではある場所で殺人事件が起きたと報道している。自宅で複数箇所を刃物で刺された遺体が発見された。二度刺した形跡があり一度目は致命傷ではなかったようで、少し時間を置いてからもう一度刺さそれが致命傷になったようである。犯人と考えられる同居人を探しているが行方不明である。同居人の知り合いのインタビューが放送されていた。


「ああ、あいつですかなんか変なやつでしたよ。駅の近くの通りなんですけどね、あそこに変な銅像があるって言うんですよね。そんなものどこにもないんですけどね」



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