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第47話 新大陸

第3章もよろしくお願い致します。

「新大陸が発見された……か」



 その知らせが届いたとき、俺はその意味をすぐに理解した。


 大イギリシアの艦隊が長い航海の末にたどり着いた未踏の地。そこには、未知の資源と可能性が眠っているという。



 俺たちノルデン自由連邦国を含む「聖国協商共栄圏」はすでに強固な同盟を結んでいる。


 ノルデン、大イギリシア、リュクシス公国、そして共和政アルテウスなどの国々が参加し、共存と協力を基盤にしたこの枠組みは、大陸全体の平和と安定をもたらしてきた。



 だが、今回の新大陸発見は、ただの新しい領地や資源の話に留まらない。これが国家間の力関係や影響力に大きな変化をもたらす可能性があることを、俺は直感していた。


 同盟が揺らぐような事態は絶対にあってはならない。





俺は早速、幹部会議を招集した。この問題は一刻の猶予も許されない。





「新大陸の発見は、聖国協商共栄圏にとって大きな機会であると同時に、潜在的な脅威でもあります」



 幹部会議で、まず口を開いたのは外務卿のセレスティアだ。彼女は冷静に状況を分析し、報告書を皆に配布していた。



「これまで私たちは、協商共栄圏として平和を維持し、資源を公平に分配してきました。しかし、この新たな大地を巡る利権争いが発生する可能性があります」


「共栄圏に属さない南方諸国、マレフィクス王国やアーデン王国、そして皇治連邦シャドウルアも、この発見をきっかけに動きを強めてくる可能性があります」



 セレスティアの言葉に、部屋の空気が引き締まる。彼女の言う通り、今回の発見は協商共栄圏内だけでなく、それ以外の勢力にも影響を与えるのは明白だ。



「マレフィクス王国やアーデン王国がどう動くかは不透明だが、彼らが黙って見過ごすとは思えないな」


 俺は静かに言った。


「ましてや、シャドウルアが背後にいるとなれば、彼らはこの機に乗じて我々に対抗してくるだろう」




 レオが、重々しく頷く。


「奴らは我々の共存路線を快く思っていない。ましてや、今回の新大陸は、彼らにとっても魅力的な利権の塊です」



「つまり、我々もすぐに行動を起こす必要があるということですな」


 グラントが口を挟む。


「新大陸がどれだけの資源を持っているかはまだ不明ですが、先手を打たなければ他国に奪われる可能性があります」



「だが、争いは避けたいですね」


 エリザが静かに口を開く。


「これまで私たちは平和を守るために共栄圏を築いてきました。それを無にするような戦争は、絶対に避けるべきです」



 彼女の言葉には重みがある。共栄圏の一員として、そしてノルデンの一市民として、争いを望まない気持ちは俺にもある。



「そうだな」


 俺は頷く。


「だからこそ、俺たちは聖国協商共栄圏として、この新大陸を平和的に管理する提案をする」



 一同が俺に注目する。ここからが本題だ。


「新大陸の資源を巡って各国が争えば、協商共栄圏の安定は崩れる。だが、もしこの新たな大地を協商共栄圏で共同管理し、全ての国が公平に利益を分け合うことができれば、無用な争いを避けることができる」



「共同管理ですか?」


 セレスティアが問いかける。



「そうだ」


 俺は頷く。


「新大陸における資源や土地を、協商共栄圏に属する全ての国々が平等に分配する枠組みを作るんだ」


「それぞれの国が利益を得られるようにしつつ、共栄圏のルールに従って平和的に開発を進める。これが俺の提案だ」




 部屋の中で、しばしの沈黙が流れる。


 俺の提案がどれだけ大きな意味を持つか、皆が考えを巡らせているのが分かる。



「それは、確かに理想的な解決策かもしれません」


 セレスティアが口を開く。


「ただし、共栄圏外の国はこれに同意しないでしょう」



「特に、マレフィクス王国やアーデン王国が黙って従うとは思えないです」


 レオが指摘をする。



「その通りだ」


 俺は同意した。


「だからこそ、彼らに先手を打たれる前に、我々は協商共栄圏内で合意を取り付け、強固な枠組みを作り上げる必要がある。マレフィクスやアーデンが反発してきた場合、彼らと対抗するための連携が必要だ」



「そのための準備は万全にしておきます」


 レオが力強く頷いた。


「彼らが力で迫ってくるなら、こちらも相応の力を持って対抗できるようにします」



「無用な争いは避けたいが、力を見せる必要がある時もあるだろう」


 俺は静かに付け加えた。


「だが、俺たちが目指すのはあくまで共存だ。共栄圏の理念に従い、まずは平和的な解決策を提案する。」



 グラントが眉をひそめながら、「協商共栄圏内での合意が成立すれば、建設計画の立案も早急に進められるでしょうな。新大陸での都市建設や開発は、ノルデンにとっても重要です」



「そうだ。新たな技術や資源がノルデンの発展に大いに役立つ」


 俺は頷いた。


「だからこそ、この機会を無駄にしてはならない。新大陸は我々全員にとっての未来だ」









 数日後、ノルデン、リュクシス、大イギリシア、共和政アルテウスの代表が集い、俺の提案が正式に協議された。


 各国とも、新大陸の利権を巡る争いを避けたいという思いは一致していた。




「我々は、エルターナ殿の提案に賛同いたします」


 大イギリシアのヴィクトーリア2世が重々しく宣言する。


「新大陸は協商共栄圏全体で管理し、共存の理念に基づいて平和的に開発を進めるべきでしょう」



「我が共和政アルテウスも同意します」


 アルテウスもまた、協商の理念を強調する。




 こうして、聖国協商共栄圏による新大陸の共同管理が正式に決定された。


 しかし、同じ頃、南方で新たな動きがあった。



 マレフィクス王国、アーデン王国、そしてシャドウルアを中心とした『南方諸国連合』が結成されたという情報が入ってきたのだ。




「やはり、彼らも動いたか……」



 俺はその報告を受け、静かに呟く。



 これから、新大陸の利権を巡る国家間の緊張が一層高まっていくことは避けられないだろう。


 だが、俺たちは共栄を信じ進むのみだ。



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