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第43話 反乱分子

 ノルデンは、かつての小さな国から、今では大国の仲間入りを果たしつつある。


 国際的な地位も強化され、隣国リュクシス公国や大イギリシア帝国との協力関係も進んでいる。



 だが、その繁栄の裏側には、俺たちが気づかぬうちに、国内に不穏な空気が漂い始めていた。




 数週間前から、リリアンやレオからの報告で、魔物たちの中で不穏な動きがあるという噂が耳に入るようになった。



 当初、俺はそれを深刻に捉えていなかった。ノルデンでは、俺たちが築いてきた共存の理念があり、魔物も人間も共に手を取り合って成長してきたのだ。


 だが、魔物たちの一部が感じている不満は、予想以上に根深いものだったようだ。




「エルターナ様、最近街の一角で、魔物たちが秘密裏に集会を開いているそうです。どうもただの談合ではありません」とリリアンが報告してきたとき、俺は胸騒ぎを覚えた。



「詳細を調べろ。レオにも確認させてくれ」と俺は指示を出す。


 ノルデンが成長する中で、誰もが満足しているわけではないことは分かっている。だが、これほどまでに対立の火種が国内で燻っているとは思っていなかった。






 リリアンの報告によると、魔物たちの中には、ノルデンの発展が人間中心に進んでいることに不満を抱いている者たちがいるらしい。


 

 確かに、最近のノルデンの発展は、外の国々との国交樹立や技術の導入によって、人間社会が急速に発展した部分が大きい。


 俺たち幹部が日々忙しく国を発展させる中で、魔物たちの一部は置き去りにされたと感じているのかもしれない。




「俺たちはこの国を支えるために戦ってきたのに、今やその恩恵は人間たちばかりが享受している」と、集会に参加している魔物たちは不満を漏らしているらしい。


 彼らは、ノルデンが魔物と人間の共存を掲げた国であるにもかかわらず、魔物が疎外されていると感じ始めているそうだ。





 その中でも、特に強力な魔物たちが声を上げ始め、エルターナを打倒し、魔物中心の国家を築こうと考えているという情報が入ってきた。


 これはただの小さな不満ではなく、国家転覆を目論む危険な動きだ。俺は、胸の中で焦りを感じたが、同時に冷静な判断を迫られていた。






 幹部会議でこの情報が伝えられたとき、全員が緊張感を感じているのが伝わってきた。



 レオが真剣な表情で口を開く。


「エルターナ様、俺たちはここで迅速な対策を取らなければなりません。魔物たちが武装を始め、軍事的な行動を計画している可能性があります。国内の安定を守るためにも、早急に動くべきです」



 彼の言葉に、俺は深く頷く。


 だが、その一方で、心の中に葛藤が渦巻いている。かつて共に戦い、国を築いた仲間たちが、今や反乱を起こそうとしているのだ。


 彼らが何を考えているのかを完全に理解できないわけではない。ノルデンは急速に発展し、時にその速さが個々の不満を取りこぼす原因となっていたのかもしれない。



 だが、だからといって国家を乗っ取ろうとする行動を容認することはできない。ノルデンの安定を守るためには、何らかの強硬策が必要だろう。



「リリアン、レオ、セレスティア。彼らの動きを引き続き監視し、必要ならば直ちに対処できるよう準備を整えろ」と俺は命じた。




 



 数日後、俺たちは魔物たちの一部が武器を密かに集め、訓練を行っているという確かな情報を得た。


 リリアンが密偵を送り込んだ結果、彼らが近々ノルデンの防衛拠点を襲撃する計画を立てていることが明らかになったのだ。



「これ以上放っておけば、内戦の火種となるでしょう」と、レオが言葉を発する。

 


 彼はノルデン国軍の指揮官として、冷静に状況を分析しつつも、行動の必要性を強く感じているようだ。



 俺は、そんな彼を信頼している。レオに全軍の指揮を任せることで、最善の結果を得られると信じているからだ。


 しかし、魔物たちとの直接対決は避けたいという思いも同時に胸に渦巻いている。



「彼らが我々に反旗を翻すというなら、それを止めるしかない」と俺は冷静に言ったが、内心では強い葛藤があった。


 かつての仲間である魔物たちを、今度は敵として迎え撃つことになるかもしれない。その現実が、俺の心に重くのしかかっていた。




「エルターナ様、迷っておられるんですか?」とリリアンが俺に問いかける。



 俺は彼女に答える。


「迷ってはいない。ただ、彼らもまた、かつては共にこの国を支えてきた仲間だということを思うと、どうしても簡単に割り切れないんだよ」




「それでも、国を守るためには決断が必要です。彼らが武器を取るなら、私たちはそれに対処するしかないでしょう。エルターナ様、どうかご英断を」


 リリアンは毅然とした口調で言い放つ。



「ああ、分かっている」と俺は答えた。


 今やこの国を守るために、何かを犠牲にしなければならない時が来ているのだろう。だが、その犠牲が何をもたらすのかは、まだ分からない。







 数日後、ノルデンの要所となる都市の一角で、魔物たちの一部が反乱の火蓋を切ろうとしているとの情報が入った。



 俺たちは直ちに対応を開始し、反乱の芽を摘み取るための準備を進めた。


 幹部たちは一丸となり、国内の安定を守るために動き出した。



 これが、ただの不満から生じた小さな動きなのか、それとも国家全体を揺るがす大きな波となるのかはまだ分からない。



 だが、俺たちはこの国を守るために戦わなければならない。かつて共に戦った仲間であろうと、今は敵として立ちはだかる者たちに対して。




「俺たちはノルデンを守る」と心の中で決意を新たにし、次なる行動に備えた。

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