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第41話 天界 《三人称視点》

 天上の世界、天界。



 その領域は人間の想像を超えた美しさと神聖さを兼ね備えている。



 空には純白の雲が漂い、どこからともなく差し込む神々しい光が絶えず周囲を照らしていた。


 光は柔らかく、目を眩ませることはない。むしろ、見る者すべてに安らぎを与え、温もりと穏やかさを感じさせるものだ。



 天界は、常に静謐で、冷静な空気が流れている。


 天使たちはその静寂の中で、それぞれの使命に従い、忙しなく動いていた。彼らの使命は、天上の秩序を保ち、地上の動向を見守り、場合によっては介入することだ。



 天界に住まう天使たちは、神々に近い存在ではあるが、完全な支配者ではない。


 神々の領域であるにも関わらず、そこには支配者という概念が存在せず、秩序と調和が自然に保たれていた。


 天使たちは互いを尊重し合いながら、使命を全うしている。権力争いも野心もなく、ただ、神々の意思に従い、世界の安定を保つことに専念しているのだ。






 天界の中心には、一際大きな宮殿がそびえ立っていた。



 その宮殿はまさに壮麗の一言に尽きる。


 白亜の柱が並び、天に向かってそびえるような建築が、まるで神そのものの存在を感じさせるほどの威厳を持っている。


 宮殿の外観は光そのものを形作ったかのように美しく輝き、その内部は無限の広さを感じさせる神秘的な空間で満たされていた。




 宮殿の中央にある広大な円卓の間。


 ここでは、最も高位の大天使たちが集まり、地上の出来事について議論を交わす。




 今日もまた、三人の大天使、ミカエル、ウリエル、ラファエルが集まり、地上で起こっている出来事に注視している。


 彼らの姿は、人間の目には到底理解できないほど美しく、神秘的であり、羽ばたく翼の一振り一振りが、天界全体に響くほどの力を秘めている。




「地上は今、非常に複雑な状況にあるようだな」


 最初に口を開いたのは、戦いの象徴である大天使ミカエルだ。


 彼の低く重みのある声が、広間全体に響き渡る。




 ミカエルは天使の中でも最も強大な力を持ち、彼の威厳ある姿はまさに天界の守護者そのものだ。鋭い目は常に未来を見通しているかのようであり、その視線一つで戦場の行方を左右すると言われている。


 彼の戦歴は数えきれず、その中には神々ですら驚嘆するような壮絶な戦いも含まれていた。




「ノルデンという国が、我々の注視すべき領域となっているようだ。エルターナという名の人間が、かつてない規模で国を築いている。だが、彼の動きには秩序と混乱の両方が見え隠れしているな」


 隣に座るウリエルが静かに頷きながら答える。



 彼は天界の知恵の象徴とされ、その知識は無限に広がる。


 彼の言葉に、他の大天使たちも神妙な表情を浮かべた。




「エルターナ……彼は地上で人々を導いているが、その行動が我々にとって脅威となるかどうか、慎重に見極めなければならない」


 癒しと保護の天使であるラファエルが、優しくも確固たる声で言葉を添える。


 彼の慈愛に満ちた目は、いつも傷ついた者や困難に立ち向かう者に向けられており、その温かい眼差しだけで多くの者の心を癒すと言われている。




「…ガブリエルはすでに彼の中に取り込まれているしな」


 ミカエルは冷静に続ける。


「まったく、どんくさい奴だ。まあ、アイツには天界と地上を結ぶ鍵になってもらおう」



 ミカエルの発言に対し、ウリエルとラファエルは一瞬黙り込んだが、再び静かに頷いた。


 ガブリエルの失敗は天界にとっても予想外の出来事であった。




「彼の行動が我々にとって利益をもたらすか、それとも災厄となるかは定かではないが、放置するには危険かもしれん」


 ミカエルが目を細め、地上で起こっている数々の動向に対して鋭く視線を送った。



 ウリエルがその言葉を引き継ぐように話を続ける。


「我々が彼を導くべきか、それとも観察に留めるか。いずれにせよ、彼の行動には我々の介入が必要になるだろう。エルターナの持つ力は、地上の他の存在と比較しても異質だ」




「エルターナは力を持つが、それが善に向かうか、悪に向かうかはまだ決まっていない。我々が彼を導くことで、地上の未来を安定させることができるかもしれない」



 ラファエルの慈愛に満ちた言葉に、ウリエルも頷く。


 彼の分析力とラファエルの慈悲深さは、天界において最も信頼されるものである。





 ミカエルは黙って考え込んでいたが、やがて静かに口を開いた。



「いいか?我々は人智を超えた存在だ。むやみに人間界に介入するべきではない」






 しばしの沈黙が広間に訪れた。


 天使たちの瞳は、それぞれが見ている未来や可能性を思い描いていた。彼らの力は絶大であり、地上の運命すらも左右するほどの影響力を持っている。




「もう少し、彼を観察しよう。だが、もし彼が危険な方向に進むなら、即即座に対処しなければならないな」と、ミカエルが言う。




 他の大天使たちもそれに同意し、静かに頷いた。




 天使たちの会議は続いたが、ノルデンを巡る運命はまだ決まっていない。


 エルターナの動向は天界でも大きな関心事となっていたが、彼の未来は天使たちの手によってではなく、彼自身の選択に委ねられている。



 天界では静かにその行く末が見守られていたが、エルターナはまだ自分が注目されていることを知らず、地上での新たな挑戦に向かっていた。

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