第34話 異界人シズカ・ヤマモト 《他者視点》
私は山本静華。
かつて、日本の横浜で普通の学生として過ごしていた。毎日通学し、友人と笑い合い、部活動に勤しむ、平凡な学生生活を送っていた。
私はその生活が自分の人生の全てだと思い込んでいた。だが、運命というものは時として予期しない形で私たちを試すものだ。
あの日のことは今でも鮮明には思い出せない。
ある日、私が空を見上げていた時、何とも言えない異様な気配を感じた。
突然、空の青さが歪み、光がまるで波紋のように広がっていった。
次の瞬間、私の視界は真っ白に包まれ、意識が遠のくような感覚に襲われた。
気がつけば、私は見知らぬ場所に立っていた。周囲は私の知っている世界とは全く異なり、空の色は濃紺で、風には異国の香りが漂っていた。
目の前に広がるのは、まるで異次元から出てきたような奇妙な景色だった。私はただ呆然とその場に立ち尽くしていた。
最初はただ生き延びるために必死だった。
この世界では、現代日本での知識や常識は全く通用しなかった。
身の回りには無知と孤独が立ち込め、食べ物の調達や安全の確保に苦心した。これまでの人生が嘘のように思えた。
私の周りには、あらゆる面で異なるルールと価値観が支配しており、その中で私はただ必死に適応しようとしていた。
そして、その苦境の中で、私が最初に出会ったのが皇治連邦シャドウルアの騎士団だった。
「君はどこから来たのだ?」と、騎士が私に問いかけた。
「私は…日本から、ここに…」
私は戸惑いながら答えた。
「日本?聞いたことのない国だな。しかし、君の力は並々ならぬものだ。我々のためにその力を貸してくれないか?」
彼らは私を異界の存在として発見し、保護する代わりに私の力を利用しようとした。
最初はその意図が理解できず、恐怖と疑念に包まれていた。
しかし、彼らは私に対して一定の敬意を払ってくれた。私が彼らの中でどのように生きていけばよいのかを探りながら、彼らの制度や慣習を学び始めた。
次第に私はシャドウルアの生活に馴染んでいった。
剣を取り、訓練に励む中で、私の中に眠っていた異界の力が徐々に目覚めていった。
私はその力を使って、シャドウルアの人々と共に戦い、彼らの信頼を勝ち取ることができた。
技術と力を身につけることで、私は皇立騎士団の一員として認められ、さらには指揮官の地位にまで昇進することができた。
自分がここまで上り詰めるなどとは、当初は考えもしなかった。
だが、心の中には常に疑念が付きまとっていた。
なぜ私はこの世界に来たのか?私の存在意義とは何なのか?この異界で何を守り、何を成し遂げるべきなのか、自分でもはっきりと分からないまま、戦い続けていた。
私の力は単なる剣術の域を超えていた。
ある日、私の中に眠っていた異界の力が完全に覚醒し、天災を操るスキル「厄災神女」を獲得した。
シャドウルアの人々はこの力を恐れ、また崇めるようになった。私はその力を用いて、様々な魔物を召喚することができるようになり、その威力は絶大であった。
しかし、同時にその力を使うことには深い恐怖も伴っていた。私は法皇アナクレトの命令に従わざるを得ず、その力を使うことで自分の内なる恐怖と向き合うこととなった。
ある日、法皇アナクレトから直接命令が下った。
「シズカよ、そなたの力を使って颱風龍テュポーンを召喚し、ノルデンを威圧せよ。彼らは我々の敵。その力で我が連邦を守るのです」
私は法皇アナクレトの命令に従い、颱風龍テュポーンを召喚し、北方の新興国ノルデンに脅威を与えた。
これによって、私はノルデンと敵対する立場に立たざるを得なくなり、その結果、指導者エルターナとの対立が避けられない状況となるだろう。
指導者エルターナは自由と平和を追い求める理想的な人物であり、その目標には心のどこかで共鳴する部分もあった。
しかし、私はすでにシャドウルアの一員として、法皇アナクレトの指示に従わざるを得ない状況にある。
戦争の背後にある政治的な駆け引きや、私自身の運命に対する不安が渦巻いていた。
今、私は皇治連邦シャドウルアの騎士として、指導者エルターナに立ち向かっている。
彼との戦いが本当に正しいのかどうか、心の奥底で答えを見つけられずにいる。
法皇アナクレトの目論見は戦争を通じて権力を強化しようとするものであり、その目的のために多くの犠牲を払う必要があるだろう。
戦争が終わったとき、私は何を手に入れ、何を失うのか。戦いの果てに何を成し遂げるのか、私はまだその答えを見つけられずにいる。
それでも、一つだけ確かなことがある。私は自分の意思でこの世界にいる。そして、この世界で自分の運命を切り開くために戦い続ける。
皇治連邦シャドウルアのためであろうと、自分自身のためであろうと、私は最後まで戦い抜く。




