第31話 召喚者
───????
暗闇の中、一人の女性が膝をつき、深々と頭を下げている。
その背後に立つ人物の顔は、まるで深い闇に包まれているかのように見えず、どこかで見たような、ただ冷たい笑みが浮かんでいるのがわかる。
「シズカ・ヤマモトよ。今回の作戦は失敗に終わったようですね」
その声は冷酷で、どこか楽しむような響きを持っていた。
シズカはその言葉を受け、ゆっくりと頭を上げる。
「申し訳ございません、陛下」
シズカは淡々とした口調で謝罪の言葉を口にする。
「まあよろしいですわ。あのエルターナのことですから、こんなもので倒れるとは思っていませんでしたよ」
冷たい刃のような言葉が放たれる。
「だとしても…、あの颱風龍を1人で倒すとは。なかなかのモノですね」
「はい、陛下。ヤツの力は相当のものです。しかし、我ら皇立騎士軍の敵ではありません」
シズカは毅然とした声で応え、その瞳には自信と決意が宿っている。
「颱風龍テュポーンは役に立ちませんでしたが、私たちはそんなのとはレベルが違いますので」
シズカの言葉には、自分たちの力が単なる戦力の強さではなく、信念や経験に裏打ちされたものであるという確信が込められている。
「ふっふっふ。流石ですね、シズカよ。やはり転移者は格が違いますわね」
その笑みは冷たく、何かを計算しているかのようであった。
「それに…、そなたにはイザナミが守護としてついている。負けることなど無いでしょう?これからもよろしく頼みますわ」
「はい、よろこんで。陛下万歳」
シズカは再び頭を垂れ、その姿勢は忠誠そのものであり、彼女の心の中には陛下への揺るぎない信頼と、これからの戦いに向けた覚悟があった。
───ノルデン首都コペンホルム
颱風龍テュポーンを打ち破ったノルデンの街は、祝祭の光に包まれていた。夜空には無数の星が瞬き、広場には歓喜の声が響き渡っていた。
コペンホルムの広場には大勢の人々が集まり、喜びの声を上げている。
ノルデンの民は皆、この偉業を成し遂げた俺たちを讃え、心からの感謝と祝福を捧げている。
街全体が祝祭の雰囲気に包まれており、色とりどりの旗が風になびき、広場には数えきれないほどの屋台が立ち並んでいる。
音楽隊が奏でる賑やかな調べが広場に響き渡り、人々の心を躍らせていた。踊り子たちが華麗な舞を披露し、その姿はまるで光の中を舞う妖精のようであった。
街中が笑顔と喜びに包まれる中、俺は広場を見渡しながら、戦いの疲れが少しずつ癒されていくのを感じていた。
「エルターナ様!」
リリアンが走り寄り、興奮気味に報告する。彼女の顔には喜びが満ち溢れ、声も高揚している。
「祭りは大成功です!皆があなたを英雄として称えています!」
彼女の報告を聞いた俺は、微笑みながら頷く。
「民が喜んでいるなら、それが一番だ。彼らの笑顔を見るために、俺たちは戦ったんだからな〜」
俺はリリアンの隣に立ち、広場の賑わいを眺めながら、民たちの幸福を感じ取っていた。
リリアンが腕を組んで満足げに頷く。
彼女もまた、この平和な光景を見ながら、俺の言葉に深く共感していた。
「エルターナ様のおかげで、ノルデンは再び平和を取り戻しました。この祭りは、その証です」
彼女の言葉には、俺への深い尊敬と感謝が込められており、彼女もまたこの街を守るために戦ったことに誇りを感じている。
「だが、この平和を永遠のものとするために、俺たちはまだやるべきことがある」
俺は真剣な表情で言う。
「テュポーンを倒したことは大きな勝利だが、まだ見えない敵がいるような気がする」
セレスティアが静かに近づき、低い声で囁いた。
「エルターナ様、あなたの言う通りです。テュポーンが何者かに召喚された可能性があります。その真相を解明しなければなりません」
俺は頷く。
「そうだな…。今後も注意を怠らず、ノルデンを守っていこう」
幹部たちは皆、俺の言葉に同意し今後の行動を決意した。
「……さあ祭りを楽しもうぜ〜!民が安心し、喜びを分かち合う姿を見るのは、俺たちにとっても大切なことだ!」
俺は微笑み、広場の賑わいの中に溶け込んでいった。
次の瞬間、空から誰かが吹っ飛んでくる。
『ボッカァァァァァァン』
(は?)
「はーはっは!!俺様を忘れんなよ!」
聞いたことのあるようなデカい声が聴こえてくる。
「なんだヴェルフェンかよ…」
「まったく、俺様に何も言わずに祭りを催すとは…、なかなかフザケてんな!!」
(ふざけてんのはお前だろ……。)
「エルターナよ!!はやく祭りを回るぞ!!!」
「はぁ〜い…」




