表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/49

第27話 魔王入国

 リュクシス公国との軍事同盟が締結された数日後、ノルデン自由連邦国は再び平穏な日常を取り戻していた。


 街には活気が戻り、人々は日々の生活に励んでいた。






 俺は、コペンホルムに戻り、幹部たちと共に今後の方針を話し合うため、行政府の会議室に集まっていた。


 薄明かりの差し込む広々とした部屋は、重厚な木のテーブルと椅子が並び、壁には国の旗が誇らしげに掲げられている。


 外の賑わいがわずかに聞こえる中、部屋の中は緊張感に包まれていた。




「これで我々の同盟体制は万全です。これからは、国の発展に集中できるでしょう」と、グラントが胸を張って建設計画の進行状況を報告する。


 彼の眼差しは自信に満ちており、国土をさらに発展させる意欲が表れていた。




 セレスティアも微笑みながら言葉を添える。


「リュクシス公国との連携が強化されたことで、私たちの外交力も一層増しました。今後は他国との交渉もより有利に進められるでしょう」


 彼女の言葉には、国の未来に対する期待と、これからの挑戦に向けた決意が込められている。




 俺は彼らの報告に頷きつつ、部屋の中の幹部たち一人ひとりに目を向けた。

 皆、厳しい表情ながらも、それぞれの役割を果たすために心を砕いているのが分かる。



「皆の努力のおかげで、ノルデンは確実に成長している。だが、これからも油断せず、さらなる発展と防衛力の強化を続けていこう」


 俺の言葉に、幹部たちは一斉に頷き、決意を新たにした表情を見せる。






 しかし、その和やかな雰囲気を打ち破るかのように、会議室の扉が急に開かれた。


 飛び込んできたのは、息を切らした兵士だった。彼の顔は青ざめ、明らかに何か重大な事態が起こっていることを物語っている。



「緊急報告です!」


 兵士は声を震わせながら報告を始める。


「コペンホルム北方にある辺境の村で、突如として魔物の大軍が現れました!」




 その瞬間、会議室内は一瞬にして凍りつく。


 幹部たちの顔からは緊張の色が消え、代わりに不安と恐怖が広がっていた。


 俺は心の中で冷静さを保ちつつ、鋭く問いかける。



「魔物の大軍だ?具体的な状況を詳しく報告してくれ」



 兵士は震える声で続ける。


「はい。目撃者の話によると、突如として空が黒雲に覆われ、その中から無数の魔物が現れたとのことです。村は壊滅状態で、生き残った者はごくわずかです…そして、その中心には、伝説の魔王が現れたというのです」





「魔王か……」


 俺は眉をひそめ、頭の中で情報を整理し始める。


 魔王とは、かつて世界を恐怖に陥れた存在であり、長らく封印されていたとされていたらしい。


 しかし、その復活が現実となったのだろうか。




 会議室は静寂に包まれ、全員が言葉を失っていた。


 その沈黙の中、俺は深く息を吸い込み、決断を下した。




「幹部会議を即座に終了し、防衛体制を強化する。レオ、ラルフ、直ちに兵を集結させ、魔物の大軍に備えよ。セレスティアは周辺国への情報共有と、リュクシス公国への支援要請を行う。グラントは防衛施設の強化を進めてくれ」



 俺の指示に、幹部たちは素早く動き始めた。



 レオとラルフは兵士たちに迅速に命令を下し、セレスティアはすぐに使者を送り出した。


 グラントは建設部隊を動員し、急ピッチで防衛施設の強化に取り掛かった。


 俺は、ノルデンの存亡を賭けた戦いが始まったことを強く実感していた。









 その夜、ノルデンの空には異様な静けさが漂っていた。



 町全体が緊張に包まれ、武器を持った兵士たちが各所に配備されている。


 彼らの顔には不安と決意が入り混じり、その目は鋭く暗闇を見据えている。





 俺はコペンホルムの城壁から遠くを見つめていた。



 遠方に見える黒雲が、次第にノルデンへと迫ってくるのがはっきりと分かる。


 重苦しい雰囲気が辺りを包み込み、その空気は息苦しいほどだ。




「エルターナ様」と、リリアンが近づいてくる。


 彼女の表情は緊張に満ちており、肩にかけたマントが風に揺れている。


「敵の姿がはっきりと見えるようになりました。先遣隊が接触しましたが、壊滅状態です…どうか、ご指示を」




 俺は静かに頷き、冷静に指示を出す。


「全兵を第一防衛線に配置してくれ。奴らを城壁の外で止めるのだ。リリアン、君は衛生兵たちの指揮をお願いする」





 リリアンは深く一礼し、素早く行動に移った。


 俺は、刻々と迫る危機に対して、彼らがどれだけ準備できたかを思い返していた。


 街の周辺には急ごしらえの防御壁が築かれ、城壁の上には弓兵たちが配置されていたが、それだけでこの脅威に対抗できるかは未知数だった。




 だが、すでに遅いことは分かっていた。


 魔王の襲来が、ノルデンにどれほどの影響を与えるのか、その結末は誰にも予測できない。


 唯一確かなことは、この戦いがノルデンの未来を大きく変えるだろうということだった。







 翌朝、ついに魔物の大軍がコペンホルムの城壁に現れた。


 空を覆う黒雲からは、巨大なドラゴンが降り立ち、その背に乗った魔王がゆっくりと姿を現した。



 その姿はかつて伝えられていた通りの恐ろしさであり、漆黒の甲冑に身を包んだ魔王は、氷のような冷たい視線を城壁の上の俺に向けた。




「ようやく、この地に戻ったな…」


 魔王の声は低く、しかしその響きは大地を震わせるほどに力強い。


「愚かな人間どもよ、再び我が力の前にひれ伏す時が……………んー?」





(…え?なに?)






 魔王が口を開く。


「……ん!?お前、久しぶりだな!!!こんなところにいたのかよ!!!」







「……………え?」


(何言ってんだコイツ???)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ