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第25話 ノルデンの同盟

 俺は会議室に向かって歩いていた。


 廊下の壁にかかる絵画や装飾品が、少しずつだが豪華さを増しているのがわかる。


 これも、街が成長している証拠だろう。



 だが、その一方で不安も募る。


 ノルデンの未来を守るため、俺は次に進むべき一歩を慎重に選ばねばならない。






 会議室に入ると、いつものメンバーがすでに集まっていた。


 セレスティアがこちらを見て、軽く頷く。



 彼女の表情から、今日は特に重要な議題があることがすぐに分かった。


 リリアンはすでに椅子に腰掛け、何かを考え込んでいる様子だ。


 エリザとグラントも、互いに視線を交わしながら議論を交わしている。



 俺はそのまま席に着き、早速会議を始めることにした。




「さて、今日の議題に入ろう。まず、セレスティア、リュクシス公国との交渉について報告を頼む」



 セレスティアは少し身を乗り出し、話し始める。


 「エルターナ様。リュクシス公国との国交は順調に進んでいます。彼らは我々の文化や技術に非常に興味を持っております。また、我々の建築技術についても学びたいとのことです。彼らの首都ヴェルマーレンでの歓迎も、非常に手厚いものでした」



 俺は頷く。


「なるほど、彼らとの関係は良好のようだな。しかし、次のステップに進むには、どのようにして信頼を深めていくかが重要だ。何か提案はあるか?」



 セレスティアは一瞬考え込み、次に言葉を発する。


「我々が持つ技術を共有することで、彼らの信頼をさらに得られるかもしれません。ただし、慎重に選ばねばなりません。特に防衛に関する技術や魔法については、安易に渡すべきではないでしょう」



 その言葉に、ゼドが口を挟む。


「確かに、セレスティアの言う通りじゃな。我々の持つ魔法技術は、他国にとって大きなアドバンテージになる可能性がある。しかし、それを渡すことで逆に我々が脅威になる可能性もある。技術の共有にはリスクが伴うだろう」



 エリザも続けて発言する。


「リュクシス公国との関係は大切ですが、国内の安定も同時に考えなければなりません。同盟を結ぶことで、ノルデンの防衛力をどのように高めるか、それによって国民の不安をどのように取り除くかが課題です」




 俺は少し考えを巡らせる。



 この同盟交渉が成功すれば、俺たちは強力な後ろ盾を得ることができる。


 しかし、セレスティアとゼドの指摘通り、無闇に技術を共有することは逆に脅威となりうる。




 その時、リリアンが勢いよく話し始めた。


「エルターナ様、私が交渉に同行します!もし相手が何か企んでいるなら、その場で叩き潰してやります!」



「は、ははは…」


(何言ってんだよこいつ…笑)



 俺は彼女の気迫に苦笑しながらも、その提案を断る。



「リリアン、交渉の場では力ではなく言葉が重要なんだよ。相手を威圧することは逆効果になりかねない。冷静に、そして慎重に話を進める必要があるんだ」



 リリアンは少ししょんぼりした様子で座り直したが、その意気込みは評価してやろう。



「分かりました。交渉は言葉の戦いですね。でも、もしもの時はすぐに駆けつけますので、お任せください!」



 その意気込みに、俺は再び微笑む。


「頼りにしているよ、リリアン」






 会議は続けられた。



 次に、グラントが口を開く。


「リュクシスとの同盟が成立すれば、街の防衛力を強化するための新たな技術を導入することが可能になります。ただし、新しい技術や魔法が住民にどのような影響を及ぼすかを考える必要があります。特に、我々の文化と異なる技術を受け入れるには、時間が必要です」



 その言葉に、俺は深く考え込む。



 ノルデンはまだ若い国だ。急速な変化に対応できるかどうか、住民の理解を得ることができるかが重要だ。


 だが、同時に、この変化を恐れていては未来は切り拓けない。



「グラント、君の言うことはもっともだ。だが、我々は未来を見据えて進むべきだ。新しい技術を導入し、それを我々の文化にどう適応させるかが課題だろう」



グラントは頷いた。





 その時、扉が開かれ、入ってきたのは北方部族からの使節団の代表であるアルンだった。



(ノックぐらいしろよな……)



 最近、コペンホルムにやってきたらしい。


 彼は堂々とした姿勢で俺に向き合い、深く頭を下げる。



「ノルデンの偉大な君主、エルターナ様」とアルンが口を開く。


「我々は、貴国との友好関係を強化し、新たな同盟を結びたいと考えております。我々の持つ技術と知識を提供し、貴国の防衛力を高める手助けをしたい」




 俺はアルンの提案に対して慎重に考える。


 彼らが提供する技術は確かに魅力的だが、信頼が確立されていない段階での同盟は危険である。



「アルン、その技術には興味がある。しかし、同盟とは互いの信頼に基づくものだ。我々はまだお互いを十分に理解していない。まずは信頼関係を築くために、時間をかけて交流を深める必要がある」



 アルンはその言葉に深く同意し、再び頭を下げた。


「確かにその通りですね、エルターナ様。我々は貴国の信頼を得るために、全力を尽くします」





 その後、俺は幹部たちと再び話し合い、ノルデンと北方部族との交流を徐々に深めていく方針を決定した。


 また、リュクシス公国との同盟交渉も並行して進めることが決まり、ノルデンの国際的な地位は一層強固なものとなっていくだろう。







 数日後、俺はノルデンの街を歩いていた。



 新技術の導入に対する住民の反応を直接確かめるためだ。


 街に新たな技術が加わることでどのように変化するのか、住民たちは関心を寄せている。




 ある家の前で立ち止まると、老人が俺に声をかけてきた。


「エルターナ様、この街は本当に変わりましたな。昔はこんなに賑やかではなかった。新しい技術がもたらされると聞いて、少し心配です」



 俺は老人に微笑みかける。


「確かに、変化には不安がつきものです。しかし、この技術はノルデンの発展に大きく貢献させるものです」


「俺たちは、ノルデンがより安全で豊かな国になるために、この変化を受け入れるべきだと考えています。もちろん、その過程で住民の皆さんの意見を尊重しながら進めていくつもりです」




 老人は少し考え込んだ後、静かに頷く。


「エルターナ様がそうおっしゃるのなら、私も信じましょう。この街がさらに素晴らしい場所になることを期待していますよ」



 俺は再び微笑み、老人に礼を言ってその場を離れた。


 街を歩き続けるうちに、様々な場面で住民たちが新しい技術や文化をどう受け入れていくかを観察した。


 驚きや戸惑いを見せる者もいれば、積極的に新しい技術を学び取ろうとする者もいる。



 この変化はノルデンにとって大きな挑戦だ。

 しかし、俺たちはこれを乗り越えて、さらに強くなるだろう。







 その日の夕方、再び幹部たちと集まり、これまでの進展について話し合った。


 リュクシス公国との交渉は順調に進んでおり、北方部族とも良好な関係を築きつつある。



 ノルデンは今、まさに成長の途上にあり、その未来には大きな可能性が広がっている。



「エルターナ様、これからのノルデンの発展には、あなた様のリーダーシップがますます重要になります」


 セレスティアが言う。


「私たちは、あなた様と共に新しい時代を切り拓いていく覚悟です」



 俺はその言葉に力強く頷く。


「ありがとう、セレスティア。皆の支えがあってこそ、俺はこの国を導いていける。これからも共に、ノルデンをより良い国にしていこう」




 幹部たちもそれに続いて頷き、会議は一つの区切りを迎えた。


 これからも新たな挑戦が待ち受けているが、俺たちはそれを恐れずに進んでいく覚悟だ。



 そして、俺は改めて感じた。


 この国を築くためには、技術や力だけでなく、人々や魔物たちの心が何よりも大切だということを。


 ノルデンの未来は、ここにいる全ての者たちの手によって作られていく。







 夜、俺は一人で星空を見上げていた。




 コペンホルムの夜空は、何度見ても心を落ち着ける。


 そこに輝く星々は、まるで俺たちの未来を見守ってくれているようだった。




 どんな困難が待ち受けていようとも、この空を守る。


 それが、ノルデンの君主としての俺の使命だ。

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