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第21話 誕生祭

 コペンホルムの朝はいつも以上に活気に満ちていた。



 今日は特別な日だ。


 俺、エルターナの誕生日。


 街全体がその祝福の準備に追われ、どこを歩いても笑顔があふれている。





 朝早く、いつも通り目が覚めた俺は、一人静かに街を見下ろす丘へ向かった。


 この丘から見渡すコペンホルムは、まさに俺たちが築き上げてきた成果の象徴だ。



 街の中央にそびえる行政府を中心に、商店や住宅が整然と並び、その外周には新たに建設された温泉施設や広場が広がっている。


 建設担当のグラントの指揮の下、街は日に日に拡大し、活気を増している。





 そんな思いにふけっていると、背後から軽やかな足音が聞こえた。


 振り返ると、リリアンが元気よく駆け寄ってくる。



「お誕生日おめでとうございます、エルターナ様!」


 リリアンは眩しい笑顔を浮かべ、腕いっぱいに抱えた花束を差し出してきた。


 花束には、ノルデンの美しい花々が色とりどりに咲き誇っている。



「ありがとう、リリアン」


 俺は少し照れくさくなりながらも、彼女から花束を受け取る。


「今日は街も盛り上がっているようだな」



「はい、エルターナ様!今日は皆さんがエルターナ様の誕生日を心からお祝いしようと、朝から準備をしていました。広場では昼過ぎから盛大な誕生祭が行われますので、ぜひご参加ください!」


 リリアンは興奮気味に説明する。



(そんなことを計画してくれていたなんてな……。)



 俺はその言葉に頷き、街の賑わいを見渡しながら、今日という日を楽しみに思った。







 昼前、街の中心広場に足を運ぶと、そこにはすでに多くの人々が集まっていた。



 ノルデンの住民たちは皆一様に笑顔で、思い思いの衣装を身にまとい、広場を彩っている。


(…にしても、こんな大掛かりに…。)


 子供たちは走り回り、露店では特別に用意された料理やお菓子が並び、人々が楽しそうにそれらを手に取っている。



「エルターナ様、こちらにどうぞ!」


 セレスティアが手を振りながら俺を誘導してくる。


 彼女が案内した先には、広場の中央に設けられた大きなテーブルがあり、その周りには幹部たちがすでに集まっていた。



「エルターナ様、誕生日おめでとうございます!」


 皆が一斉に立ち上がり、祝福の言葉を述べる。



 エリザは手作りのケーキを持ってきて、笑顔で差し出してきた。


「エルターナ様のために特別に作りました。どうぞ召し上がってください」



「ありがとう、エリザ。すごく美味しそうだな」


 俺はケーキを一口頬張り、その甘さに思わず笑みがこぼれる。



「今日はエルターナ様に心から楽しんでいただけるよう、皆で準備を進めてまいりました」


 セレスティアが優雅に頭を下げる。



「みんな、本当にありがとう、今日は皆さんと共に、この日を楽しみたいと思う」


 俺は感謝の意を込めて微笑みながら、テーブルに着席した。



 テーブルには、ノルデン特産の和菓子やリュクシス公国からもたらされた新技術で作られた料理が並び、どれも美味しそうだ。


 特に目を引いたのは、色とりどりの和菓子だ。


 見た目だけでなく、その風味も格別で、俺は一口ごとに感嘆の声を上げていた。



 グラントは酒を片手に「今日はエルターナ様のおかげでこの国がここまで発展できたことを、皆で感謝しましょう!さあ、たくさん食べて、飲んでください!」と声を張り上げた。



(相変わらずだな…笑)


「ありがとう、グラント。皆が協力してくれたおかげで、ここまで来られたんだ」


 俺は微笑みながら答え、次々と料理を楽しんだ。







 昼食が終わると、広場の各所でさまざまなイベントが始まった。



 特に注目を集めていたのは、新たに完成した温泉施設での「温泉競技大会」?だ。


 この企画はエリザが主導しており、リラックスしながら競技を楽しむという斬新(?)なイベントとなっている。



(なかなか意味不明なイベントだな…。)



「エルターナ様、こちらの温泉競技大会にもぜひご参加くださいませ。皆さんが楽しんでおりますので、エルターナ様も一息つかれてはいかがでしょうか?」


 エリザが笑顔で誘ってくる。



〘解析が完了しました»〙


(ん?なんだ?)


〘参加しない方が身のためでしょう»〙


(そうだよな〜笑、俺もそんな感じがする…笑)


「ぃぃいいや!俺はいいよぉ!見てるだけで!」



 よく分からない大会の参加の誘いなんて、断るのが無難だろう。






 温泉施設に到着すると、俺は用意された豪華な浴衣に着替えた。



 施設内は広々としており、温かい湯気が立ち込めている。


 各所にはリラックスできるスペースが設けられ、参加者たちがそれぞれの競技に挑んでいる様子が見える。






 全ての競技を見終わった後、エリザが嬉しそうに問いかけてきた。


「エルターナ様、どうでしたか!?楽しんでいただけましたか?」



「ぁぁあああ!見てるだけでも楽しかったよ…。ありがとう、エリザ。」



(やはり参加しなくて正解だったな……。)


 え?どんな感じだったかって?

 言わなくても分かるだろう。








 夕方になると、広場では再び大勢の人々が集まり始めた。



 今度は夜の宴の準備が進められている。


 大きな焚き火が広場の中央に設置され、周囲には色とりどりのランタンが灯された。


 暗くなり始めた空の下、焚き火の炎が暖かい光を放ち、人々の顔を照らしている。



「エルターナ様、こちらの席にどうぞ」


 セレスティアが丁寧に誘導してくれる。



 俺が指定された席に座ると、ゼドが魔法を使って焚き火の炎の中に幻想的な映像を映し出し始めた。



 炎の中には、鮮やかな魔法の光が踊り、まるで生きているかのように形を変えていく。


 ドラゴンや幻想的な生物が現れたり、ノルデンの街がその輝きを放ちながら描かれたりと、観客たちはその美しさに息を呑んでいた。



「すごいな、ゼド。ここまで繊細な魔法を使えるとは」


 俺は感嘆の声を漏らす。



 ゼドは微笑みながら、「エルターナ様のために、特別な演出を考えてみました。皆さんが喜んでくれると嬉しいです」と答える。





 俺はこの瞬間を心から楽しんでいた。


 これまでの困難や試練を乗り越え、こうして皆と共に平和で楽しい時間を過ごせることに、感謝の気持ちが湧いてくる。



「エルターナ様、こちらにもう一杯どうぞ」


 リリアンが笑顔で酒の入った杯を差し出してきた。



「ありがとう、リリアン」


 俺はその杯を受け取り、一口飲み干す。



(……うーーん?そういえばコッチの世界じゃ、俺未成年…。) 


(…いぃぃや!そんなこと関係ねえな!!)






「エルターナ様、これ、僕たちが作ったんです!」


 一人の少年が小さな木彫りの彫刻を手にして差し出す。



「ありがとう、大切にするよ」


 俺はそのプレゼントを受け取り、少年の頭を優しく撫でる。



(……あんまり歳変わらないんだけどな…笑)







 やがて夜も更け、宴が静かに終わりを迎える頃、広場には満天の星空が広がっていた。


 焚き火の残り火が静かに燃え、周囲は穏やかな静寂に包まれている。



「エルターナ様、今日は素晴らしい一日でしたね」


 セレスティアが隣に座り、しみじみとした声で話しかけてきた。



「ああ、本当に良い一日だった。皆のおかげで、こうして平和な時間を過ごせることができて感謝している」



 俺は夜空を見上げながら答える。



「これからも、ノルデンが繁栄し続けるよう、私たちは共に努力していきましょう」


 セレスティアの声には、未来への希望が込められていた。



「もちろんだ。皆で力を合わせて、もっと良い国にしていこう」


 俺は彼女に頷きながら、心に誓う。



 この特別な夜が、ノルデンのさらなる繁栄の一歩となることを信じて、俺は満足感に包まれながらその場に立ち上がった。







 次の日、街はいつも通りに戻り、ノルデンの人々はそれぞれの仕事に戻っていった。



 しかし、昨日の誕生祭の記憶は、街全体に温かい余韻を残していた。



(ぃぃいや〜、にしても楽しかったな〜。もう一回しようかな〜?いやいやいや!俺は君主なんだよ!しっかりしなければ!!)


 俺は再び日常の業務に戻り、これからもノルデンを導いていく決意を新たにした。







(さあ!次は何の祭りが待ってるだろうな!?)

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