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第20話 懐かしの物?

 アルテウス王国との戦争を終え、我々ノルデン自由連邦国は勝利を収め、長い間の緊張と戦乱から解放された。


 コペンホルムはその発展ぶりが目覚ましく、広がりを見せ、かつての村が今や立派な都市へと成長している。



 街の広場には新しい店が立ち並び、人々の活気があふれている。


 街の中心には、壮大な塔が建ち、その周りには広場や公園、さらには多くの住居が整備されていた。


 新たな文化や交流が生まれ、ノルデンの未来に希望を抱かせる光景が広がっている。






 この発展を実感しながら、俺は秘書のリリアンと共に街を散歩していた。


 リリアンは、俺の右腕として、また気さくな友人として、日々の業務に加え、こうしたほっと一息つける時間をも提供してくれていた。



「エルターナ様、今日の街の様子はいかがですか?」


 リリアンが、いつもの優しい声で話しかけてくる。



「うん、すごく良い感じだ。街がどんどんと拡張していくのを見ると、これが僕たちの手で作り上げたものなんだと実感するよ」


 俺はそう答えながら、近くの市場で賑わう人々の様子を眺める。




 市場では、新鮮な果物や野菜、手作りの品々が並び、商人たちの賑やかな声が響いている。


 人々の顔には満足の笑顔が浮かび、活気に満ちた風景が広がっていた。


 通りには、家族連れや友人たちが集まり、楽しそうに会話している姿が見られ、街の発展とともに人々の生活が豊かになっていることを感じさせる。





 転生する前の世界の生活が恋しいという気持ちもあるが、今ここでの生活もまた素晴らしいものだ。



 確かに、この異世界の生活には驚くことも多かったし、変わりつつある街の風景にも心が躍る。


 街の中で出会う新しい技術や文化が、俺にとっては常に刺激的であり、前世の記憶と照らし合わせると、その違いがまた一層面白く感じられる。



 しかし、あの世界の生活を少しでも再現できたら、さらに素晴らしい生活が送れるのではないかという考えが頭をよぎる。



(ああぁー温泉浸かりたい…、サウナ入りたい…、整いたい!!)



(……ゼドなら何か使えそうな魔法を持ってるかもな…。)







 その後、俺はゼドの研究所へ向かった。


 彼の研究所は、実験装置や資料で溢れており、魔法のエネルギーが空気中に漂っているような感じがする場所だ。



「ゼド、ちょっと相談したいことがあるんだ。」


 俺はそう言いながら、ゼドの研究室に入り込む。



 ゼドは机の前で一心に何かを研究している最中だったが、俺の声を聞くとすぐに顔を上げた。



「おお、エルターナ様。どうされましたか?」



「実は作りたいものがあるんだけど、方法が分からないんだよ。何か使えそうな魔法があれば教えてほしいんだ」


 俺は要件を説明する。


(まあ無茶だってのは分かってんだけどさ…。)



 ゼドはしばらく考え込み、そして答える。



「それなら、‘世界の解析図'という魔法が適しているかもしれません。この魔法は、対象の物体に手を向けると、その物体の詳細な情報が解析され、整理された形で表示されるのです」



「確かに使えそうだな…」


 俺は喜びの声を上げる。


「その魔法を習得したい」



 ゼドは微笑みながら、「それでは、少し訓練が必要ですが、私が指導いたしましょう」と言って、魔法の習得方法を説明してくれた。









 数日後、俺は無事に「世界の解析図」を習得した。



 最初に試したのはゼドで、彼を解析すると、瞬時にその詳細な情報が表示され、攻撃や防御に関する情報までもがわかった。


 さらに、ゼドの弱点までもが写し出される。



〘解析が完了しました»対象の弱点は空間破壊攻撃です»〙



 これは実に便利な魔法だ。




 魔法を習得した俺は、前世で使っていた物や生活に関連する物の絵を紙に描き、それらの情報解析を行った。



〘対象の物体について解析鑑定をしました»以下の方法で再現可能です»〙



 解析の結果、作り方や構造が詳細にわかり、すぐに実現可能であることがわかった。






 そこで、俺は建設担当のグラントと技術担当のトリスタンに依頼した。



「グラント、トリスタン、これを作ってみてほしい」


 俺は彼らに依頼の紙を渡す。


 そこには前世で使っていたアイテムや技術の詳細な情報が記されている。




 グラントとトリスタンは初めて見るものに驚きながらも、一生懸命に作業に取り掛かってくれた。


 彼らの手によって、どんどんと新しい技術が街に取り入れられていった。




 街の一角には新しい温泉施設が整備され、和風のデザインが施された浴場が建設されている。


 施設には、ゆったりとした広々とした浴槽とサウナがあり、温泉から立ち上る蒸気が心地よい香りを漂わせている。







 そして、ついにその成果が完成した。

 街の広場で、グラントが声をかけてきた。


「エルターナ様!できましたぞ!」




 俺は期待に胸を膨らませながら、グラントの手を取り、完成品を見に行った。



 そこには、蛇口に温泉、サウナ、そして和服の展示があった。


 まさに、俺が求めていた再現物が揃っていたのだ。



「うおー!これはすごいな!」


 俺は興奮のあまり、声を上げる。


「こんなにうまく再現できるとは!」




 俺は早速、再現したアイテムや技術の使い方をみんなに教えた。


 温泉の使い方、サウナの楽しみ方、そして和服の着方を説明すると、みんなの顔には驚きと喜びの表情が広がる。



 特に温泉に関しては、皆が心からリラックスしている姿が見られ、疲れた体が癒されていくのがわかった。



 まるで前世に戻ったかのような感覚に浸ることができた。


 以前の世界での生活を少しでも感じられることが、心の奥深くからの安らぎをもたらしてくれた。



(これで、もっと楽しい異世界ライフが実現できるだろうな!!)







 そして、その日の夜、ゼドやラルフと一緒に温泉に浸かりながら、今日の出来事を振り返った。


 夜空には満点の星が輝き、街の灯りと相まって幻想的な雰囲気を醸し出している。



「いやー! にしても、この温泉とやらはなかなかの物ですね!」


 ラルフが満足そうに言う。

 ゼドも微笑みながら頷く。



「確かに、リラックスできるし、体も温まるよな〜」


 俺は同意しながら、リラックスした気持ちで温泉の湯に浸かっていた。



「あーそういえば、俺言いた…」


(………いや。今はまだいっか。)




「エルターナ様、どうかしたんですか?」


「いやいや、なんでもない!!」



 これからの生活がますます楽しくなることを感じながら、今日一日を終えることができた。


 街はこれからも成長し、我々の新たな技術やアイデアでさらに素晴らしい場所になっていくだろう。






 夜が更け、温泉から上がった後、俺はベランダから夜空を見上げた。


 街の灯りが星空の下で輝き、その美しさに心が和む。



 平和な日々が続くことを願いながら、これからの未来に希望を持って、また新たな挑戦に向けて歩み始めることを決意した。






(うおー、平和な日々だぁぁあ!!)

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