第11話 新たな日々
「ノルデン自由連邦国」として歩み始めた俺たちの国。
前回の幹部会議で正式に国として名乗りを上げたが、まだまだ多くの課題が残っている。
特に、外部との関係をどのように築くかが今後の重要な焦点だ。
はあ、やることはいっぱいあるよな〜。
俺は行政府の執務室で書類に目を通しながら、これからの方針を練っていた。
行政府は最近完成したばかりの建物で、ここには執務室や会議室が配置され、日々の政務を行う場所となっている。
この場所にいると、国を築くという大きな使命の重みを改めて感じる。
都市開発シュミレーションゲームなんかとは大違いだわ。
さっそく俺もこの新しい執務室での作業に慣れてきたが、まだ違和感が残る。執務室の広さや、壁に掛けられた地図や絵画が、新たな時代の始まりを象徴しているようだ。
「エルターナ様、お茶をお持ちしました」
リリアンが笑顔でお茶を差し出してくれる。
彼女の微笑みは、忙しい日々の中での貴重な癒しだ。生き返るわ。
リリアンは、秘書としてだけでなく、俺の精神的支えでもある。
「ありがとう、リリアン。助かるよ」
お茶を受け取りながら、次の会議について考える。
今日は重要な議題が二つある。
まずは南方に位置するリュクシス公国との国交樹立に関する話し合いだ。
彼らは以前から我々に対して友好的な姿勢を示しており、貿易関係の確立も視野に入れている。
セレスティアが中心となって交渉を進めているが、そろそろ具体的な形にしたいところだ。
流石に一匹狼じゃ、この世界では厳しいもんな。
「エルターナ様、そろそろ会議の時間です」
リリアンの声に促され、俺は執務室を後にして会議室へ向かった。
会議室は、シンプルながらも機能的なデザインで、壁には国の歴史や理念が掲示されている。
こころなしか会社の会議室に似ているような気が。
この新しい空間も、早く馴染んでいかなければならない。
会議室に入ると、すでに幹部たちが集まっていた。
グラント、セレスティア、エリザ、レオ、ラルフ、トリスタン、ゼド、シルヴァ、そしてグレン笑――全員がそれぞれの役割を果たしてくれている。
俺が席に着くと、全員が静かに視線を俺に向けた。
(そんな真剣な眼差しで見ないでくれよ……笑)
「うっうん。それでは、始めようか」
まずはセレスティアから、リュクシス公国との交渉の進捗状況について報告を受けた。
彼女の話によると、リュクシス公国は我々との貿易協定に非常に前向きであり、彼らの特産品である絹織物を我々の国にもたらすことで、経済的な利益を見込んでいるとのことだ。
そうそう大事なのは利益だけだよ、カネだよカネ。って、そんなわけでもないか。
「彼らは私たちにとって、重要なパートナーとなり得ます。貿易が始まれば、私たちの国も一層繁栄するでしょう」
セレスティアの報告に、俺は深く頷いた。
彼女の外交手腕には常々感心している。
リュクシス公国との友好関係は、我々の国の成長に大きく寄与するだろう。
「では、次のステップとしては、正式な使節団を送り、貿易協定の締結に向けて話を進めるということでよろしいですね」
セレスティアが確認すると、他の幹部たちも賛同の意を示した。
友好な国との貿易は、確かに我々にとって有益だ。
今はとりあえず仲間が欲しいし。
国際的な協力の輪を広げることで、さらなる発展が期待できる。
「その方向で進めよう。セレスティア、引き続き頼む」
俺の言葉に、セレスティアは軽く頭を下げて応える。
彼女がこれからも精力的に交渉を進めてくれることを信じている。
次に話題に上がったのは、アルテウス王国とアーデン王国との関係だ。
この二国は我々に対して若干の敵意を示しており、特にアルテウス王国は我々の領土に対する野心を隠そうとしていない。
彼らの動きに対しては、今後も注意深く見守る必要がある。
(今敵対しても…、ボコボコにされるだけか…)
「アルテウス王国とは、引き続き距離を保ちつつ、挑発を避ける方針でいこう。アーデン王国についても同様だ。今はまだ、彼らにこちらから敵意を示すことは避けたい」
防衛担当のレオとラルフも、この方針に賛同してくれた。
戦力的にまだ準備が整っていない現状では、余計な争いは避けるべきだ。
平和を保つことが、まずは最優先。
最後に、グラントから建設プロジェクトの進捗についての報告があった。
行政府の完成に続いて、街の拡張が順調に進んでいるとのことだ。
人口も徐々に増加しており、商人たちも活発に出入りしているらしい。
新しい建物の設計やインフラの整備が進む中で、街の活気がさらに高まっている。
「この調子でいけば、近いうちにさらに大きな市場を設けることができるでしょう。商人たちの需要に応えることで、経済の発展を図ります」
「いい感じだな、グラント。引き続き街の発展を頼む」
こうして幹部会議は無事に終了したが、次に取り組むべき課題は山積みだ。
街が拡大するにつれて、次第に我々の国も注目されるようになっている。
その影響は、今後ますます大きくなるだろう。
会議が終わり、俺はリリアンと共に行政府を後にした。
外に出ると、街は活気に満ち溢れている。
子供たちが楽しそうに走り回り、商人たちが元気よく声を張り上げている。
広場では、道端の露店で新鮮な果物や野菜が並び、笑顔があふれていた。
その光景を見ながら、俺は心の中で喜びを噛み締める。
(そうそう、俺が求めていたのはこんな日常なんだよ!!)
「エルターナ様、今日も充実した一日でしたね」
リリアンが微笑んで俺に言う。
その表情に癒されながら、俺は未来に思いを馳せる。
「そうだな。だが、まだまだこれからだ。俺たちの国は、これからもっと大きくなる。そして、俺たちが目指す理想の国を作り上げるんだ」
「はい、エルターナ様。私も全力でお手伝いします」
リリアンの力強い言葉に、俺は自然と笑みがこぼれた。
彼女の存在が、これからの道のりにおいて大きな支えになることを感じる。
これからの課題に立ち向かうには、仲間たちと協力し、全力で進んでいく必要がある。
リリアンと共に未来を築くために、明日も頑張ろうという気持ちが自然と湧いてくる。
その日、俺は街の発展を実感しながら、夕焼けに染まる空を見上げた。
橙色に染まった空と、徐々に闇に包まれていく街の風景は、今の俺たちの努力の成果を象徴しているようだ。
かつては小さな村だったこの場所が、今では立派な国として成長しているのだ。
広場に面したカフェのテラスで、リリアンと一緒にしばらく休むことにした。
カフェの窓からは、街の広場が見渡せる。
人々の楽しげな声や、商人たちの賑やかな声が、心に温かい気持ちをもたらしてくれる。
「リリアン、街がこんなにも賑やかで、活気に満ちているのを見ると、本当に実感が湧くな」
「はい、エルターナ様。皆さんがそれぞれの役割を果たし、協力し合っている姿を見ると、私も励まされます」
リリアンの言葉に頷きながら、俺は街を見渡す。
「これからも、街をもっと良くしていこう。新しい技術や文化を取り入れ、皆が快適に過ごせる場所にしていきたい」
「その通りです。エルターナ様のビジョンを実現するために、私も引き続き頑張ります」
リリアンの決意に満ちた言葉を聞きながら、俺は微笑んだ。
夕日が沈む頃、街の灯りが点り始め、夜の帳が下りてきた。
街が一層美しく、幻想的に見える。
その景色を見ながら、俺は未来に対する希望を新たにする。
「リリアン、今日は本当にありがとう。君がいるおかげで、どんなに難しい状況でも前向きに進むことができる」
「いえ、私もエルターナ様に感謝しています。お互いに支え合いながら、これからも頑張りましょう」
リリアンの言葉に頷きながら、俺は改めて自分の使命を思い返す。
国をより良くするために、まだまだやるべきことがたくさんある。
これからの未来を見据え、着実に歩んでいくために、全力で取り組むつもりだ。
街の夜景に包まれながら、俺たちは未来へと一歩一歩進んでいく。
(……平和な日々だぁ!!)




