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第10話 内政も外交も

 俺は新たに完成した行政府の扉を押し開けた。


 この建物は、ノルデン自由連邦国の政治と行政の中心となる場所であり、ここで国の未来が形作られるだろう。



(にしても綺麗な建物だな…。)


 グラントの指揮の下で、短期間でこの壮大な建築物が完成したことに何度見ても感動せざるを得ない。


 石造りの壁や広々とした会議室は、我々の小さな国が少しずつではあるが、確かな一歩を踏み出している証拠だ。



「これで本当に国としての形が整ってきたな」


 俺は深く息を吸い込み、満足感に浸る。



「そうですね、エルターナ様。この行政府があることで、我々の国はさらに一体感を持って成長していけるでしょう」


 隣に立つリリアンが微笑みながら言った。


 彼女は俺の秘書として、日々の業務を忠実にサポートしてくれている。



(まったく…、頼もしい奴だな。)



「リリアン、これからも頼むぞ」


「もちろんです、エルターナ様」リリアンが穏やかに応じる。




 次の瞬間、セレスティアが会議室に入ってきた。


 彼女はこの国の外交を担う重要な存在だ。


 その姿勢と知恵は、俺たちが他国とどのように関係を築いていくべきかを常に的確に示してくれる。



「エルターナ様、リュクシス公国との交渉が順調に進んでおります。彼らは我々との国交樹立に対して前向きで、特に貿易においては相互利益が見込めると確信しています」


 セレスティアの報告は明確で、自信に満ちていた。

 いよいよ外交が本格化してきたな。


(こいつに任せとけば…、問題はないだろう…。)



「それは素晴らしい知らせだな。リュクシス公国との国交は、我々の発展にとって重要なステップとなるだろう。セレスティア、その交渉をさらに進めてくれ。まずは、貿易協定を結び、両国の物資が円滑に流通する基盤を整えたい」



「承知しました、エルターナ様。次の会談の日程も既に調整しております」


 セレスティアは満足げに微笑む。彼女の努力が実を結びつつあることに、俺も心から感謝している。




 一方、隣国のアルテウス王国とアーデン王国については、慎重な対応が求められている。


 彼らは我々に対して一定の敵意を持っており、無闇に刺激するわけにはいかない。

 変に煽ってボコられでもしたら、2回目の死を経験することになる。マジでそれは嫌だ。


 セレスティアもその点を理解しており、無用な摩擦を避けるための戦略を考えていた。



「アルテウス王国とアーデン王国との関係についてですが、今後も慎重な対応が必要です。彼らに対して敵意を示すことなく、しかし過度な干渉を許さないようにしなければなりません」


 セレスティアの言葉には慎重さが滲み出ていた。



「そうだな。今は戦争を起こす力もないし、戦争をする必要もない。しかし、彼らが何か仕掛けてくる可能性もある。常に警戒を怠らないようにしよう」


 俺はセレスティアにそう告げる。


 俺たちが小さな国である限り、無駄な挑発を避け、平和を保つことが最優先事項だろう。




 そして、俺の祖国を滅ぼしたマレフィクス王国については、特に慎重である必要がある。


 復讐心は確かにあるが、今はその時ではないと思う。

 別に俺は復讐したいなんて思っていないんだけど、どっかから湧いてくるんだよ。


 力を蓄え、時が来たときに備えるのが賢明だと俺は理解している。



「セレスティア、マレフィクス王国に対しては、現状では中立を保とう。今は力が足りないし、彼らに無駄な敵意を見せるわけにはいかない」



「おっしゃる通りです、エルターナ様。冷静な対応を心がけます」セレスティアは真剣な表情で頷く。





 次に、建設担当のグラントが報告にやってきた。


 彼は、屈強な体格を持ちながら、街づくりにおいては繊細なセンスを発揮する男だ。


 彼の手腕のおかげで、街は日々発展を遂げている。



「エルターナ様、街の拡張計画は順調に進んでいます。商業地区を広げ、さらなる貿易ルートの確保を目指しています。それにより、商人たちがもっと集まることでしょう」


 グラントは自信たっぷりに報告する。



「良い報告だ。街が発展すれば、人口も増え、経済も活性化するだろう。グラント、その調子で頼む」


 俺は彼の熱意に応えるように頷く。


「もちろんです、エルターナ様。全力で取り組みます」


 グラントは力強く答えた。




 こうして、ノルデン自由連邦国は少しずつ成長を遂げている。


 だが、大国として認められるにはまだまだ時間がかかるだろう。


 今は着実に基盤を築き、将来の繁栄に備えるべき時だ。




 会議が終わった後、俺は疲れた身体をほぐすために軽く伸びをした。


(ふぅっ、くっっっっっ。)

 サラリーマンとして働いていた頃を思い出す。


 そして、俺はリリアンに声をかけた。


「さて、少し休憩しようか」



「エルターナ様、お茶をご用意いたします」


 リリアンが立ち上がろうとするのを、俺は手で制す。


「いや、今日は俺が淹れるよ。実はお茶を淹れるのが得意なんだ」


 俺は笑みを浮かべながら言った。


(剣道部兼茶道部を舐めんな!!)



 リリアンは驚いた様子で目を見開き、そして思わず笑う。


「それは意外ですね、エルターナ様。でも楽しみにしています」




 俺は立ち上がり、行政府の一角にある小さなキッチンに向かった。


 湯を沸かし、お茶を準備しながら、これからの国の発展について考える。


 どんな困難が待ち受けていようと、この国を守り、発展させるために全力を尽くすつもりだ。

 


 お茶を持って戻ると、リリアンとグラント、セレスティアが会話していた。


 彼らの顔には疲れも見えるが、それ以上に希望と意志が感じられる。

 みんないつも頑張ってくれているんだよな。


 俺は静かに彼らにお茶を手渡し、自分も席に戻った。



「これから先、どんな困難があろうとも、俺たちはこの国を守り抜く。それが俺たちの使命だ」


 俺は静かに言い、皆の顔を見渡した。



「もちろんです、エルターナ様」


 リリアンが微笑みながら答えた。



「俺も全力で取り組みます。建設も、防衛も、何でもお任せくださいよ」


 グラントは力強く答える。



「外交も、私がしっかりと務めさせていただきます」


 セレスティアも真剣な表情で応じた。



 俺たちはそれぞれの役割を果たし、国を守り、発展させるために尽力していく。


 その決意が、新たな一歩を踏み出す力となるだろう。





(俺が淹れたお茶美味いな…。)

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