嬉々と危機
ハコニワに新生国家が短期間に二国も誕生する。そのどちらにも関わりがあるのがアオイだった。
一つは東にあるモローチャ。アオイの名前を由来とした花を国名にした。もう一つは、そのアオイが建国した国フィリア。友情という意味の言葉を国名にした。
「フィリアか、良い名前じゃない。」
フィンが、グラスを傾け褒めてくれていた。
「やっぱりアオイも国を作ろうとしてたんじゃないのよ。言いなさいよね。」
「誤解なんだよ、、、本当に偶然こうなって。」
「偶然で国なんか出来るワケないでしょ。」
「アオイ様、少しよろしいでしょうか?」
「ドラクル王さん、すいません。遠くから。」
「何を仰います。このような目出度い日に共に喜びを分かち合えるとは恐悦至極。」
「あぁ、、喜んで貰えて嬉しいです。それで、何かありましたか?」
「はい、2つ程。一つは誠に勝手なお願いとなるのですが、、、」
「どうぞ。出来る事はしますよ。」
「では、恐れながら申し上げます。我がドラクルの者を幾人かフィリアに置いては頂けませんでしょうか。」
「え?何でですか?」
「はい。勝手ながら、我らの忠誠の証をアオイ様にお示ししたいと。」
「えっ?ど、どういう意味ですか?」
ドラクル王は、フィリアに自国の者を置き対外的には人質外交と映るかも知れないが、それ程にフィリアとドラクルは親密であり強固な絆を結んでいると映る筈だという。そして、もしフィリアに敵意を向ける者が現れた際には前線で共闘するとともにドラクル王へも知らせを送る事ができるという。
アオイは人質外交という部分に引っかかり悩んだが、ドラクル王としてはどうしてもと懇願していたので、渋々了承した。
「でも、人質とかじゃなくて普通に暮らして欲しいです。家も作りますし、他の人達と同じように暮らしてくれるなら了承しますから!」
「なんとも寛大な御心。有難き幸せ。」
「あのう、私からもよろしいですか?」
「プロゴノス王さん、、、まさか貴方も?」
「いえいえ、親方達の事なんですが。」
「あ、はい。本当に助かりました。想像以上に立派なものを作ってもらってありがとうございました。」
「いやいや滅相もない。その親方達が、アオイ様と共にフィリアに残りたいと言っておりまして。願わくばその気持ちに応えてやりたいと。」
「でも、国一番の建築家だと言ってませんでしたか?そんな人達が抜けちゃうのは、、、」
「我々の事をご心配頂くなんて本当に慈悲深き御人ですな。しかし心配無用でございます。育成も引き続き行って参りますし、彼等がフィリアで活躍することはいずれモローチャにも利がある事でございます。」
「そうですか、、、分かりました。親方達が良ければ。でも、嫌になったらモローチャに戻っても良いと言って下さいね!」
「有難き幸せでごさいます。」
「ドラクル王、もう一つの話しは何ですか?」
そう言いドラクル王を見ると、オズワルドと肩を組み楽しそうに笑っていた。
「アオイ様、我々は同盟を結びます!」
「そういう事だアオイ。よろしくな。」
「えー!いつの間に!?」
「アオイ様、聞けばオズワルドはあのドミネーターと呼ばれる伝説のゴブリンだと。」
「いやいや、俺はただのゴブリンだぞ。」
「またまた謙遜を。このドラクル王の目は誤魔化されんぞ。お主は、ドミネーターで間違いないっ!」
「そうか?ドラクル王に言われるとその気になってしまうな。ははははは。」
「そうであろう。ははははは。」
笑い合う二人と、冷めたアオイ。
「ご勝手に。」
東のドラクル城とモローチャ、そしてゴブリンの里が互いに同盟を結ぶ。そしてオズワルドからの願いもありゴブリンの里はフィリアの配下へとなった。
「オズワルドよ、お主の里には名は無いのか?」
「そうだな。点々としていて偶々辿り着いただけだからな。」
「では、この機会に名を設けてはどうか?」
「良いのがあるかい?」
「ドミネーターで良いではないか。我と同じく名を国名にしてはどうか?」
「ドミネーターか、、、それも分かり易いか。」
「あのぅ、盛り上がっている所申し訳ないんですが。」
「おお!アオイ、何だ?どうした?」
「その、配下とかは嫌だなと。」
「アオイ様、我々を見捨てると、、、そんな!お考え直しを!」
「いやいやいや。大袈裟だから!そうじゃなくて、何かもっと違う言い方というかやり方無いですか?」
「それじゃあ連合国だね。」
ふとフィンが呟いた言葉にドラクル王もプロゴノス王もオズワルドも頷いた。それだと嬉々と手を叩き
「我々はフィリア連合国の一部となりましょう。アオイ様のフィリアに忠誠を誓い、ドラクル、モローチャ、ドミネーターは連帯しアオイ様のお力になります!」
盛り上がる3人であった。
「それ、何が違うんだろ、、、」
「ガハハハハハ。何かどんどんデカくなっていくなあ!ガハハハ。」
このハコニワ初の連合国、フィリア連合国の誕生であった。この話しは瞬く間に他国へと知れ渡る事となる。何故なら、フィンは騎士団長のオルデンに世間話しで伝えていたし、ドラクル王もプロゴノス王も自慢話のように訪れた者に伝え、さらには大きな大きな垂れ幕を作り【フィリア連合国】と掲示していたのだから。
ラフテリア議事堂の中庭。レオターリは日課の水やりをしながら片手に新聞を持つ。さて、一面は何か?と広げた時である。
【神器の大巨人メベドが従者!?謎の子供アオイが建国 フィリア連合国誕生!】と書かれていた。
「れ、連合国?フィリア?なんと、、、冒険者から王になったのか。」
「もう、読まれましたか?」
「今しがたな。しかし、驚きの連続であるな。ついこの間ドラクル王が配下になったと聞いたが、更に二つの国を配下にするとは。いや連合国か。」
「連合国とはいえ、配下である事に変わりは無いのでしょう。」
「この記事にはマヴロスドラコンが常駐し、フィリドラコンの者達も派遣されていると書かれているが、信憑性はあるのか?」
「恐らくその通りかと。」
「なんという圧倒的な武力、、、それを持ちながら『友情』とは。意味深であるな。」
「そうですね。」
「それに、このドミネーターとは伝説では無かったのか?」
「はい。しかし、実在したとも言われておりますしヴィンディードッグを倒したとの話も聞こえてきます。そのゴブリンがドミネーターであったも不思議ではないかと。」
「そうか、、、しかしアオイとやらはそのヴィンディードッグをも従えると。ゴブリンからすればアオイこそ敵では無いのか?」
「どうやら、アオイとゴブリンが共闘してヴィンディードッグを倒し、その後に従えたようです。」
レオターリは黙り俯いた。
「、、、会いにゆくぞ。」
「王自らですか?」
「あぁ。森で何を企むのか、この目で見定めたいのだ。」
「かしこまりました。」
ラフテリア史上初の獣人王レオターリ王は、史上最大の危機を前にして動かざるをえなかった。




