討伐依頼終了
東の村への討伐依頼で、アオイは様々なモノを手に入れた。いや無理やりポケットに入れられたと言うべきか。
もう一つ勝手に手に入ったモノがある。
「ぎぃやーーーー!」
空高くリンデコールの叫び声が響く。
アオイ達がいるのは、竜の背の上であった。
フィリドラコンは魔力量に応じて一定時間のみ竜に変化できる。
そろそろ帰宅しようとしていたら、ドラクル王自らが「お送りしましょう」というので、城門で別れようとしたら、ぱぱぱっと竜に変化し今に至る。
「ガハハハ!こりゃ良い!」
「、、、何か嫌な予感しかしない。」
ブワァっと空高く竜が飛ぶ。
新たな国となった火の国モローチャの民は空に向かい手を振っていた。
深い森の遥か上空を飛ぶと、あっという間にラフテリアへと到着する。
ラフテリアの空に竜が現れ騒然とする人々。竜は無理矢理にギルドの前に着地する。ドスンという音と共に地響きが起きる。ギルドな中では地震か!?とソウジロウが窓に視線を送ると竜に変化したドラクル王と目が合った。
「えーーーーーー!」
ドラクル王が竜の姿を見せるなど、大国同士の戦争でもお目にかかれない代物であった。
ソウジロウは、慌てて飛び出して竜が現れた理由が分かると深いため息をつく。
竜に変化したドラクル王の足元に、アオイ達が苦笑いで立っていたからだ。
【神器の大巨人、竜に跨り堂々帰還!】と早速一面を飾った。
ドラクル王はソウジロウに会釈をし、そのまま城へと飛び去っていった。
「アオイさん、、、中で聞きますね。」
「はい。すいません。」
3人はギルドに入りソウジロウの部屋に行く。
これまでの話しと討伐の顛末を伝えた。
「えー、、、それでドラクル城はアオイくんの配下で、火村はモローチャになって、当然配下になったと。それと、だれでしたっけ、、あぁ暗殺部隊のマヴロスドラコンの6人を従えたと、、、はぁ。」
「すいません。」
「まぁ成り行きですもんね。」
「はい、、、」
「ところで、今日は買取りは無いですよね?」
「さすがに無いですよ。討伐しただけですし。」
「アオイ、あるよ。買取り。」
「え?先輩ありましたっけ?」
「リディリザードとラビット、、、ソウジロウが引く量があるよ。」
「あっ、、、そうだった。」
「私が引く量?100とかですか、、、。」
カトリコと唱えリストを見る。
リディリザードの死骸 102
リディラビットの死骸 265
「ソウジロウさん、、、惜しいっ。」
「、、、嘘でしょ?」
ここでは広げられないと、解体場へと行く。ここは、魔物を解体し角や骨、毛皮などの素材へと解体していく。解体場の作業員はメベドを見るなりテンションが上がっていた。
「何か、こっちの方が楽だなぁ。」
アオイは注目の的から外れると喜んでいた。
「アオイくん、どっちから出すの?」
「じゃあ、リザードにします?」
「、、、、何体ですか?」
「102です。全部いきます?」
「ひゃっ!?102!?リディリザードだけで!?」
「えっ!?す、すいません。そうです。」
「じゃあ、他にも?」
「あ、あとはリディラビットだけなんです。」
「ラビットね。小さいですね。」
「それが265ですね。」
「ほー。265、、、にっ!?にひゃくぅっ!?」
ソウジロウはふらつきながら作業員に耳打ちする「えーーー」という声と首を横に振り「ムリムリ」と言っていた。
「アオイくん、えーと。10体ずつでも良いですかね?」
「い、良いんですか?」
「それなら捌けると。」
後ろで作業員がお願いしますと手のひらを合わせていた。
アオイは10体ずつ魔物を出して渡した。突然出てきた魔物の死骸に驚く作業員であったが、それよりもまるで今死んだような保存状態に驚いていた。
その後、ソウジロウから魔物の素材買取で銀貨80枚を貰う。税金だけではなく、作業代も引かれても十分手元に残る金額だった。
「さてアオイくん、これからどうするか考えているのかい?」
「今回のような依頼があったら受けたいなって。」
「そうですね。私もそれが良いかと思います。ドラクル王の登場で、再び注目の的になってしまいましたからね。」
「ですよね、、、はは。」
「では、また難解な依頼がきたらお声掛けしますね。アオイくん達に連絡を取るとしたらどうすれば良いですか?フィンさんの薬屋に手紙を出しましょうか?」
「はい。それで大丈夫です。お願いします。」
東西南北に広がるハコニワ。
壁で囲まれた広大な世界は、まだまだアオイの知らない事が多い世界。ギルドの依頼があっても無くてもアオイは冒険に出ようと考える。
行ったことの無い北側も、立ち寄っただけの南側も知ってるようで知らない深い森の中もどんな場所でも歩き回って自分の目で見て体験したい。今回の討伐依頼の冒険は、アオイに新たな刺激を与えてくれた。
リンデコールと別れる。
短い期間であったが、互いに濃い数日であった。リンデコールは再び迷宮に潜り探索をする。アオイが何者なのかと気になっていたリンデコールであるが、先輩先輩とニコニコしながら側にくるアオイを見ているとどうでも良くなっていた。またね、とお別れをしそれぞれの場所へと戻っていく。
アオイとメベドはメガミノ村へ行き、フィンに今回の冒険とギルドとのやり取りを伝える。
「アオイ、武勇伝を持って帰らないといけない宿命なの?何かこう、怖い魔物がぁ~とかこんな宝箱があったのに空っぽでぇ〜とか、そういう普通の話しも偶に聞きたいわね。」
「えへへへ。」
「照れてんじゃないわよ。褒めてねーし。」
「んで、マヴロスドラコンの人達は何処にいるの?」
「それが分かんないだよね。ドラクル王は呼べばいつでも来るって言ってたけど。」
「ふーん。呼んでみたら?」
「そう?えーと、、すいませーん。ノアールさーん。」
アオイがそう呼ぶとシュッと真横に立った。
「あ、ノアールさん。どうも。」
「アオイ様、何かご用でしょうか。」
「い、いえ。ご用は無くてですね。呼んでみたくて、、、すいません。」
「アオイ様にお呼び頂けるのは喜ばしい事ですので、必要であれば24時間いつでもお呼び下さい。」
「ノアールさん達は何処にいるんですか?」
「何処、、、アオイ様のお側です。」
「、、、はは。そうですか。」
アオイは話す事もなくなり戻ってもらった。
「本当にいたのね。」
「うん、、、いた」
「もうさ、森に国でも作ったら?」
「えっ?何で?」
「いや、何で?が何でよ。ドラクルにモローチャだっけ国が2つもあんたの配下って御伽話しじゃなくて現実でしょ。それじゃあ、あんたにも国がいるでしょうが。」
「そうなのかなぁ。デコ達のボスって言ったらこうなったし、、、何かもう騒がれるの嫌だし。」
「まあ良いわアオイの事だしね。でも、ラフテリアだってその事をもう知ってるんだし、騒ぎにならないワケもないしちょっとは考えときなよ。」
「う、うん。」
「アオイ、もう行こうぜ。マリーナの薬膳スープが飲みたいぞ。」
「そうだね。フィン、またね。」
「メベド、またね。」
「おう。元気でな。」
フィンは頬を赤らめて頷く。
アオイ達は里へと帰っていった。




