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ここに俺がいても良いんですか?  作者: ぱぱのです
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迷宮

ラフテリア王国にある迷宮。

冒険者達は日々大金を夢見て潜っていく。


アオイは地上階でスライムの厄介さをメベドから教えて貰った。教材となってしまった冒険者には悪い事をしたと感じていたが、とても良い勉強になった。


スライムの厄介さは集団で一塊になることだ。

塊となったスライムは、獲物に覆いかぶさり栄養を吸収する。内側に入ってしまうと中からいくら切ろうが叩こうが破れる事はない。そしてメベドの体格でも覆ってしまう程に柔軟な構造をしていた。外側からならば大小問わず容易に倒す事が出来る為、一人で潜っていなければこれで死ぬ冒険者はいない。


アオイはドロドロの冒険者に「勉強になりました。」と声を掛けて通り過ぎる。冒険者は「??」となりながらどうもと会釈した。


「じゃあ集まってるスライムだけ倒せば良い?」

「ああ、そうだな。核以外を潰すとすぐ増えるから気を付けろよ。」

「えいっ。」

ブチ、一塊になったスライムがアオイを覆う。

「い、息できぶぁい、、、!」


メベドが外から核を潰してドロドロと崩れ落ちるスライム。

「アオイ、俺の話しを聞いてなかったのか?」

「ごべん、、、きいてた。」


メベドは天井付近、アオイは足元付近に集まるスライムをどんどん倒していく。数をこなす事で、正確に潰せるようになっていった。小一時間潰して回ると、単体のスライムが辺りを動いているだけとなった。


「ふぅ。一通りやっつけたかな。」

「ああ。入ったばかりだというのに全身ドロドロになったな。」

「よしっ。このまま下に降りよう!」

「楽しそうだな。アオイは。」

「うん!当たり前じゃん。もう堪んないよね。」


二人は階下へ続く石段を降りていく。3階層迄は歴代の冒険者達が道を舗装し壁には灯りを付けており、快適に進む事が出来る。

2階層もスライムが中心だが、所々に上では見なかった紫色のスライムがいる。


「あれは?何か毒々しいけど。」

「ん?あれこそアオイが求めるモノだな。」

「どういう事?」

「まあ、潰してみろ。要領は同じだ。」


アオイが核を潰すとほんのり甘い香りがした。

「あれ?美味しそう。」

「ガハハハ。舐めてみろ。」

アオイは言われるまま、手に付いたドロドロを口に運ぶ。

「ウマっ!ブドウ??何これウマ!」

「ガハハハ。そうだろう。これは果実スライム。地上にはいない奴だ。迷宮だけにいるスライムで、上の屋台にも出てるぞ。」

「これ良いね。持って帰る?」

「帰りで良いんじゃないか?」

「そっか。そうだね。里のお土産にしよっかな。」


少し緑がかったスライムは何処にでも生息しているが、この紫の果実スライムや他にも多種多様のスライムが迷宮には存在している。どれも強くは無いが、個性的な特徴を持つスライムが多く存在している。


「ここにも宝箱なんて無いね。」

「そうだな。3階層までは殆ど採集だろうな。果実スライムも100グラムで、50エンぐらいにはなるらしいからな。」

「そうかぁ。それじゃあ薬に使えるものもあるのかな?」

「、、、ここには見当たらないな、下だろう。」


二人は2階層で果実スライムをおやつにしながら3階層へと進んだ。ここは、冒険者にとって安らぎの階層になっていた。

魔物は定期的に湧き出てくるが、宿屋や屋台の従業員兼冒険者が仕事として朝晩に片付けており、訪れた者は何も気にせずに休めた。


「迷宮っていうより小さい街だね。」

「そうだな。俺も初めて見たが、前にジジイから聞いていた通りだな。」

「本当にメベドのお爺さんは物知りだよね。」

「あれも変なジジイだったからな。」

「でもお陰でスイスイ来れたよ。」


3階層に着いた二人は、スライムのドロドロを落としながら少し休憩をしていた。

通路には、何箇所か焚き火があり周囲にベンチ等が置かれて休めるようになっていた。冒険者同士の情報交換なども盛んに行われている。


「あんたら見ない顔だね。」

偶々隣合った獣人の冒険者が声をかけてきた。


「うん。僕たち今日が初めてなんだ。」

「そうかい。私はオリジンのリンデコールだ。よろしくな。」

「アオイです。こっちは仲間のメベド。よろしくです。」

「メベドはデカいな。人なのか?」

「ああ。大食漢なものでな。」

「はっはっは。どんだけ食べるんだ。」

「リン、えーと、リンデコールさんのオリジンって何ですか?」

「ん?何だ知らないのか。獣人の種類だ。原種というのかな。」

「原種?」


「アオイ、この女はレイスウルフだがその原種の一族なんだ。ダイアウルフだったか?」

「メベドは見た目に依らず博識だなぁ。そう私はダイアウルフの一族なんだよ。原種の名前は長ったらしいからな他の原種の一族達も大体オリジンで通してるんだよ。」

「そっか。勉強になるなぁ。」

「はっはっはっ。勉強?アオイのような真面目な奴は迷宮じゃぁ珍しいな。」

「そ、そうなの。変かな?浮いてる?」

「え?そりゃ浮くだろうね。真面目な子供と大男なんて冒険者聞いたことないからね。」

「浮いてたのかぁ、、、」

「でも変じゃないさ、迷宮はどんな野郎でも入っちまえば関係ない場所だ。外とは違うんだから堂々としてな。」

「ありがとう。そうするよ。」

「じゃ行くわ。またなアオイ、メベド。」

「うん。リンデコールさん、また。」


レイスダイアウルフ。

レイスウルフの原種であるダイアウルフは、生まれながらの戦闘民族である。原種とそれ以外では、雲泥の差と言われる程に力の差があり、パワー、スピード、どれをとってもダイアウルフを上回るレイスウルフはいない。獣人にとって血統は全てを左右するものであった。


獣人達には、それぞれに原種がいるが中には絶滅してしまった種族もあったりとオリジンに出会う事は珍しいとまではいかないが、貴重な経験ではあった。


「獣人かあ。ギルドのティアさんもレイスウルフだったよね。そのオリジンがリンデコールさんか。そう言えば、通りでメベドにちょっかい出してたのは何ていう獣人なのかな?」


「レイスリノだな。鼻の角が特徴的な奴らだ。」

「リノ、、あー、サイか。角ね。確かに。」

「それにもオリジンがいるんだよね」

「絶滅したと聞いたような。名前は覚えてないな。」

「ええ、、、やっぱり絶滅しちゃうんだぁ、、、なんか元の世界とおんなじような話しで悲しいね。」

「そうか?種は時代と共に進化するんだ。ついて来れない種族は淘汰され、適応した種族が繁栄する、それは自然の摂理じゃないか?」

「凄っ!メベド、いきなり難しい話しするよね。」

「ガハハハ。まあな俺は博識らしいからな。」


3階層で休息を取った二人は、階下へと進んでいく。

石段の入口には「油断大敵。無理せず引き返せ」と看板があった。


「メベド、引き締めていこう!」

「ああ。分かった。」


気合いを入れ直し、4階層へと降りていく。

ガラッと変わる雰囲気は、空気でさえもピリつかせていた。

さっきまで大勢いた冒険者も、途端に少なくなる。


「こっからは魔族がいるんだよね。」

「そうだ。何処までの奴がいるのか、楽しみだな。こここで躓くようなら、冒険者殺しの階層は厳しいからな。」

「うん。それと宝箱の発見もね。」

「そうだな。その日暮しが目標だからな。」


通路の所々には血痕や、壊れた武具があり戦いを肌で感じる事が出来る。

アオイ達の前に先に降りていた冒険者が見える。

3人組の冒険者は、何かと交戦している様子だ。


「アオイ、折角だ。様子を見よう。」

「そうだね。どんな戦い方をするのかな。」


二人は少し離れて、3人の冒険者を見ていた。

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