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ここに俺がいても良いんですか?  作者: ぱぱのです
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メガミノ村のおババ

森を抜けると、世界は一気に開かれていく。

陽の光を遮る木々や葉もなく、澄み渡る青空が大きく見えて雲がゆったりと流れている。


長く手入れされずに生い茂る原っぱを抜けた先にやっと街道が出てくる。それ程森に近づく者はいないという事か、はたまた魔物たちとの境界線なのか。



街道に出ると、立て看板が見えてくる。「この先キケン近付くなかれ」誤って迷い込まぬように立てたのであろう。進むにつれて、少しずつ整地された道となっていく。左右にはぽつりぽつりと民家らしきものが見えてきた。それらは農具が置いてあったり、家畜小屋だそうだ。どんどん人の匂いがするものが増えていった。

森を抜けてから2時間程、やっと集落が見えてくる。

メベドが歩いてこの時間、人間の足で3時間程は掛かる距離。


「見えてきたわ。あれよ。」


「ほう、低級結界か。」

「メベド何?」

「ああ、村に魔物避けが張ってある。」

「魔物避け?えっ。それじゃあ、メベド入れないじゃん。」

「ふんっ。あのような弱い結界ならば、無いに等しいわ。あれで防げるのは、ランクの低い魔物ぐらいだろうよ。」

「ランク?もしかしてスライムとか??」

「おお、知ってるじゃないか。そうだスライムか良くてもオークぐらいかな。」

「うわあ、知ってるよ。オークって猪みたいな感じでしょ。」

「そうだ。あいつらは低位だが群れで襲ってくるからな人間にとっちゃ、厄介だろうよ。」


「まぁ、オークぐらいなら私でも何とかなるしね。」

「え?フィンが?戦えるの?」

「そうよ。悪い?私だって、逞しく生きてるんだからね。」

「悪く無いけどさ、そんな感じしなかったしさデコと会った時も凄いビビってたから。」

「はあ!?ヴィンディードッグなんて見たらビビって当たり前よ!あいつら、もの凄いしつこいんだからね。」

「メベドは平気だったのに?」

「はあ、、、ゴブリンの里の中の屋敷で、子供と座ってるパグロームベアなんてワケ有りでしょ。ワケあり熊さんなんか怖くないわよ。」

「ふぅーん、そっか。でも、戦えるなんて凄いね。」

「そう?まあ、凄いっちゃ凄いわね。薬草採集は生命がけなのよ。そりゃ、色んな試練があったわ。オークに囲まれた事だってあるんだから。オークがこう来た所をバンっとね。見せてあげたかったわ。」

「うんうん。分かったよ。」

「信じて無いでしょっ!もういいわ。ほら着くわよ。」


集落へ入ると、村の人達がパグロームベアに乗るアオイ達を見て驚いていたが、フィンが乗っているのを見て「また厄介事をもってきた」と呆れていた。


「フィン!あんた今度は何をやらかしたんだい!?」

「やらかす?何言ってるのよ、おババ。ボケたの?」

「ボケちゃいないよ!アンタまた変な薬でも作ったんだろ?」

「何でよ!作って無いわよっ!」

「嘘おっしゃい。パグロームベアなんて引き連れて、アンタの薬じゃないならなんなのさ!もしかしてアンタとうとう魔物になったんじゃないでしょうね。」

「もう、おババは妄想が過ぎるわ。引き連れてないし、これは送ってもらったの。」

「はあ、もうアンタと話すと本当に疲れるわ。何でもいいけど団長が薬持ってこいって怒ってたからね。早く持っていきな。」

「え?あぁ、、忘れてたぁ、、、」


「フィン、僕たちの事ちゃんと紹介してよね。」

「えーと、、、ちょっと後まわしね。ちょっと急いで片付けなきゃいけない事もあるし、、、とりあえず、おババのとこで待っててよ。」

「え?おババさん?さっきの人??大丈夫かな、、、」

「とりあえず、行ってきて。ほらあそこの井戸の横の家だから。私も後で行くからさ、ほら行って行って。ああ、忙しい。折角素材を持ち帰ったのに。」


フィンはアオイ達を置いて自分の家へと走っていった。


「行ってしまったな。」

「うん、、、何かみんな見てるね。」

「だろうな。子供と魔物だからな。」

「、、、おババさんのとこ行こうか。」

「ああ、そうしよう。」


アオイ達は、井戸の横の家に行き扉をノックする。


「はいはいはい。誰だい?あら、アンタたちかい。」


「すいません。フィンがおババさんの家で待っててと言ってまして、、、困りますよね。」

「ふふふ。困りはしないよ。さあ、上がんなさい。」

「良いんですか?メベドも一緒なんだけど。」

「メベド?ああ、その熊ね。構わないわよ。フィンと居ると大概の事には動じないわよ。さあ、入って。」


「ありがとうございます!」

「邪魔する。」


おババは茶菓子でもてなしてくれた。

フィンと一緒に来た理由や里のことを話すと、おババもフィンの事を教えてくれた。


フィンは、集落の先っちょにある祠に捨てられていたそうだ。身寄りの無いフィンを村人全員で育ててきたという。本が大好きで読み書きが出来る頃には、本を片手に薬を作っていたそうだ。それがまたよく効く薬で、年寄りは毎日のようにフィンの所へ行っては調薬して貰っていた。そんな噂を聞きつけて、王国からも薬を求められるようになり今では御用達だそう。

わざわざ王国の騎士団長が取りに来るような好待遇となっていた。薬と運命の赤い糸だけに興味がある変わった女の子だが、村人達はフィンの事を実の娘や、孫、兄妹のように想っていた。


「フィンって凄いんだね。よく喋るけど、そんな話しは全然しなかったよ。」

「そうさねぇ。あの子にとっちゃ、別に特別な事でも無いんだろうねぇ。」


「知識を付けた事で偏見とやらが無いのだな。ゴブリンだろうが、俺であろうが態度を変えたりしないしな。」

「パグロームベアに褒められるなんて、あの子も成長したんだねぇ。」

「べつに褒めてはおらん、見たままの事実だ事実。」


「そんなあの子が連れて来たんだ。あんた達もいい子達なんだね。」

「魔物にいい子とは、おかしな事を言うもんだな。」

「ふふふ。種族なんてどうでもいいんだよ。老い先短いんだ、私は目の前の事だけちゃんと見れればそれだけで良いよ。」


バタバタバタ。

外から走る足音が聞こえてきた。

「来たみたいだね。足音も煩い子ですまないね。」


「アオイ!行くよぉ〜!メベドも早く出て来て〜!」


「呼ばれたようだな。」

「うん。行こっか。何か楽しそうだし。」


アオイ達はおババに礼を言うと家を出てフィンと合流する。フィンは、大きな布袋一杯に薬草を詰め込んでいた。


「さっ、今度は王国よ。行きましょっ!」


アオイとメベドは互いの顔を見合わせる。

「王国、、、行って良いのかな?」

「フィンが何とかするんだろう。」


二人は、王国から好待遇を受けているという話しもあり、フィンの言う通り村を出る事にした。

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