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ここに俺がいても良いんですか?  作者: ぱぱのです
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帰路

涙滴型のメガミノ村では、フィンの店の前で騎士団長が貧乏ゆすりをしながらぶりぶりと怒っていた。


「ったく!あのチビ。また居ないぞ。」

「団長、どうやら森に行ったらしいっすよ。」

「なにぃっ!?森だとぉ!?はあ、、、参ったな。」

「やべえっす。絶対怒られるやつっす。」

「よし、お前が今日から団長なっ!」

「えー嫌っすよ。ムリムリ。諦めて怒られてください。」

「なんだよったく。また減給かあ、、、母ちゃんキレるなぁ、、、」

「団長の奥さん、団長より団長っすよね。」

「言うな馬鹿っ!俺だってそう思ってんだよ!」


ぶりぶりと怒る団長は、王国騎士団の団長である。

その王国は、メガミノ村から更に西。【魔族の狭間】と呼ばれる大陸の裂け目のすぐ近くにある。


森には魔物、裂け目の先には魔族という土地柄、騎士団の仕事は過酷なものであった。そんな騎士団にとって、いや王国にとってフィンが調薬する薬は貴重であり戦力維持に欠かせないものであった。

今日は毎月の納品日。とはいえフィンが王国に行くことはなく騎士団長自ら薬を受け取りにくる。それ程、王国としてはフィンを大切に扱っていた。


「団長さん、こんにちは。」

「おお。おババ。元気そうだな。」

「お陰さんで。すいませんねえ。フィンには私からきつく言っときますんでね。」

「おババも大変だな。」

「ほほほ。まああんな子ですからね。」

「では、フィンが戻れば直ぐに王国に薬を運ぶよう伝えてくれないか?」

「ええ、ええ。伝えますとも。」

「兎に角急いでると伝えてくれ。量はいつもと同じで構わんから。」


団長はおババに薬代を渡し団員と共に王国へ帰っていった。


「お気をつけて。」

「おババも達者でな。また、来月会おう。」


そんな会話を知らないフィンは、アオイとメベドと共にゴブリンの里へとリカバリーの素材となる苔を採取し帰路についていた。

フィンは苔の入った瓶を眺めては、ニンマリと笑い懐へ戻す。また直ぐに取り出しては眺めてニンマリ。

デコ達の住処を離れてからずっとその繰り返しだった。


「大人しくしているのは良いが、気色の悪い奴だな。」

「それだけ嬉しいんじゃないかな?僕も、新しいマンガを貰った時はこんな感じだったよ。」

「マンガ?ここに来る前の話しか?」

「うん。母さんと父さんが、買ってきてくれたんだ。なんだか、ずっと昔の事みたいだよ。」

「そうか。まあ、アオイは転生したんだ。そんな風に感じるのかも知れんな。」

「転生ねぇ〜。メベドは、色んな事に詳しいよね。どうやって勉強してきたの?」

「勉強?ガハハハ。俺達魔物は勉強なんてしないさ。ゴブリンのような魔族達の中にはマリーナみたいに勤勉な奴はいるがな。」

「魔族?ゴブリンが?魔物じゃないんだ。」

「そうさ。魔物っていうのは、俺やデコみたいなのを言うだ。」

「ふうーん。何かマンガとは違うね。」

「そのマンガとやらは分からんが、そういう種なんだよ。」


「それで、何で色々知ってるの?」

「ああ、俺達は口伝だ。」

「くでん。口で伝わるってこと?」

「ああ、俺はチビだった頃によくジジイと一緒に居たからな。そこらのパグロームベアよりも格段に詳しいぜ。」

「へえ。お爺さんからかあ。ちっちゃいメベドも見てみたかったなぁ。」

「アオイよりはデカかったがな。ガハハハ。」


里へと帰ると、オズワルドとマリーナの屋敷へと直行した。フィンは、苔を見せて自慢気にしている。


「おお、採取できたのだな。」

「本当、綺麗な苔ねえ。」

「フィンよ、それでこれからどうするのだ?ここでリカバリーを作るのか?」

「ううん。ここじゃ設備が不足しているから一旦村に帰るわ。」

「そうか。まぁ完成したらまた見せに来てくれ。」

「ええ。勿論!期待しといて!リカバリーが無理でもリミションは絶対に作ってくるからね。」

「そうかそれは楽しみだな。それで、直ぐに発つのか?」

「そうね。やっぱり鮮度を保ちたいし。帰ろうかな。」


「そっか。フィン、村に戻っちゃうんだね。短い時間だったけど、楽しかったよ。また、里に来たら森に行こうね。」

「やかましい奴が去るのは良い事のだがな。まぁ、薬が出来たら見せに来いよ。」


アオイとメベドは、フィンにお別れを伝える。


「は?」

フィンは、何を言ってるのという表情を向けた。


「え?」

「アオイ達も来るのよ。」

「ええ?何で!?」

「何で?なんでが何でよ!ここは魔物の森よ!か弱い私が、貴重な素材を持って歩いて帰るっての?信じらんないわやっぱり運命は考え直さないと。こんな薄情な人がメガミノオトシモノだなんて、あぁやだやだ。運命の人は別かしらね。」

「ええー、、、か弱い、、、ええー、、、。」


「でもフィンの言う通りだねえ。偶々ここに来れたけど、一歩間違えば大変な事になっててもおかしくないからね。」

「流石マリーナさんね。もうマリーナさん以外は本当に何も分かってないんだから。はぁマリーナさんが、男子だったら絶対私の運命の人だった筈よ。」

「そういう訳だから、アオイ達も一緒に行ってきてくれないかい?」


「マリーナさんにお願いされたら断われないよ。」

「世話になっているからな。」


「このままでは、里の長は俺ではなくマリーナになりそうだな。ははははは。」

「もう冗談はよしてくださいな。私はモブとコリンの世話だけでも大変なんだから。里なんて嫌ですよ。」


という事で、里へと戻った3人は再び里を出て、フィンが暮らす村へと出発した。


「はあ、楽ちんだわ。」

「フィン、もしかして歩くのが嫌だっただけじゃないの?」

「さあ、どうかしらね。ふふふ。まあ良いじゃない。旅よ旅、もう少し楽しみましょう。」

「森を抜けてすぐだろうに。旅とは大袈裟なやつだ。」

「メベドは大きい身体のくせに言う事が小さいわね。良いのよ旅は距離じゃないの。気持ちなの、キ、モ、チ。」

「はいはい。うるせぇ奴だ。」


「でも、森の外に出るのは初めだから、ワクワクするね。それにフィン以外にも人と会えるんだし。楽しみだよ。」

「そんな大した村じゃないけどね。まぁ折角だし薬作ってる間は、のんびりしていけば良いわ。」


一行はワイワイガヤガヤと森を進んでいった。

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