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ここに俺がいても良いんですか?  作者: ぱぱのです
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ゴブリンの里

深い森の中、生い茂る草木を掻き分けて進む先にひっそりとゴブリンの里がある。ゴブリンと言えば、女の敵、卑しい存在、好戦的な種族などなど様々なイメージがあるが、ハコニワに暮らすゴブリン達は、周囲の魔物達から容姿を軽蔑され虫けらの如く酷い扱いを受けてきた。集落を点々としながら辿り着いたのが、この森の中であった。

しかし安息の地とは程遠く、常に警戒心と猜疑心を持ち異種族との交流を避けて暮らしていた。


モブとコリンは、里の裏手にある抜け穴から里へと戻る。彼等は平静を装いつつ、足早に向かったのは少し高台にある住居だった。そこは、里の長が暮らす住居である。里の長は、ゴブリンの中でも優れた体格を持つ者が選ばれてきた。不思議なもので、同世代でそのような体格を持つ者は一人しか産まれなかった為、誰が長になるのか、あの者よりもこの者が良いなどの後継者に関するゴタゴタは起きる余地も無かった。長が最も大切にしているのは、仲間の命でありそれを守る為ならば、いつでも死ねる覚悟を持ってその任に就いていた。


そして、そんな長を父に持つのがモブとコリンの二人だった。彼等兄弟は、優れた体格を持って産まれる事は無かったが、勇敢で皆の尊敬を集めるな父や勤勉で逞しい母の背中を見て育った。


「モブ、、、早く!こっちから」

モブとコリンは、長である父に見つかる前に母と会おうと屋敷の中をちょこまかと移動していた。

「母ちゃんは、上だな。」

2階には母の裁縫部屋がある。二人は階段をそおっと上がり母の部屋へと入っていった。


「あら?どうしたんだい?また、何かしたのかい?」

二人の母は、こっそり入ってきた我が子達に呆れ顔で問いかけた。

「ち、違うよ、、、違うくないか、、、」

「母ちゃん、、、あの、、、」

「なんだいモジモジして。シャキッとしないかい。」


二人は勢いで言えると思っていたが、母を前にして実は重大な発表をしなければならないと緊張していた。


「お、怒らない?」

「、、、モブ。何を壊したんだい?」

「ち、違うってば。そんな事じゃないってば。」


「母さん、僕達ね、、、」

「また抜け穴を作ったんだね!そうだね!あれだけ駄目だと言ったのに!仕方のない子達だよ!」

「ち、違うよ。でも作ったけど、、でも今日は違う話しで。」


「なんだい?父さんに言えない話しかい?」


二人は頷いた。母は、そうかと膝を叩き立ち上がる。

「行くよ。」

母は何も聞かずに二人の手を取り屋敷を出る。

玄関ですれ違った使用人へ「ちょっと散歩に行ってきます」と告げて里を出ていった。

二人は「え?」「何で?」「母ちゃん?何処行くの?」と

困惑した表情で引っ張られていた。


ズンズンズンと森に入っていく。二人にとっては見覚えがあり、それが余計に焦らせていた。

「か、母ちゃん!こっから先は危ないから、、、戻ろっ」

「そ、そうだよ。モブの言う通りだよ。も、戻ろうよ。」


母は二人の進言などお構い無しにガサガサゴソゴソと草木を掻き分けていく。

「だ、ダメー!!」

コリンが叫んだが時既に遅し。母の視界にはアオイとパグロームベアのメベドが写っていた。

「こりゃまた、、、予想以上だね。」


モブとコリンは駆け出して、母とアオイ達の間に立つ。


「母ちゃん、、聞いてくれ。こいつら悪い奴じゃないんだ!」

「そ、そうなの!アオイはパグロームベアに襲われそうになった所を助けてくれたんだ!」

「馬鹿!コリン!それじゃあメベドが悪い奴になるだろ!」

「え!?あっ!でも違う!メベドも僕達と寝たりして、、、その悪かったけどそれは治って、、、その」


母は、二人が必死に話すのを穏やかな表情で見ていた。


「もう、うるさい子達だよ。どいてな。」

母はアオイとメベドがいる洞窟に入ると、よっこいしょと座る。


「可愛い子がアオイだね。それでそっちの虐殺王がメベドかい?」


アオイとメベドは頷き答えた。


「私はマリーナ。あの子達の母親だよ。」


「マリーナさんどうも。え、、、と。メガミノオトシモノのアオイです。」

「え?メガミノオトシモノ?アンタが?人間の子供だとしても驚きなのに、こりゃまた本当に予想以上だね。」


洞窟の外ではモブとコリンがそわそわとしている。


「アオイ、二人を助けてくれてありがとうね。命の恩人だよ。」

母はパグロームベアから守ってくれた事に感謝し頭を下げた。アオイの横ではメベドが気まずそうに座っている。

そして、母は顔を上げるとメベドをじっと見る。


「メベド、、、パグロームベアが名乗るとはねえ。掟を守ってるってことかい?」


メベドは頷く。

「マリーナとやら、俺達の掟の事を知っているのか。」

「ゴブリンだからと舐めて貰っては困るね。あんた達以外の事だって色々知っているわよ。」

「いや、すまない。舐めてなどは、、、」


「あははは。そんな殊勝な姿を見られるなんてね。キツイ言い方をしてしまったね。ごめんよ。私も知らない事が多いみたいだね。あははははは。」


洞窟から聞こえる母の笑い声に、モブとコリンは安心するよりも頭の中がハテナでいっぱいになっていた。


「マリーナさん、あのメベドは僕についてきちゃってて。」

「分かってるよアオイ。パグロームベアの掟は絶対だからね。敗北者は名を名乗り、相手に従うのさ。」


「それでアオイ、行く所はあるのかい?」

「いや、、、さっきここに着いたばかりで、何処に行けば良いのかさっぱり分からなくて。」

「あんた一人でも大変なのに、メベドも一緒となると余計に大変だわね、、、。よし。分かったわ。後は私に任せなさい。でも、一晩ぐらいはここに居て貰うよ。いいね。」


母はそう言うと立ち上がり洞窟を出る。


「事情は分かったよ。私が父さんに伝えるから、あんた達は私の横で静かにしてな。いいね。」


二人は再び目を合わせ、喜びを爆発させた。母の前で手を取りくるくると回っていた。


「本当にやかましい子達だねえ。あははははは。」


母はズンズンズンと里へと戻っていく。モブとコリンも後ろをついて歩いているが、その足取りは軽やかであった。


「コリン!やったな!」

「うん!母さんなら、父さんを説得してくれるね!」


洞窟を離れて数十分。あとちょっとで里に着くという時、辺りに角笛の音が鳴り響いた。

ブォーーーブォーーーーー


それを聞いたマリーナ達は、顔を強張らせた。


「モブ、コリン!あんた達は洞窟に戻りな!」

「母ちゃん!駄目だ!俺もいく!もう15なんだ!」


マリーナはモブの表情を見て頷いた。

「コリン、あんたは駄目だよ。洞窟で待っとくんだ。いいね!」

コリンはどうしょうもないと頷くと洞窟へと駆けていった。


ブォーーーーーブォーーーーーと角笛は終わること無く鳴り響いていた。


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