幼馴染三つ子姉妹は僕だけ仲良く分けられない
短編です
お付き合い下さい
(五等分の花嫁の影響を受けて書きました)
僕は南條幸起、この春から高校2年生だ。そんな僕には小学校からの幼馴染みがいる。その幼馴染みは同級生なのだが、なんと三つ子の姉妹だ。やかましいったらありゃしない。
普段は仲が良いくせに、僕のこととなると三人とも途端にうるさくなる。
「幸ちゃん、おはよう。もう何時に寝たの~?」
「幸起! また寝癖ついているわ! ちゃんととかないと駄目よ!」
「幸君、おはよっ。今日も天気が良いね」
「おはよう、春、夏美、秋希」
「うん!」
三人とも言葉が相変わらず被る。
「ちょっとー、今のは私が先でしょ~」
と言っているのが天野春、三姉妹の長女。大らかでなにかと世話焼きなお姉さん気質。
「いーや、私が先だったわ!」
ツンケンとこう言っているのが天野夏美、三姉妹の次女。わがままでなにかと突っかかてくるツンデレ(?)気質。
「私と思うんだけど~」
と言うのが天野秋希、三姉妹の三女。優しくて素直だけどどこか抜けているのんびり気質。
「幸君(幸ちゃん)(幸起!)、誰が先だったと思う!?」
とまた被る。
私、私、私と三人でうるさく言い合いながら学校へと向かう。
朝から賑やかなことでといつものように思いつつ少し呆れる。
学校に着くと2年だから文理分かれている、あいつらは文系で僕は理系だから、クラスは別々になる。だから僕にとって少しの間休息の時間が訪れる。
「よ、幸起」
「山科」
こいつは山科雄平、同じ中学からの友達で、いわゆる同中だ。彼は僕と天野家三姉妹の仲を良く知っている。そして僕の初恋の相手も。
「相変わらず天野さん達は賑やかだなーっ」
「まったくだよ。あいつらが近くにいると参る。もう普通の声が遠くに聞こえる感じがするよ」
「お爺ちゃんか」
「違う! まだピッチピチの16歳だ!」
と山科と下らない話をする。
そしてキンコーンと鐘が鳴り、休み時間になってのんびりしていると、廊下を走る音が聞こえる。
あー、来たっ。
「一番っ!」
と叫びながら春、夏美、秋希の三人が同時にクラスに入ってくる。
「私が一番ねっ」
「いいや、私が一番だったわよ」
「えー、私と思うなー」
「いや、お前らの50mのタイム確か三人とも同じだろ?」
「流石は私達の幼馴染み、良く知ってるわねっ」
「えっ、ちょっと引くわー」
「幸君、私達の測定値あまり周りに言わないでね」
「……」
いや、前の身体測定の時に、お前達から教えてもらっただけだぞ! 断じて盗み見ではない!
「あ、天野さん達だー」
「可愛い~」
「本当そっくりだなーっ」
まったく……。大体この三人が揃ったら結構目立つ。顔がそっくりの上、三つ子でその上校内でもかなりの美貌ぶりだ。
しかしよく見るとこの三人の顔はそれぞれ違う。
春は腰の上辺りまで髪を伸ばし、目は少しおっとりしている。夏美は髪を肩まで伸ばし目は少しきりっとしている。秋希は背中まで伸ばし少し目は優しい。
さて、
「で、何しに来た?」
「春がこっそりクラスから出て行ったからよ」
「そう春姉さんが出て行ったの私も見たから」
こいつらはほぼ同じ学力だから同じクラスに所属しているからか、互いの状況をよく知っている。
「わ、私はトイレに行こうとしただけよっ」
「嘘つかないで! 三つ子に嘘ついても直ぐ嘘バレるわよっ!」
「~~~」
「で、春は何しに来たんだ?」
「こ、幸ちゃん。元気かなーっと思って……」
はぁ、まったくこれだよ……。
「朝会ったじゃないか。まだ2時間しか経ってないぞ」
「う、うん。まあね……」
「ほら、行くわよ。あんまり幸起のところに行って邪魔しちゃ駄目よ!」
「わ、分かってるわよ」
「ほら、春姉さん帰ろう」
こいつらは単独でクラスにほとんど来たことない。まったく来ないか、三人で来るかのどっちかだ。
「あ、幸起! まだ寝癖ついているじゃない! まったくいつまで経っても子供なんだから」
と素早く夏美が僕の髪をとく。
「! ほら幸ちゃん、私も直してあげる」
「! わ、私も!」
「あっ、ちょっと私の邪魔しないでよ!」
「あんたこそ私の陣地を取らないで」
「夏美姉さん、ここは私が直すとこ」
三人が僕の髪をくしゃくしゃし始める。
「出来……た?」
見ると余計くしゃくしゃになっていた。
「お・ま・え・ら~~」
「あ…はは~~」
「早くクラスに戻れっ!!」
三人はぴゅーっとクラスから出て行った。
「ったく。あいつらはーっ」
「あははっ。大変だねっ」
僕は怒りながら手で髪を直す。
「もう少しあの子みたいにお淑やかになれないもんかなーっ」
「まだそんなこと言っているのか? 何年前の話だよ」
「初恋に何年も前とか関係ないだろ?」
「あんな可愛い幼馴染み達がいるっていうのに5年も前にことに一回だけ会ったその子を未だに引きずっているなんてなーっ」
「……」
小学校の時に僕を助けてくれた少女。一度だけ出会ったその彼女はとても勇敢で可愛らしかった。いわゆる一目惚れというやつだ。
年格好は僕とあまり変わらなさそうだったが、今でもここら辺にいるのだろうか。
「またあの子に会えないかな~」
そう思いながら、僕はあの子と会った光景を思い出す。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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