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カラク・カスハ  作者: kuzu
3/8

チュートリアル・超エキサイティング

 暗闇の世界の中、【you die】の文字に照らされながら考える。


 なんだあのチュートリアル。あんな嫌がらせは始めてだわ。空前絶後の嫌がらせだわ。むしろ超エキサイティングな嫌がらせだわ。


 普通にやっても仮面を取る事が出来ないのは薄々感じていた。

 だが、まさか銃で撃たれるとは思ってなかった。しかも身体が動かなかったし。


 ....諦めるって、そういう事か。

 捕まえる事を諦めるのでは無く....それ以前に、追いかける事を諦めるって事か。



 鬼ごっこ? 違うだろ。これは、隠れ鬼だ。

 それも『隠れ』の時点で諦めさせようとしてくる、隠れ鬼だ。少し違うかもしれないが、追いかける以前の問題って事は同じだ。



 動けなくなったのは、おそらく灰色の空間になった事が原因だろう。不可避じゃん。これじゃあ探す事すら出来ない。



 ........落ち着け。解がおかしい時は、大体その過程がおかしいからだ。ってどっかの本に書いてあったような気がする。


 誤解を直すためには、先入観を捨てて、もう一度解き直すしかない。何か自分で勝手に決めつけてしまっている事がある筈だ。


 ....そう信じよう。



 俺は【you die】と表示された画面をタッチし、【continue】のボタンを押す。




 自分の身体が点滅し、やがて光に包まれた。




「よう」


 仮面野郎は、何でもないように声をかけてくる。まだ景色は白い。



「二回目だな。何か言いたい事はあるか?例えばそうだな........一回目の感想とか...」



「ん? あー、超エキサイティング」


 俺は腰に右手を当てながら、左手で耳を掻く。



「予想の斜め上どころかそのまま急降下した感想だな。他に質問とかはあるか?」



「無いな。一回目に言ったろ?最後の質問だってな」


「そうだったな。あの質問はいい質問だったな」


 俺がその言葉に答える前に、白い世界は、灰色に切り替わった。



「では、カラク・カスハ。始めるぞ」


「そうか」


『3』


 俺の膝が少し曲がった。


『2』


「ああ」


『1』


 ....なるほど。


『START』



 銃声と、その後に仮面野郎の声が聞こえた。


「超エキサイティング。」


 


 二回目の暗転。




 【you die】の文字に照らされる。



 ふぅ。まぁ、隠れ鬼で例えるなら、隠れてる奴の物音が聞こえた感じだ。



 まず、「超エキサイティング」と答え、両手を動かしたとき、肩幅よりもう少し開こうとした足は、直立のまま動かなかった。


 つまり、景色が白い時には足が動かないので、奴の不意をついて仮面を取ろうと動く事は出来ないのだ。



 次に、灰色になった時だ。 


 やはり、灰色の空間で全く動けないという考えは間違っていたようだ。


 そして、白い時に動かなかった足が動いた事から、俺が絶対に勝てないようになっている訳では無い事もわかった。



 だが....俺の予想が合っていれば、俺はこのチュートリアルの事を、クソチュートリアルと呼ぶ。


 そう思いながら、コンテニューをする。


 点滅にも慣れたな。


 俺は目を閉じた。

 



 目を開ける。白い景色、それと黒仮面の男が視界に入る。



「よう。これで三回目だな」


「ああ。まるで、隠れ鬼で見つけた相手が、機関銃付きの軍用車だった気分だな」



「そうか。気休めに二回目の感想を聞いてやろう」


 ........言うだけ言ってみるか。



「灰色の空間内は、脳の命令が身体に届くまで、約二秒。......約二秒、俺の行動が遅れるんだ.........」


「.........酷くね?」



 ............



「....まさかこの時点で、それに気が付くとはな。ますます嫌いになるぜ」



「そうかよ。俺も、まだ軍用車を相手にした方がマシだと思うわ」



「その考えも合っているな。お前さん、ここで撃たれた数は二回だったか?三回だったか?」



 撃たれた数?


「二回だな」



 俺は普通に答えた。だが....



「そうか。なら....


 空間が灰色に切り替わる。



 三 回 っ て 事 に し よ う や」



 今回の撃たれる分も入れて三回ってか。




『START』


 ちょ、カウントダウン無しかよ!?



 すでに銃はこちらを捉えている。



「まぁ、二度ある事は三度あるってこった」


 .......くっそ。



 暗転(三度目)



 【you die】の文字は皮肉るように俺を照らす。


 ふぅ、(ひで)ェ。


 俺は頭を掻いた。



 超エキサイティングだわ。

 エキサイティングって言葉の意味が、俺の中で変わりつつある。


 

 ....まぁ、とりあえず、これがクソチュートリアルだって事は分かった。


 クソ要因を簡単にまとめよう。


 相手は銃を容赦無く撃ってくる。


 俺には勿論、武器なんて無い。


 身体能力も、あっちの世界と同じ。相手の身体能力は確認すらできていない。


 そして、脳が命令してから自分の身体が動くまで、二秒のタイムラグ。

 相手が動く二秒前に、相手の動きを予測して命令を出し始め、相手の動きが予測通りかを確認しながら、それでも二秒後を予測して身体に命令を出し続ける。

 予測が外れれば、撃たれる。


 以上がクソ要因だ。


 俺の人生のように、超ハードモード。



 ああーー。これ、勝てるのか?

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