最悪の結果
「はぁ……どうしてこうなった…」
「あぁ、お前、立場分かってんのかぁ?」
今、ボクは一人の男に捕まっています。
周りは、ボクを人質に取られ、萎縮しているクラスメイト……
そのクラスメイトを本気で殺そうとしているのか、ボクを捕まえている男の仲間……つまり、盗賊達が殺気を垂れ流しています。
グレンさん達、騎士団はどうにか突破口を開こうとしている様子です。
時は30分前にさかのぼる……
「―――、天閃っ!」
「おらぁっ!!」
「―――、剣聖っ!」
「……シッ!」
迷宮に入って、1時間。現在は何周目かの勇者幼馴染み組の番です。快斗君が能力を、坂本君が素手で殴り、成瀬さんが魔法を、橘さんが『風塵』で抜刀を、という感じで倒していき、危ない攻撃からは夕凪さんが防御魔法で防ぐといった感じになり、上手く連携していた。
……まあ、尾行の方は今でも来てます。
ただ、何を伺っているのか、充分襲える距離にいながら手を出してこないのです。
何か考えがあるのか、こちらが気付いていることを悟られたか、あるいは…勇者の実力に怖気づいたか…
まあ、最後はありえないと思いますが。
ここまでの実力者なら、今の勇者達の力は赤子とは言えませんが、全く苦にならないでしょう。
ボクなら全員単独でやれそうですが、やはり、勇者達には少し無理があると思います。
……念のため、試作中だったけど、魔道具を訓練時は毎日、全部持ってきていたけど、意外と役立ちそうです。
因みに、今羽織っているフード付きマントも魔道具として改造したもので、効果は顔を見えないようにすること、ちょっとやそっとではフードは外れないこと(例えば、強い風がふいてもフードはめくれるどころか少し揺れるくらいだが、さすがに人の手によって外されるととれる)、そして、マントの中に無限ではないが、見た目とは不釣り合いに多く収納できることです。
ボクの魔道具は全てマントの中に収納されています。
ともかく、対処はしやすい。後は相手の出方次第です。
いきなりだが、ボクの能力は『本』、そして、その派生が『世界』です。これは、この世界で「職業」と呼ばれる個人の才能です。本来はレベルがあり、それが上がるごとに派生が増える……というようになっていたようで今は能力があまりありません。
なので、今皆が使っている能力は同一のものが多いでしょう。
最初の時レベルはないと思っていたけど、よくよくステータスを見ると分かりやすいところにレベル欄はありました。
佐藤 ユズキ
職業 読者
レベル ────
能力 『本』:世界
属性魔法 適正 無
こんな感じになっています。
何でも昔、レベルとステータスを見て強さの判別をする馬鹿がたくさんいたそうで、それを無くそうとレベルとステータスを消され、魔物も強くなっていったそうです。
そんなことが出来るのは神ですね。そのおかげか、強さが見た目基準というのは変わらないが、個人の技量が上がったのはそのおかげなのだろうと思います。
現在は久我達の番でしたが、前々から力押しの馬鹿だと思っています。今も力任せ、能力任せで魔物を倒しています。隣のグレンさんがため息と共に久我達の所に向かって行った。
────大変ですね。騎士団の人も苦労したでしょう。
そう思っていた時、急に彼らは動き出しました。どうやら、予想はハズレてグレンさんがボクから離れるのを待っていたようです。
ボクは素晴らしいタイミングの奇襲に迎撃を……しない。ボクはギリギリまで無能のフリをします。一人の男がこちらに、他は勇者や騎士団を囲んでいく。
────結構な数ですけど、どこから
と思考している内にボクは捕らわれる。
男はボクを攫った後、流れるような動作で首元にナイフを突きつけると、
「動くなぁっ!!」
とそちらに目を向けると、いかにもリーダーっぽい盗賊が現れる。
勇者達と騎士団は共に囲まれていた。
ここから、冒頭に戻る。つまり、ボクは人質兼依頼のターゲットだったのである。
駄目だ。限界です。次回に回しますね。
さて、主人公はどうなるでしょうか~(棒)




