最悪な展開
遅くなりました。戦闘回は次にします。
「―――、火球っ!」
「―――、炎槍っ!」
「―――、炎弾っ!」
ユズキ達は現在、国にある洞窟型迷宮、「イシュタム迷宮」で訓練中である。さすがに、危険な場所である為、グレンを含めた騎士団と女騎士団全員が同伴している。
そのため、迷宮に来るまでに時間がかかってしまった。民衆の波に飲まれかけたのだ……ユズキを除いたクラスメイトが……
ユズキは最後尾だったが、来る人来る人全て最小限に避けまくっていい運動になっていた。
勇者こと快斗勇真(ユズキは名前を覚えて無い)は民衆に手を振って答え、一部を除いた女生徒は勇真の手を振った先で出た黄色い悲鳴に若干キレかかっていた。
そして、ユズキや騎士団全員以外が精神的に疲れたところで迷宮前にたどり着き、ユズキ以外の生徒は騎士団の人を入れて10人ずつに班わけされ、順番に戦っていた。
なお、ユズキはグレンさんによって弱らせた魔物にとどめを刺すという行為を繰り返していた。これは周りに怪しまれないようにしている。
考えてもみてほしい、無能と呼ばれる人物が単独でさっさと魔物を倒して行く姿を、それを見て誰かがここの魔物は弱いと勝手に結論づけ、単騎で突っ込まれては確実に死ぬ。
ましてや、経験の少ない勇者一行ではそうなる。それにあの貴族達の一人の息子、ミリアムとつるんでいるのなら貴族がいなくても報告される恐れがあるとユズキは危惧した。
よって、ユズキの戦闘方法は弱った魔物にまず範囲は微妙に広いが、威力が低い、『衝撃波』という無属性魔法を使い、そのまま頭や心臓を刺す…これだけだ。
一方で勇者一行は大技連発して、次の班にまなる頃にはほぼ息絶えだえになっている。
例外は、勇者とその幼馴染みの班である。勇者である快斗勇真はスペックが他より桁違いで、成瀬史織は回復魔法と聖の攻撃魔法を得意とし、魔力も多く持っている。坂本龍斗という勇真の親友にして幼馴染みの脳筋は格闘技を駆使し戦い、橘雫はもとの技術と魔法での速度、そして、冷静な判断力で、小柄で短いツインテールのクラスのムードメーカー、夕凪葉月は防御魔法が主だが、適正が聖属性が一番高いが低い属性がなかった。攻撃は基本彼女が受ける。
このチームは戦術的にはバランサーだが、戦闘力だけでいえばオーバーキル過ぎるほどに強くなっている。だが、グレンは呆れた目で勇真と龍斗を見ていた。他の二人は見極めが出来ていて、手加減も完璧だったが、勇真は少し周りが見えなくなることがあり、龍斗は馬鹿の一つ覚えのように突っ込んでいくのでこの男共は加減の仕方を知らない。
グレンは頭を抱えたい気分に陥っていた。グレンが日本人ならきっと言った言葉それは、
『ユズキの爪の垢を煎じて飲ませたい』
だろう。
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(ふう、今回は楽できそう。)
ボクは今前線で行われているであろう戦闘を見ながら思っていました。
今前線で戦っているのは勇者、幼馴染み組です。彼らは全員、夢幻装備にチートの持ち主であり、とても優れた職業だからである。
話は急に変わるが、職業とは…まあ、有り体に言ってしまえば、人の役割のようなものだ。もちろん、役割にも必ず力が必要なので能力がついているそうだ。基本、職業は他人に明かさないが勇者と幼馴染み組は公開した。快斗君はもちろん『勇者』、成瀬さんは『聖女』ぴったりだった、脳筋く…じゃなくて、坂本君は『格闘家』…狂戦士の間違いじゃなかろうか、橘さんは『戦乙女』つまり、ヴァルキリーってことだ、夕凪さんは『結界師』……え、いや、ノーコメントで…
ともかく、こういう職種の他にも様々あるという話をしたかった訳です。
……え、ボクですか?ボクは『読者』という職業です。能力は『世界』という仰々しい名前ですが、世界のことを知れるだけでした。それでも、ボクとしては充分すごい能力だった。この能力のおかげで魔法の幅も広く出来た。まさに『世界』様々でした。他にもあるんですけどね能力……
閑話休題
因みに、坂本君の装備はそこまでいいものを使っていない。どうやら彼は自分の力で戦いたいというなんとも戦闘狂な部分もあって、幼馴染み組唯一の夢幻以外の装備です。動きを阻害しないような薄着でした。夕凪さんは夢幻装備で『神々の慈愛』です。それは、盾だった。攻撃にも使えるという盾。その盾は夕凪さんよりも少し大きく、反り返っている四角い形の武器?だ。
「……気付いてるか?」
「……なかなかの手練ですね」
「ああ、ここまで近づいてきて全く気づかんかったとは…」
二人は今後ろからつけて来ている者の話をしている。決して面白い話ではないが、対策を練るのは早めでいいだろうと二人は尾行者の意図を探る事にした。
一方、ミリアムから依頼を受けた盗賊達は現在、ストーカー…じゃなく、尾行している。
彼らは実はただの盗賊ではない……
勇者一行を殺しに来た……
他国の闇ギルドの団員達だったのだ…………
詠唱を考えるのは難しいですね。プロの参考が知りたいです。||||||(_ _。)||||||




