休日、あなたは何してますか?〜買い物中〜
少し多めに書きました。
「……はいよっ、いつもの」
「どうも、ありがとうございます」
ボクは今、国の城下町?に来て、いつも仕入れている、焼き鳥モドキを買っている。
お肉は動物の猪やうさぎを使っているそうです。たまに鳥も入るそうです。この世界の生き物の生態は、種別すると、魔物、魔獣、そして動物となっている。魔物は元々存在していて、魔獣は動物に濃ゆい魔素が染み込んだ結果だそうです。動物は特に変わらない。そして、重要なのが、魔物と魔獣は食べると死ぬそうです。何でも、魔力は人それぞれ違うので、魔物、魔獣のお肉を食べると体が拒絶反応を起こすという。
所謂、アレルギーの酷くした感じだと思います。
まあ、説明はこんな感じで、今ボクは素顔を晒して街を歩いている。街は円形になっていて、その中央に城があります。
広さはベタで大まかに言うと東京ドーム五個分くらいかと思われます。さすがに国というだけあって広くでかい。だが、王様が表で活躍しているおかげで治安はいい。
(ボクはむしろ、あのクソ貴族共がいるのによく治安良くなったなと思います。)
スラム街がないのもこの国のいいとこです。
閑話休題が過ぎましたが、何故、素顔を晒せているかというと単純な話、ボクの顔は勇者召喚時に国民へアピールする為、パレードを行った結果、全員の顔を多分知られている。
だが、ボクは自主訓練の結果、整形したのかというほど変わってしまい、それは王様達以外知らない。それを利用し顔を出している。
前の時はポッチャリ気味で目のこともあって国民に評判が悪かった。普通の顔よりブサイクよりかなってとこだったでしょうか。
ともかく、念のため深く被っていたフードを取り去っただけなのでローブ姿です。これなら女冒険者程度には見えるだろうという計算です。
……たまにガチでナンパに来るヤロウもいるので、ほんっっっとうに気を付けたい。
はあ、……それにしても、痩せただけで何故女顔になるのか自分でも疑問だ。前はあんなだったのに………あれ、目から液体が……………
…………ま、まあ、自分の顔をディスるのは良くないよね。妹からはめっちゃ言われたけども……うん、もう涙はかわいたよ…………………ホントですよ。
今日は休みなので(あ、なかったことにした)勇者達も街を彷徨いてる。だから、今顔を晒している。
さて、そろそろ本命の魔石を買いに行こう。そもそも魔石は普通に売ってないので取引と言った方が正しいですけれど……
ボクは結構冒険者ギルドに出入りし、魔物の素材や魔石 (魔物、魔獣の体内にある石)を売ったり、属性魔石やその他多くの素材や鉱石の取引をたまに行う。
今日も足りない分を補充するべく、ここに来ました。
「さてと……今回はどれぐらい値切れますか」
――――――――――――――――
「くそっ!!」
ここは王城に近い貴族が住む地域、その一際大きな屋敷の中から悪態が聞こえる。彼は、勇者組を脅した貴族の一人の坊っちゃん、ミリアム。
彼は史織に惚れている。その彼にとってユズキという無能なやつが近くにいるのが我慢ならないのだ。
「なぜだっ!なぜ、あいつばかり構うっ!!他の娘だってそうだっ。久我めっ、苦しめておくと言っていたではないかっ」
「ぼ、坊っちゃま、落ち着いて……」
「だまれっ!!」
彼を落ち着けようと発言したが、彼は怒鳴ると凄い形相で家を飛び出した。因みに久我とはいじめ三人組のリーダーっぽい立場のやつだ。他の二人は鈴木と恒松、三人とも家は普通、容姿も普通な奴ら。基本、快斗とその周りの人達以外認めない。ユズキをターゲットにしているのは無論、久我も史織のことが好きだからである。
そんな久我と彼、ミリアムは共闘し、目障りなユズキをいたぶろうとするも、最初の頃は適正が低い魔法をぶつけ、ボロボロにし、ミリアムが無視し、精神を削り落とし、陥れる予定…だった。
そもそも、ユズキのスタンスは無視、無口、無表情、どう判断していいものか分からず、次第に自滅していった。
(何なんだ、あいつはっ!あんなにボロボロになっても倒れ込みもしないっ)
彼は城下町の大通りまで来ていた。ミリアムは酒場に向かっていた。この世界ではユズキやミリアムくらいの年齢で既に飲酒をしても特に問題視されない。法律がないので当然である。その道中、
「―――これで良かったか?」
「ああ、そのはずだ」
「ん?」
(なんだ?あいつらこそこそして……あ、もしかして…)
こそこそと買いだしをしている男集団を見つけた。それを見た瞬間、ミリアムは国付近にある盗賊団が住み着いている話を聞いたのを思い出した。
そして、それと同時にある企みを思いつく。
「――おいお前ら、盗賊団の仲間だろう」
「っ!!てめぇ、なにもんだっ」
「まあ、そう怒鳴りちらすな。…見つかるぞ」
「……ちっ、何のようだよ。殺すぞ」
「こんな往来で、できるものなら…ね。なぁに、ちょっとした仕事を頼みたいだけだよ。報酬は金貨五十枚だ」
「なにっ……くそっ、話だけでも聞いてやるよ」
そう盗賊の一人が言うと、ミリアムは酷くその整った顔立ちを醜く歪め、笑った。




