クラスメイト異世界召喚から一ヶ月後
説明
単語:
魔素 大気中にある魔力の素。もともとこの魔素を時間をかけて自分にあう形にするが、主人公が無理矢理自分の魔力を大気中の魔素と一緒にした。
ボク…佐藤ユズキは今闘技場を走っている。時間的に今は朝の四時あたりだと思われる。クラスメイトはもちろんここで働いているメイドさんと騎士団員以外は寝ている。因みに今一緒に走っている人達がいる。それはこの国の騎士団の皆さんだ。その団長であるグランさんが声をかけてきた。
「よっ、今日も頑張っているな」
「ええ、自分は無能なので努力を怠っては戦いにすらなりませんから」
「はっはっはっ!何を言ってるんだ。その無能さんが私より強いじゃないか。それに多分勇者殿らより強いぞ、今の君は」
「贔屓はよしてください」
「いやいや、事実を言ったまでさ」
と笑いながら走っている。見れば他の団員達も苦笑しながらボクを見てくる。もうお気づきの方もいらっしゃるだろうが、一応説明する。
教室から魔法陣が現れ来たのは異世界…… つまり召喚魔法を使って呼び出したとの事だ。ここに呼ばれたのはひどく単純で魔王との戦争である。もちろん皆反対意見が出たが、帰りたくないのかと脅された。もちろん脅したのは王ではなく一部の貴族の企みだった。こうして仕方なく戦争に向け、鍛えていた。
鍛えたのは基礎体力と魔力、魔法だが、ボクはこの時点で詰んでいた。そもそもボクはインドア派で運動も体育以外にしないので体力がない。さらに魔法の適正も専用の魔道具ではかった結果、魔力も少なく、無色……つまりどの属性も適さないとされた。
だが、適正がないから魔法が使えないのではなく、適正者ほど上手く使えないだけと聞き、少し安心した。剣と魔法の世界に来たのに魔法が使えないとかありえない。因みにボク達を脅した奴らとクラスメイトの極一部以外はとてもボクを心配してくれる。まあ、生き死にが関わるから当然か。
その中でも、結構話しかけてくれるのは王族の家族である。王の名前はバルドフェルド・アレクセイ、その妻 ヘレン・アレクセイでその二人には二人の子どもがいる。姉弟で姉はリースフェルト・アレクセイ、弟がアルベルト・アレクセイの美男美女である。姉はボク達と同い年で弟は小学生くらいだ。
王達が気さくな性格のおかげですぐに馴染むことが出来たが、気さく過ぎて二人の子どもはまだしも王とその妻までも呼び捨てやタメ口でいいと言ってくる。…この国の王様とその妃なんだから自分の立場も考えて欲しい。
そんなこんなで騎士団の訓練を受けている途中でボクはこのままでは自分だけ置いていかれると思った。なので、朝はやく起きて騎士団の人達より走ったが、最初は無駄な事を……的な視線が多かったが、今ではまだ鍛えるのかという様な視線と尊敬や畏怖の視線が多い。グランさんは勇者御一行育成係として紹介された。しかも、朝の仕込みをやってるメイドさんの手伝いをやったおかげで料理も上手くなったと思う。今なら地球の料理も再現できる自信がある。もともとあった運動神経、観察眼、反射神経もあり短期間であいつらより遥かに強くなってしまった。
地球の時によく見た漫画やライトノベルやたまに見た動画の色んな格闘技やCQCやロシア軍の護身術、システマなんかも再現したが、問題なかった。因みに筋トレもやっていた。終いには、自分の影の薄さを利用し、城を抜け出し、近くの山を走って登り、山頂の酸素の薄い場所で筋トレをした。山を登る時木々があってちょうどいい障害物になった。
後、最初は訓練の時ボクだけグランさんとマンツーマンの指導だった。最近は模擬戦が多いうえに全てボクが勝っている。魔力も魔力枯渇寸前を毎回繰り返しやっと一般並になったが、城の図書館の様な場所で勉強した結果、普通は大気中の魔素を取り込んでも自分の魔力と合わないので激しい痛みを伴うが、痛みにはなれているので一日かけて同化させた。そのおかげで少し集中が必要だが、瞬時に魔力を回復させる術も見つけた。でも、この実力はマンツーマンで訓練をしていたグランさん以外は知らない。
隠れて訓練を行っている事も勉強も全て隠している。何故かというと……力をもって初めて知ったこの厄介さ。権力者が自分のためだけにボクを取り入れかねないからだ………
そして今日はグランさんに前々から聞いていた実戦訓練をするそうだ。団員達が一人に一人付き魔物との戦い方を教えるらしい。もちろんボクの相方はグランさんだ。実力が知れたらまずいからだ。因みにクラスメイトと騎士団員の二人一組でそれぞれバラバラの場所へと向かうのでボクの戦いを見られる事もない。それより……
「……大丈夫なんですか?スライムなんかはともかくゴブリンが出たら確実に血を見ますよ。女子だけでなく、男子でも血が無理なやつぐらいはいると思うのですが………」
「そこは…ほら、慣れだ慣れ」
「…強引ですね」
気さく過ぎて心配になってくる…
いつもの朝ランが終わって皆は顔を洗ってタオルで拭いているが、ボクはある程度の筋トレをして体を整えた後、顔を洗いタオルで拭く。水面上にうつる自分を見た。
前は少しポッチャリ気味だったのが、顔も体もしゅっとして顔はもともとの童顔が目立ちたまに女の子に間違えられやすく、体も見た感じムキムキという訳では無いが触ると筋肉がある事がわかる。いわゆる細マッチョである。さらにたれ目で眠たげな目のせいで睨んでいる様に見えるが、童顔がそれも愛嬌にさせる。なのでより女の子に間違えられる。最近は見られないようフードをかぶりながら生活している。そんなふうに地味に落ちこんでいるとグランさんが近寄ってきて小声で言ってきた。
「ああ、そうそう、今日は抜け出すなよ」
「…気づいてたんですか」
「当たり前だ。お前は俺の担当だからな」
「…まあ、今日は忙しくなりそうなのでそれは心配しなくても」
「そうか、それならいいがな。はっはっはっ!」
いいのかよっ!とツッコミそうになるのをかろうじて堪えた。グランさんはかなり筋肉がついている。顔つきは多分三十代だろうと思われる。元冒険者でこの城に来たのは国王も元冒険者で上位冒険者なので誘った…と聞いた。その話を聞いた時、大丈夫かこの国…ともおもったが、国自体治安はいいらしいのでまあいいのだろう。そうこう話しているうちにメイドさんの仕込みをはじめてまうと気付いてボクはその場を離れようとした。
「では、ボクはこれからお手伝いに行きます」
「メイド達の仕込みの手伝いか?お前はよく働くねぇ。疲れたりせんのか?」
「睡眠はきちんと取ってますし、昼はちゃんと仮眠も取ってますよ……一時間」
「そうか、じゃあ大丈夫だな」
因みに戦闘技術が身についたおかげかもともと持っていたのか、気配を察知したり、遮断させることもできるようになった。ただ、寝ている時、トイレにいくクラスメイトやメイドさんの見廻りが部屋の前を通るたびに起きてしまう時期があり、その時から敵意や殺意以外には反応しないようにするのが苦労した。
「それじゃあ、また訓練の時に」
「ああ」
そうして、ボクは厨房に急いで向かった。
説明回です。すいません……
というわけで主人公すでに勇者上回っています。クラスメイト大部分の説明やりません。正直、エピローグの時でいっぱいいっぱいです。
もしよろしけれ感想をお願いします。
※この作品は主人公が怪我することはあっても負けたり苦戦するということはありません。




