最悪の展開 その3
文章力がない件についてwwwww
目の前には魔族がいる。後ろには大半はどうでもいいが、守らないといけない連中もいる。そして、こいつ1体だろうと多数だろうと他が邪魔だ。さっさと逃げてほしいもんだが、魔族の殺気にビビってたり、硬直してたり、となっているので無理そうだ。
でも、勇者組がなんかやる気満々なのがどうも……ね。
「…佐藤、ここからは俺たちが………」
「はあ?何をふざけたことを抜かしやがる。お前らが行ってなんになる。お前らは後ろの魔物を対処してろ」
「………………」
「呆けてないでさっさと行け」
「あ、ああ……」
一応納得したようだが、まあいい。後ろの心配そうな視線2つは放っておいて、と
「おいっ、お前ら何してるっ! ユズキが牽制しているうちに早くこい。死にたいのかっ‼」
「……えっ」
さっきから、あいつの視線は俺に集中している。それは俺が視線やら殺気やらでなんとか牽制出来ていたからだ。勇者組は殺気にも気付かず、ノコノコ前に出そうになっていた。正直邪魔なのだ。
グランさんに言われ、勇者組は後ろの魔物の対処をしにいった。妙に多いのでこいつが連れてきたとみて間違いないだろう。
「おいっ、お前この縄ほどけっ! 自殺するなら俺たちは逃がしてくれ‼」
後ろのうるさい盗賊モドキはほっとく。それよりも相手が問題だ。勝てなくはないが多分、俺も死ぬ。死ぬのは嫌だが、後ろには嫌いなやつもいるが、全員見捨てる訳にはいかんし、俺の身内もいる。……こいつは殺さなくてはならない。
まず、相手から来た。………速い。その程度なのでまだ本気ではないとみる。黒い腕、その指から生えた爪が俺を襲う。一瞬、寒気を感じそれをギリギリで避ける。
「……………」
そして、無表情、無言、自然体のまま、くるりと避け、すれ違いざまその指を切断する。流石に夢幻級まで改造した俺の「虚空」だ。
『ありがとうございます。マスター』
今の声は「虚空」である。俺が色々改造したら、夢幻級に進化した。能力も複数所有することができた。最初はもっと機械っぽかったけど、今はこの通り。
そして、しばらく、避けながら切るを繰り返すうちに手数が足りず、もう片方の手も大きくなる投げナイフを三本指で挟み、そちらでも攻撃するが、性能は所詮ただの鉄の塊…魔族の肌は硬いので当てた途端砕けるので今は十本以上使っている。指はもう治っている。Gって言っても怒らんかな?回復力、硬さ以外はほぼ当てはまるね。
まあ、そんな馬鹿な考えもしてられなくなった。相手が徐々に加速してきたけど、ついに本気出すのか?
「クケケケケケケケケケケケ」
上機嫌なのか変な笑い声が聞こえる。
そうこうしてるうちにもう真正面からは打ち合いができなくなった。少しずつ俺の体に傷がつく。
「「ユズキ(君)っ‼」」
次の攻撃を避けながら後ろを見てみれば、もう魔物は片付いたようだった。盗賊モドキ共はさっきからポカーンとマヌケヅラである。
声の主は成瀬と先生である。成瀬は回復を、先生は俺を援護する気のようだが……
「来るな」
「「っ!!」」
無表情かつ声をはらず威圧で二人を止めた。少し余波が後ろにいって何人か顔を青ざめさせたが、俺にそんな余裕はない。それに……
「キシャアアァァァァァァ」
戦いを邪魔されたからか、魔族が二人というよりクラスの弱いところを狙う。
「うっ」
その先にはうちの純粋ギャルの須藤恵里菜がいる。どうやら、ビビって腰が抜けたらしい。仕方ない…… あんまり使いたくなかったが、
「鬼術 鬼神化」
言ったと同時に俺は体がふっと軽くなり、髪が白く、目が紅くなった。そして、俺は走る。魔族に追い付くと同時に横から殴る。すると、魔族は吹っ飛んでいった。その時にフードが取れ、俺の今の素顔が露になる。
「……大丈夫か」
「………え」
その時、グラン以外の者たちの心が一つになった。そう、「お前誰だよっ‼」と……
・須藤視線
何が起こったか分からなかった。魔族が迫って来たと思ったら佐藤が横からブッ飛ばした。でも、フードが取れたその顔は以前と違っていた。そこにあったのは美少女の顔だった。しかも、何故か、髪は白くなっていて、目も紅かった。
彼は私に大丈夫かと言った。ちょっと胸が痛くなった。だって……
"私も彼をいじめていた一人なのだから"
・戻る
彼女を救ったのには理由はない。なんとなく、だ。彼女もいじめ実行犯なのは知っている。それでも、彼女は同郷………守る理由はそれだけで充分。
俺が魔族の方を見ていると…
「お前……ユズキ、だよな」
「ああ、そうだ」
それに答えたのはグランさん、俺は敵に集中する。
「あいつはこっちに来た時から努力を怠らなかった。知ってたか?あいつの訓練メニューを………」
そして、俺の説明をしている間にも魔族は立ち上がり、こちらを睨む。俺は自然体で「虚空」を持つ。グランさんたちは俺の戦闘を見ながら、説明を続ける。
「……そして、あいつが今あれだけ強くなっているのは……とある禁書の禁術によるものだ」
説明は続く、俺の戦闘も続く、俺たちはもはや玄人でも見切れない速度で攻撃しあっている。そんな時、
「お、俺にもその禁術を教えてくれっ‼」
そう訴えたのは他ならない久我だった。だが、その言葉をグランさんは鼻で笑う。
「ふんっ、お前何故禁術が禁止された術と書くのか分からないのか?」
「禁術ですって⁉」
その時、女騎士の団長が叫ぶように言った。
「お前ならどれだけヤバいか分かる筈だ」
「あれが禁術によるものなら…あの髪と目…………まさか!鬼術⁉あれをコントロールしているの!彼はっ‼」
俺は敵の攻撃を全て避け、自分の拳、「虚空」、たまに蹴りを当てる。俺には一発も当たらず、自分だけ傷ついているのに魔族は焦っている。その焦りだけで俺には有利だ。
「知ってるのか?なら、俺に教えてくれ‼」
「……無理よ」
「何で‼」
「だって、あれは……そもそも亜人族の身体強化魔法、あれは亜人族のなかでも危険と判断された術、鬼神化………人間が使うには膨大な魔力と…寿命が必要になる」
「……………え」
クラスメイトがざわめく。そう、これは魔力も寿命も吸われる禁術…… 寿命が長い亜人すら躊躇う寿命を吸う。髪が白くなるのはそのせい。目は主に吸血鬼や鬼の禁術だからだろうと思っている。俺はそれを何とか押さえつけているが、魔族との戦いが長引くせいでもう解いたら死ぬだろう。
久我が絶句し、先生と成瀬がこちらを悲しそうな眼で見る。須藤やその他大勢もこちらを複雑そうに見る。
………そろそろ決着にするか。
俺は一度魔族から離れ、「虚空」能力を使った。
「「虚空」、零の構え」
『了解』
すると、「虚空」の刀身から冷気のようなものが出た。それを纏いながら「虚空」を振る。そう、全く届かない距離に居るのに、
「GYAっ⁉」
魔族の首を切った。首が取れ、少しもがいたが…
「………これで終わりだな」
それから、二度と魔族は動くことはなかった。
クラスメイトに近寄り言った。
「全員、そこの荷物連れてさっさと出ていった方がいい」
と言った。すると……
「……まさかお前」
グランさんは気づいたようだ。他はどうだと見てみると……
「ふざっけんな!何でお前なんかの指示に……」
「じゃあ、ここで仲良く全員死ぬか?」
「…何を…いって」
「魔族がどっから来たか知らんが、この先の魔物が押し寄せている。多分、さっきの魔物にあてられたんだろう。ダンジョンマスターっぽいのも来てるぞ」
「それは本当か‼」
さっきの女騎士団長さんが叫ぶ。
「ああ、だからさっさと逃げろ」
「……おい、お前はどうするんだ?」
「もちろん、戦う」
「おいっ」
「先生、俺はもうこの術を解いたら…………死ぬ」
クラス全体が騒がしくなる。そんな中…
「う…そ……うそ…だよね」
「嘘じゃない」
「っ⁉」
このまま泣き出すと面倒だ。手加減して首トンする。
「うっ」
どうやら、うまく意識をとばせたようだ。後は橘に任せよう。彼女は俺に一礼して成瀬を抱える。そして、
「先生」
「っ」
「大丈夫だ」
「……え」
「もし、神様にあったら伝えるよ。この世界に転生させて下さいって」
先生は一瞬、ポカンとしたが、やがてクスリと笑った。
「バカ………そんな都合よく……」
「あるだろ。だってここは異世界なんだし、」
「だな」
そして、拳と拳をぶつけ合って、
「絶対………戻ってこいよ」
「当たり前だろ。まだ、守るべきやつが生きてるんだから」
「……バカ」
先生は赤くなって去っていった。俺は知ってる先生の好意が俺に向いていることに。次にグランさんが、
「絶対に、帰って来るんだな。国王様共々……待っているぞ」
そして、また、拳をぶつけ合った。
「じゃあな」
全員が行ったのを見届け、俺は暗闇を見据える。自然体を保ったまま突撃した。
「…………終わった」
ダンジョンマスターを倒し、その場に倒れた。魔物の死体は即席で創った無属性魔法の合成魔法でアイテムボックスモドキのなかに入れた。魂状態なら魔法も継続してると思ったので魔道具類も全てアイテムボックス内だ。
やることは終わった。モンスタートレインを全滅させ、ダンジョンマスターも倒し、死体もアイテムボックス…… ギリギリのところで鬼神化の効果が切れた。目は元に戻ったが、寿命を削ったので髪は白いままだ。後は、
「さて、神……俺の願いを聞き入れろ」
そうして、ユズキは息絶えた。すると、ユズキの体が光に包まれ、この世界から姿を消した。残ったのは血みどろになった迷宮内の現状だけであった。
そして、ユズキは最後に勇者である海斗に聞かれた言葉を思い出していた。
「佐藤、お前は一体……どれだけ強いんだ」
「……本当の強さ?そんなもの…………」
""秘密に決まってるだろ""
戦闘シーンムズい!後、最後らへんに恋愛っぽい感じを少し醸し出しました。最後にタイトル出してみました。