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プロローグ

どうか見ていってください。

 いつもの朝、いつもの通学路、いつもの学校……… そんな毎日が続くのはこの国が平和である証といえる。外国は物騒で犯罪も多い。それに比べると日本はまさに理想郷だろう。いまでもテロがたびたび起きる。さて、そんな前置きは置いておく。今、ボク…佐藤ユズキは現在登校中…特に行きたくもない場所へと歩いていた。

(あ〜あ、しんど………)

 そう思いながらも足をすすめていると校門が見えてきた。――ボクの長くつらい一日の始まりだ。




 授業はほとんど寝るか机の下で本を読むかで過ごし、すでに昼休みになったころ、ボクは朝コンビニで買ってきたエネルギーをチャージするゼリーを1個取り出して食べていた。

ぢゅるるるぅぅぅ〜 きゅっぽん

 と一つ食べた後、ラノベを読んで昼休みをすごそうと本を取り出そうとして、読み始めた。すると、担任の榊宴先生が話かけてきた。


「お前またコンビニ食か……よく飽きないな」

「何言ってるんですか。美味しいし、いいでしょ。親も忙しいんだし」


 宴先生が少しきつく言ってくるとボクは本から顔をあげ、無表情で返した。宴先生は黒髪にサイドテールだ。成人だが、座っているボクが立っている宴先生をちょうど同じ目線になるくらいの身長なのだ。だが、それがコンプレックスで身長の事にふれるとかなりキレる。ただ、生徒の事をよく考えてくれるので生徒達の間では人気者。付き合いたい人ランキングというものがあるが、もちろん上位に入っている。


「相変わらず、無愛想なやつだ。そんなんじゃあ、またあいつにつかまるぞ」


とニヤニヤしながら言った。


「やめてくださいよ、フラグがたつじゃないですか」

「…ユズキくん」

「………ほら、きた」


 今、話しかけて来たのは校内で一番人気のある女生徒、黒髪をロングストレートにしていて、とても清楚な感じがするが、結構ガンガン迫ってくる人だ。名前は成瀬史織。

 この子の後ろにはいわゆるボディガード的な役割の少女が申し訳なさそうにこちらを見ている。名前は橘雫。彼女は成瀬さんの幼馴染みと聞いた。ポニーテールのよく似合う大和撫子のような人だ。その瞳は冷徹な感じがするが、そのクールさで成瀬さんと負けず劣らずの美少女なのでひそかに人気がある。ふと見ると成瀬さんが若干うらめしそうな目で


「ユズキくん、今日のお昼はもう食べた?よかったら……」


 と言って自分の弁当を取り出そうとした。ボクは当然断りを入れる。何故かって?周りの嫉妬と殺気の視線が怖いからだ。ボクはよくいじめられやすく、前は暴力をふるってくるやつがいたが、痛みに強くなり、殴られても特に感じなかった様子からかめっきりなくなった。でも、無視が多くなった。……自分が無視してるせいかもしれないが、理由はもう一つある。それは……


「ごめんね、成瀬さん。ボクはもう食べたから」

「またコンビニ食…しかも今日はそれ一つ?それじゃあいつか体こわしちゃうよ。それにいつも眠そうだし」

「それはただ、たれ目なだけだよ」


 そうボクはたれ目のせいかその手の輩がよく集る。しかも、眠いのも本当なので、たれ目で眠そうな目…確実に睨んでいる様にしか見えないだろう。その上無表情(さらに無口)なのでなお、タチが悪い。ボクが誰とも接さないので成瀬さんが見兼ねて最近よく声をかけられる。


「ともかく!半分あげるから食べよう」


 彼女の料理は押しに負けて一度だけ食べた事がある。本当に美味しかった。だが、ここで負けたらまた周囲の殺気が増す、というか現在進行形で増している。目の前の事に頭を悩ませていると宴先生が目に入った。……すごいニヤニヤしていた。

――もう帰りたい…

 そう思っていた時、教室の空間に歪みが生じた。すると床一面に大きな魔法陣の様なものが出現した。教室にいた教師(宴先生)含めたボク達は固まっていた。いや、比喩表現ではなく本当に固まってしまったのだ。

――これ、だいぶまずくねっ!!


 そうは思っても体が動かなくてどうしようもなかったが、


 その日、この世界に一つの神隠し事件が起こったのであった。

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