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悪魔、雨のち晴れ

 家を出発してから一週間。

 外の景色はアルベルとあまり変わらないが、国境を越えたらしい。

 もうすぐ城に到着すると思うと、少しわくわくしてしまう。

 だって、魔王の城を見るのなんて初めてだ。きっと、何やら怪しい雰囲気に満ちた城なのだろう。

 うん。そうに違いない。


「到着致しました」


 私が想像を膨らましている間に到着してしまったようだ。


「分かったわ」


 護衛をしてくれていた騎士の手をとり地面に降り立つ。騎士に礼を言い、城が視界に入らないよう意図的に下げていた目線をパッと上げた。

 そこには太陽の光りを受けて輝く綺麗な城があった。周りには白い鳥が飛び交っている。


「…………」


「どうかなさいましたか?」


 いきなり動きの止まった私を心配して先程の騎士が声をかけてくれる。


「……なんでもないわ。気にしないでちょうだい」


 普段通りに振る舞ったが私の心は荒れ狂っている。

 何でこんなにかっこいいんだ!

 

 魔王の城は私の期待を大きく裏切り、物語に登場しそうな美しい城だった。

 すごくがっかりしたが、いつまでも城の前で棒立ちしている訳にもいかない。魔国の騎士らしき人物が城から出てきていたので視線を向ける。


「メルリア・フライローズ様でいらっしゃいますね? 貴方様の案内を仰せつかっております。こちらへどうぞ」


「ええ。ありがとう」


 騎士について城の中を進んで行く。

 さすが魔王城。廊下の装飾や壁にかけられている絵画、どれも一目で一級品だと分かる代物ばかりだ。

 あ、あの鳥の絵もう少しみたいかも……。


「メルリア様にはこのあと、魔王様に会って頂きます」


「ええ。分かったわ」


 …………え?

 今、適当に返事してしまったが魔王様に会うと言ってなかったか?

 こんなにあっさり会ってしまっても構わないのだろうか。和平が決まったとはいえ、アルベル王国と魔国は長い間冷戦が続いていたのだ。ある程度の検査の後に会うというのが普通なのではないだろうか。

 それとも、私は甘く見られているのだろうか。そうならば、私のすることは一つだ。

 

「この扉の奥に魔王様がいらっしゃいます。私は入ることを許可されていませんのでここで失礼させて頂きます」


「案内ご苦労様」 


 目の前にはいかにも魔王がいそうな大きな扉。

 この奥に魔王様がいる。

 自分が今、笑みをうかべているのが分かる。


 私は義父になる人物だからといって容赦はしない。

 アルベル王国と私を甘く見たことを後悔させてさし上げますよ、お義父(とう)様。


サブタイトルはあまり気にしないでください

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